素早さ極振りの槍使い 〜思っていたのとは違いましたがこのまま極振ります〜

ain

文字の大きさ
24 / 29

22.投擲スキルの禁止

しおりを挟む
「…あれが?」

「そうだアレがオレらの標的だ。」


そうチャッピーが示す先には2メートルくらいの大猪グレートボアが前足で地面を削る?ような動作をしながらこちらを見ていた。



「あ、コレもう気付かれてる感じ?」

「ああ、アイツの索敵範囲広いからなぁ。大体20メートルくらいがあいつの索敵範囲だなぁ。」


デッカイ猪がコッチに向かって走り出した。

「…走ってコッチ来てるんだけどさ、アイツの攻撃って何なんだ?そこら辺全く知らないんだが……」


いやホント敵の攻撃がどんななのかくらい探してる間に聞くべきだった。武器関連の話もありがたかったけどコッチの方が重要だったよね?……何やってんの俺。仮にも相手はフィールドボスあのギガントラビットと同列の存在だ。このままだと絶対ヤバイ。敵の攻撃を躱しながらチャッピーから情報を聞かないと。


「ん?知らなかったのか?まぁ別に知らなくても問題ないぞ。【筋力増強】」


そう言いながらいつの間にか近づいていた大猪に向かってチャッピーがハンマーを構えた。

「何してんの!?早く避けろって!」


「いや、問題ねぇよ。【フルスイング】!」ドゴッ


おぅふ。すっごい飛んだ。あの2メートルの巨体がすっごい…多分20メートル…最初に見つけた時くらいの距離まで飛んでった。何あれスゴい俺も欲しい。……まぁあっても俺のスタイルには合わなそうだけど…使っては見たい!

「…まぁ距離ができたし今のうちに聞きたいんだけど、知らなくても良いってなんでだ?ついでに今のスキルも何か聞かせて。すっごい気になる!」

「ハハハ!そうだろう。聞かせてやろう!あのスキルはフルスイング!前にあんちゃんを助けた時に使ったスイングの上位スキルだ!」


「上位スキル!そんなのあるのか!?……じゃない!なんでついでを先に話すんだよ!?いや本心ではそっちの方が気になってたけども!ほらみろ!猪野郎がコッチ来てるじゃねぇか!早くアイツの攻撃パターン教えてくれ!」

「いやーすまんな。あんちゃんがフルスイングに興味深々みたいだったから嬉しくてつい。で、アイツの攻撃だが……突進だけだ。【挑発】」


あれ?なんか信じられないことを言われた気がする?

「……何?もっかい言って?」

「だからアイツは突進攻撃しかしてこねぇよ。【重撃】」

んー?なんか俺の耳がおかしくなったみたいだ。グレートボアの攻撃が突進だけとか聞こえる。でもそんなことないよね?だってフィールドボスだよ?ギガントラビットと同列の存在だよ。そんな奴がたいして速くもない突進だけとかあり得ない。

「ハハハ…冗談やめろって、本当は突島以外にどんな攻撃してくるんだ?」


「だーから突進だけしかしてこねぇんだよ!まぁあんちゃんが何にショック受けてるかなんとなくわかるけどよぉ。ギガントラビットとはあんま比べんなよ。あのウサギはすげぇ速い上に一定以上削れば連続で攻撃してくっからなぁ。【スイング】!」ドコッ

どうやら俺の耳はおかしくなってなかったらしい。だがチャッピーの言ようにどうしても比べてしまう。チャッピーには悪いがここは慎重に戦っていこう。……て、俺いる意味あるかコレ?だってさっきから近づいてきた大猪をチャッピーが吹っ飛ばしてまた大猪が近いて吹っ飛ばすの繰り返しだ。

