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第18話 評議会への道
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第18話 評議会への道
評議会の開催は、七日後。
王都において、それは“静かな宣戦布告”を意味していた。
「逃げ場は、もうないわね」
ジェシカは、届いた正式通知を机に置いた。
王国貴族評議会――
制度を守る者たちが集い、
異端を“処理”する場所。
アルヴィンは、苦い顔で頷く。
「今回の議題は二つ。
一つは“白の誓約に対する不穏な言動への処分”。
もう一つは……」
「私の、排除」
ジェシカが、淡々と引き取った。
「発言権の剥奪。
社交界からの事実上の追放。
最悪の場合……」
「名誉の失効、ね」
空気が、張り詰める。
だが、ジェシカは怯まなかった。
「想定内よ」
「……本気で言っているのか?」
「ええ。
むしろ、これくらいで済むなら、穏健派」
アルヴィンは、言葉を失った。
その日の午後。
屋敷には、静かに来客が続いていた。
最初に現れたのは、沈黙派の一人――
ラザフォード子爵。
「……正直に言います」
彼は、椅子に腰掛けるなり切り出した。
「あなたに味方するのは、危険だ」
「分かっています」
「だが……」
子爵は、手袋を外し、机に置いた。
「このまま何も言わずにいる方が、
もっと危険だとも思い始めた」
彼の視線は、震えている。
「私の娘も、白の誓約を控えています。
……説明は、ありませんでした」
ジェシカは、静かに答えた。
「あなたが今日、ここに来たこと自体が、
すでに“選んだ”ということです」
子爵は、深く息を吐いた。
その後も、数名の貴族が訪れた。
誰もが、声を張り上げない。
誰もが、決断を恐れている。
だが――
沈黙し続けることへの恐怖が、
確実に勝ち始めていた。
夜。
ジェシカは、一人で書斎にいた。
(評議会は、私を裁く場になる)
(でも――)
窓の外、王都の灯が瞬いている。
(裁かれるのは、私だけじゃない)
白の誓約。
説明なき同意。
伝統という名の、思考停止。
それらすべてが、
“問われる側”に立たされる。
アルヴィンが、そっと扉を叩いた。
「……覚悟は、できているか」
ジェシカは、振り返り、微笑んだ。
「ええ」
そして、はっきりと言う。
「私は、弁明しに行くんじゃない」
彼女の瞳は、静かに燃えていた。
「問いを、突きつけに行く」
翌朝。
評議会前日の王都は、異様なほど静かだった。
嵐の前の、凪。
誰もが知っている。
次の一日で――
この国の“当たり前”が、
変わるかもしれないということを。
ジェシカは、外套を羽織り、玄関に立った。
恐怖は、ある。
孤独も、ある。
だが、それ以上に――
(私は、選ぶ側に立った)
その事実だけが、
彼女の背中を、真っ直ぐに支えていた。
――評議会は、すぐそこだ。
沈黙の時代は、
終わろうとしている。
評議会の開催は、七日後。
王都において、それは“静かな宣戦布告”を意味していた。
「逃げ場は、もうないわね」
ジェシカは、届いた正式通知を机に置いた。
王国貴族評議会――
制度を守る者たちが集い、
異端を“処理”する場所。
アルヴィンは、苦い顔で頷く。
「今回の議題は二つ。
一つは“白の誓約に対する不穏な言動への処分”。
もう一つは……」
「私の、排除」
ジェシカが、淡々と引き取った。
「発言権の剥奪。
社交界からの事実上の追放。
最悪の場合……」
「名誉の失効、ね」
空気が、張り詰める。
だが、ジェシカは怯まなかった。
「想定内よ」
「……本気で言っているのか?」
「ええ。
むしろ、これくらいで済むなら、穏健派」
アルヴィンは、言葉を失った。
その日の午後。
屋敷には、静かに来客が続いていた。
最初に現れたのは、沈黙派の一人――
ラザフォード子爵。
「……正直に言います」
彼は、椅子に腰掛けるなり切り出した。
「あなたに味方するのは、危険だ」
「分かっています」
「だが……」
子爵は、手袋を外し、机に置いた。
「このまま何も言わずにいる方が、
もっと危険だとも思い始めた」
彼の視線は、震えている。
「私の娘も、白の誓約を控えています。
……説明は、ありませんでした」
ジェシカは、静かに答えた。
「あなたが今日、ここに来たこと自体が、
すでに“選んだ”ということです」
子爵は、深く息を吐いた。
その後も、数名の貴族が訪れた。
誰もが、声を張り上げない。
誰もが、決断を恐れている。
だが――
沈黙し続けることへの恐怖が、
確実に勝ち始めていた。
夜。
ジェシカは、一人で書斎にいた。
(評議会は、私を裁く場になる)
(でも――)
窓の外、王都の灯が瞬いている。
(裁かれるのは、私だけじゃない)
白の誓約。
説明なき同意。
伝統という名の、思考停止。
それらすべてが、
“問われる側”に立たされる。
アルヴィンが、そっと扉を叩いた。
「……覚悟は、できているか」
ジェシカは、振り返り、微笑んだ。
「ええ」
そして、はっきりと言う。
「私は、弁明しに行くんじゃない」
彼女の瞳は、静かに燃えていた。
「問いを、突きつけに行く」
翌朝。
評議会前日の王都は、異様なほど静かだった。
嵐の前の、凪。
誰もが知っている。
次の一日で――
この国の“当たり前”が、
変わるかもしれないということを。
ジェシカは、外套を羽織り、玄関に立った。
恐怖は、ある。
孤独も、ある。
だが、それ以上に――
(私は、選ぶ側に立った)
その事実だけが、
彼女の背中を、真っ直ぐに支えていた。
――評議会は、すぐそこだ。
沈黙の時代は、
終わろうとしている。
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