役立たずと言われ追放された支援職の[罠師]だけど最強を目指します！

3章

迷宮攻略開始

－海洋国家ホエールポートの一角。
海上に浮ぽつんと現れた。古代遺跡のような建造物。遠目からでは島のようにも見え、夏の時期にしか現れないため
《幽霊島》と呼ばれている。

そんな幽霊島の前には多くの冒険者がごったがえしていた。中にはサンプトランドで見かけたことのある冒険者パーティーも確認できる。

「金の薔薇の皆！来てたか。すまない準備に時間がかかってね。」

「いえ、言ってもまだ開錠前ですし俺たちもまだ来たばっかです。」

「そうか。.....よし！それじゃあ今のうちに迷宮に潜ってからの段取りを改めておさらいしておこうか。」

俺たちの目的は迷宮最奥の魔道具《海竜の眼》を手に入れる事。
その為には効率的に迷宮攻略を進めなければいけない。
幽霊島のは全２０の階層から構成されていて１０階層・２０階層でそれぞれエリアボスが存在し、エリアボスを倒さないと先には進めない。
また、幽霊島特有の罠が仕掛けられていることも調べがついているためそこをどう攻略するかが重要だ。

「けど、今回は【罠師】のアノクがいる。実際にアノク達の実力をみたわけじゃないけど、アノクは個人ではAランクなんだって？しかもまだ結成してそこまでたっていないパーティなのにすぐにDランクまで上がったって聞くし、相当優秀なんだろうな。」

「アノクは少し特殊ですけどね。私は元々アノクに助けられてパーティーに入ったんですけど最初はあまりの剣技に戦闘職だと勘違いしたくらいなので」

「そうね...罠師としても勿論優秀だし、索敵とかもこなせるしね～しかも実はアノク料理の腕も相当なのよ？」

「ええ！？アノ兄そうなの！？今度何か作ってよ！！」


「ほお...！！そんなにも凄いのか！俺たちミサトの友朋はどちらかといえば戦闘職寄りだからな....これは【罠師】を入れるのもありか....？」

「いやいや普通に考えてアノク君が特別なだけだと思うよ...」

「っと...少し話が脱線したな、話を戻すと今回のプランは２パーティ合同のうまみを生かす形で進めようと思う」

「というと？」

「なに！簡単な話だ」

話込んでいるうちに開錠の時間が迫っていたようだ。
周囲の冒険者達の空気もひり付き始めて我こそはという思いは一緒のようだ。
ゴゴゴゴと地鳴りのような低い音と共に幽霊島の入り口が開いてゆく。

「《海竜の眼》は必ず俺たちが回収しなければならない。失敗は出来ないからな。行くぞ皆！」

「「「「「おう！！！！」」」」」





－－－
幽霊島　１０階層

「縁切り－神落シ！！」
エリアボスの首が胴体から切断される。

「凄いな...エリアボスのスケイルオルカが１刀で....こいつはBランク程度の強さはあるはずだぞ、アノクがソロでAランクの理由が良くわかったよ」

「普段はもっと観察が必要ですけどね。今回は前準備もできましたしそれよりも今回はSランクパーティである皆さんがいるので魔力消費とかを気にせず進めるのは大分大きいですね」

「その為の協力でもあるし、俺たちだけじゃなく金の薔薇のメンバーの実力も伴っていないとこのプランは成功してないよ。さて、少しだけ息を整えたら先を急ごう！」

現在俺たちはどのパーティよりも早く第１０階層へとたどり着いていた。
ここまでの攻略は順調。迷宮内の罠は俺がことごとく解除してきたしアルビダの完全復活もあって金の薔薇だけでも難なく魔物を倒せるくらいに余裕をもって進んできている。
ここにさらにSランクという最高峰の実力者が加わればそれはもう鬼に金棒といったところだろう。
おかげでメンバーに目立った疲労の色は見えず、アルビダに関して言えば本来の実力が出せる事がよほど嬉しいのかどこか生き生きとした表情で難解な魔法行使を平然とやってのけていた。


そして１０階層のエリアボスを倒し迎えた１１階層。ここから幽霊島は攻略難易度がグンと上がってくる。