「……なぁ、俺はどうしたら良いんだ?やることないんだけど。」

「なぁに言ってんだよ、あんちゃん。ちゃんとやって欲しいこたぁあるんだよ。さっきまではあんちゃんが正気じゃなかったから言えなかったけどな?」

「あ、すみませんでした~」

「オレも事前に話しときゃよかったんだからなぁ気にすんな。とりあえずこっからはあんちゃんにも戦闘に参加してもらうぜぇ?」

「おうよ!任せとけ!っで、どうすりゃ良いんだ?」

「アイツは挑発でコッチしか狙ってこねぇからよ、あんちゃんは自由に攻撃してくれればいい。突進中でもオレが吹っ飛ばした後でも自由にな。」


「ほうほう。自由に攻撃して良いと?なら“自由”に攻撃させてもらおうか!」


———戦闘終了


「——ふぅ、終わったなチャッピー。お疲れ」

“俺のところに来た”チャッピーに汗を拭う仕草をしながら俺はそう言った。終わった。大猪は無事討伐完了したんだ。


「……あぁ、ほとんどオレ1人で倒したけどな…」


もう一度汗(冷や汗)を拭う。

「本っっ当に!申し訳ございませんでした!次こそは必ずや役に立って見せます!」


「まぁオレが自由に攻撃して良いって言ったんだからいいけどよぉ。で、見つかったのか?次からは手ぶらにならない程度に、自由に戦ってくれ。」

「…まだ見つかっておりません。モウシワケアリマセンデシタ。」


何があったのか気になるって?今の俺は手ぶらなんだよ?何かを探してるんだよ?察してくれよー。え?察せないから話せって?仕方ないなー。……こんなこと考えてる時点で俺あんま反省してない気が…いやコレはある種の精神統一だ!…違うな。ごめんねチャッピー
で、何があったのかだけど——



「ほうほう。自由に攻撃して良いと?なら“自由”に攻撃させてもらおうか!」

「何だそりゃ!?」

そう言って俺は鉄の槍を“2本”手に持った。このゲームではリアルを謳っているだけあって装備枠なるものは存在しない。例えば他のゲームでは布の服と鎧の同時装備はできないがこのゲームではそれができる。さらに鎧の上に鎧さえ無理をすれば装備可能と来たもんだ。代わりに著しく動きが悪くなるが。
こう言う仕様だから両手装備であろう、槍でさえも2本同時装備が可能なのだ!そしてこの2本を

「【投擲】×2!」……ガサガサ

……2本の槍は猪を大きく超えて後ろの森に消えていった。


「……」


「…………」


「…………」

……ヤベェ…むっちゃ恥ずかしいんだけど!?意気揚々と槍2本持って投擲したのに外すだけじゃなくあらぬ方向に飛んでいくとか……コレもうチャッピーに顔向けらんねぇよ?どうすんだよこの空気!?
ちなみに投擲を2回連続使えたのはコレが理由


【投擲Lv1】消費MP 5  CT 0
手に持っている物を投げる



CTがないから同時に使うことができるわけだ。


「……まぁ誰にでも失敗はあらぁ。気にすんじゃねぇよ。」


「…おう。大丈夫だ。次こそは決める。」


男前だぜチャッピーさん。よーし!次こそはしっかり決めないとな!大体2本同時に投げるのがダメなんだ。誰だよ2本投げようとしたヤツは?…俺か。
あんまり気にしすぎても良くないな。次からは1本ずつ行こう。

「あんちゃん来たぞ!」


「任せろっ、今度は1本だ!【投擲】!」…ザク


「……」


……1メートルくらい先の地面に刺さった。いやまだだ!今のは練習…そう練習だ!刺さった槍はとりあえずそのままで新しい槍をもう一度投げよう。


「【投擲】」サシュッ

惜しい!掠った槍はそのまま後ろの地面に刺さった。そしてそのまま突進してくる大猪の正面には俺がトラップ(自称)として用意していた槍がある。あの槍にぶつかって猪が自滅することを狙っていたんだ。うん。

