【神回】最高神 暇になったので降臨してみた #1

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最高神の休日

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俺は今チーザ・ホルンの街を散策している。


下界の常識を知らなすぎる俺にノエリアが街を案内してくれる事になったからだ
今日のノエリアは休日だからかいつもの鎧姿ではなく清潔感のある白いYシャツにパンツスタイルとシンプルな装いだ。ただし護身用に腰にはいつも使っている白銀の剣をさしているが
「おっ、ノエリアちゃん珍しいね!誰かを連れてるなんて!もしかして彼氏かい?」

「ち....ちがいますっ!お世話になったので街を案内しているだけです!」

ノエリアは普段は騎士然としているが以外にも街の住人はノエリアをからかって弄るほど親交が深いようだ
しかしこの街は面白い。
露店には見たことの無い料理が売られついつい身体が吸い寄せられてしまう。神は普段食事など必要ないだけに
今まで食に興味を持ったことなど無かったがこれからは嗜好品として楽しむのもありかも知れない。

-その後も色々と目移りしながら散策を続けていると丁度アス達の目の前でそれは起こった。
「おらっさっさと歩け!このウスノロ!!」

「ヒッ!!申し訳ございません!!申し訳ございません!!」

前から現れたのは過剰な装飾品を全身に着けブクブクと肥えた中年の男とそれとは対照的に身にまとうのはボロ布一枚のみで今にも折れてしまいそうな程にやせ細った体の少女。
その少女の首は首輪で繋がれておりそれは人に対する扱いではなくまさしく家畜に対する扱いだった
「ノエリア....なんだあれは?人間の所業とは思えんがなぜ誰も止めない?」

「あれは....あの男はこの街の領主。ドン・ジェルビン男爵だ。奴が連れている少女は奴隷だよ。実は最近になってチーザ・ホルンの領主があいつに変わったんだがその途端徴税の額を増やしたり廃止されていた奴隷制を復活させたりと兎に角自分が領主になったのをいいことに好き放題やっているんだ....腹立たしい限りだ...!!」
ノエリアもあの男の行いには納得できない様子だ

「なら何故誰も反論しないんだ。どう考えてもあの男の行動は目に余るだろう?」

「したくても出来ないのさ。ドン・ジェルビンの少し後ろにいる男」

「あの赤い髪の男か?」
ノエリアが指したのは赤い髪を短く切りそろえた2メートル近い身長の大男。その背丈以上の長さを誇る槍を持ち
ただ静かにドン・ジェルビンの後ろを歩いている。
「元SS級冒険者 エドモンド・シール・バウハスター。神より授かったと言い伝えがある"神槍グングニル"の使い手で突然引退したと思ったらドン・ジェルビンの護衛になっていたんだ」

「成程。SS級と言うと冒険者ランクとしては最上位。つまりは相当な使い手という事になるが確かにそんな傑物が護衛についていたら躊躇してしまうのも分かるな」

「それだけじゃない。ドン・ジェルビンという男はあの奴隷の少女の両親を目の前で殺したんだ。自分に逆らったらどうなるか、周囲に知らしめるためにね」

「ふむ....訳は分かった。であればノエリア、そこで待っているといい」

「えっ....アス!?いったい何を!?」

狼狽えるノエリアを無視し俺はドン・ジェルビンの目の前に立った。
「ん?キサマ何者だ?この街の領主である俺様の目の前に立つとは....無礼が過ぎる、ぞ?」

俺は神力を一瞬だけ開放するとドン・ジェルビンとエドモンドを瞥見する。」

「-ッ!?」
ほう?さすがはSS級冒険者。一瞬とは言え耐えたか。領主の方は案の定だな。
俺は少女の首についていた枷を外すとその羽のように軽くなってしまった体を抱きかかえその場を後にする。
「行くぞノエリア。」

神力には指向性を持たせていたため一見するとただ俺が目の前まで歩いて行って少女を枷から外して連れてきただけに見えただろう。
流石の俺でもあの衆人環視の中では余計な騒ぎを起こしたら面倒なことになると分かっている。
だからただ歩いて行ってたまたま少女を保護すればいいだろうと考えたのだ。
これで万事解決。


「おい....アスお前なんてことを....」
アスのやらかしに対しノエリアは盛大な溜息を吐くのだった。

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