「…とりあえずもっかい吹っ飛ばすわ。」


「ま、待つんだチャッピー!今までのしっぱ……行動は全て布石!チャッピー!アイツが槍に激突して動きが止まったら一気に畳み掛けるぞ!」


「……あんちゃん。そりゃぁ無理だろぉよ。」


チャッピーを止めたがチャッピーはスキル発動の準備をしていた。そして大猪が目の前の槍に激突し………槍をへし折ってバランスを崩すことも速度が落ちることもなく突っ込んできた。…まぁ、あんなので止められるわけがないのはわかってた。現実逃避したかっただけなんだ。そしてチャッピーが大猪を吹き飛ばし、後ろにあった俺の槍に大猪がぶつかって壊れた。…… …あぁ、俺の槍がぁ……


「もう怒ったぞ!俺の必殺技を喰らわせてやる!」


そう言いながら再度2本の槍を装備した。


「もう諦めろよあんちゃん……」



隣のチャッピーがなんか呆れてるがコッチもこのままでは終われないんだ。わかっておくれ。今回も俺は2本の槍を使うが同時に使うわけじゃない。連続で使うだけだ。1本ずつ使うのと大差ない。ちょっとアレな事はするけど、まぁ至近距離で2本も投げれば外れないよね?…… 今から使うコンボの前には誰もなす術はない…


「これより自身で封じたスキルを解禁する!チャッピー!もう一度アイツを吹き飛ばしてくれ!その隙に俺の最大火力をお見舞いしてやる!」


「おうよ!あんちゃんがそこまで言うんだ。見させてもらうぜぇ!その火力ってやつをヨォ!【フルスイング】!!」

チャッピーが打ち上げるように大猪を吹き飛ばした。吹き飛んだ大猪は地面に激突しフラフラしている。


「サンキュー!いくぞ!【縮地】&【投擲】!」……ボキッ


激突した……槍が地面に。そして折れた。


「だがまだだ!もう一本を右手に持ち替えて…【ファストジャベリン】!!!」………キラン


……1本の槍はお星さまになるべく大空へ飛んでった。……あ、アレって白兎の飛槍じゃね?なんであれ投げちゃってんの俺!?…いや待てよ?俺の投擲用に買った鉄の槍が10本。
内1本は投擲の練習で壊れて、もう1本は紛失、で3本は他のプレイヤーにパクられたからー、投擲に使える槍は5本。
この戦闘で最初に2本が森の中に消えて、グレートボアの突進で1本壊れて、その後のチャッピーに吹っ飛ばされたグレートボアの下敷きになって更に1本壊れただろ?で縮地との合わせ技で地面にぶつけて1本壊れた。で、最後にファストジャベリンで大空に1本消えていった。うん、合計6本投げてるなぁ。最後投げたらダメじゃねぇか!?


「……あんちゃん…… 一応聞くけどヨォ、手持ちの槍を全部投げちまってるように見えるんだが、このあとどうすんだ?」


「たすけてくだふぁいぃ」


「……はぁ、しゃぁねぇな。あんちゃんは他のプレイヤーに装備取られねぇように探しに行ってこい。」


——ってなことがあったわけだな。で、いまだお星になった俺の槍はも使ってないって訳だ。投擲スキルの使用には注意しよう……ていうかしばらく禁止だなぁ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

親がうるさいのでVRMMOでソロ成長します

miigumi
ファンタジー
VRが当たり前になった時代。大学生の瑞希は、親の干渉に息苦しさを感じながらも、特にやりたいことも見つからずにいた。 そんなある日、友人に誘われた話題のVRMMO《ルーンスフィア・オンライン》で目にしたのは――「あなたが求める自由を」という言葉。 軽い気持ちでログインしたはずが、気づけば彼女は“ソロ”で世界を駆けることになる。 誰にも縛られない場所で、瑞希は自分の力で強くなることを選んだ。これは、自由を求める彼女のソロ成長物語。 毎日22時投稿します。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。

夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。 もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。 純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく! 最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!

処理中です...