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第二十四話 奇跡の種明かし
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第二十四話 奇跡の種明かし
王城大広間は、再び静まり返っていた。
昨日の召喚は序章にすぎない。
本日は――公開の精査。
王太子、聖女、司祭。 そして重臣、主要貴族、監査官。
民の代表も数名、傍聴席にいる。
もはや密室ではない。
「エレシア・フォルティス」
国王の声が響く。
「奇跡の件、詳細を述べよ」
「承知いたしました」
私は一歩前へ出る。
机の上に並べられるのは、薬剤の瓶、粉末の小袋、帳簿の写し。
「まず、奇跡と呼ばれていた発光現象について」
私は小袋を開ける。
中の粉末を、聖杯と同型の器に落とす。
「焚香に混ぜ、一定の熱を加えますと――」
火を灯す。
淡い光が揺らめいた。
ざわり、と広間が揺れる。
「これは、特殊鉱石を微粉末にしたものです。教会倉庫から押収された在庫と一致しております」
監査官が頷く。
「確認済みです」
次に、薬剤の瓶を掲げる。
「鎮痛・解熱作用を持つ薬草の濃縮液でございます。祈祷前に施療院で投与されていた記録がございます」
宰相が帳簿をめくる。
「奇跡発生日と一致……」
「つまり」
私は静かに言う。
「光は粉末。治癒は薬剤」
沈黙。
「祈りは演出でございました」
ルチアが震える。
「私は……知らなかった……」
「聖女様」
私は視線を向ける。
「祈祷前の準備室で、香の量を調整しておりましたね?」
ルチアの顔が強張る。
「……」
「供給が止まってから、奇跡が止まりました」
それが答え。
司祭が叫ぶ。
「信仰を広めるための工夫だ!」
「工夫で国庫を動かしましたか?」
冷たい一言。
さらに私は別の書面を差し出す。
「王家から教会への支出。そのうち三割が司祭個人口座を経由しております」
ざわめき。
「奇跡祭の舞台装置費用として」
「違う!」
「倉庫から押収された宝石は?」
司祭は言葉を失う。
国王が低く問う。
「王太子。知っていたか」
カイルベルトは拳を握る。
「……俺は、信じた」
「確認は?」
「……していない」
重い沈黙。
私は最後の証拠を差し出す。
「婚約破棄後、フォルティス家は全供給を停止いたしました。その翌日から奇跡は消えました」
論理は明快。
契約があった。 供給があった。 演出があった。
契約が切れた。 供給が止まった。 奇跡が消えた。
「偶然ではございません」
私ははっきりと言う。
「構造です」
大広間は完全に静まり返る。
傍聴席から、低い声が漏れる。
「騙されていたのか……」
「寄付は……」
ルチアは膝から崩れ落ちる。
「私は……祈っただけ……」
だが祈りだけでは光らない。
司祭は青ざめる。
王太子は、顔を歪める。
「エレシア……お前が裏で糸を引いていたのだろう!」
「いいえ」
私は穏やかに首を振る。
「わたくしは契約通りに供給していただけです」
そして。
「婚約破棄により、契約は終了いたしました」
その言葉が、すべてを締める。
国王は立ち上がる。
「奇跡は虚偽と認める」
重臣たちが頭を下げる。
「教会の調査は継続。王家支出の精査も続行」
王太子の顔から血の気が引く。
ルチアは泣き崩れ。
司祭は言葉を失う。
奇跡の種明かし。
それは、ただの暴露ではない。
信仰の崩壊。
王家の軽率の露呈。
そして――
公の場での断罪の始まり。
私は静かに一礼する。
「以上でございます」
ざまぁは、もう隠れない。
光は消えた。
残ったのは、事実だけだった。
王城大広間は、再び静まり返っていた。
昨日の召喚は序章にすぎない。
本日は――公開の精査。
王太子、聖女、司祭。 そして重臣、主要貴族、監査官。
民の代表も数名、傍聴席にいる。
もはや密室ではない。
「エレシア・フォルティス」
国王の声が響く。
「奇跡の件、詳細を述べよ」
「承知いたしました」
私は一歩前へ出る。
机の上に並べられるのは、薬剤の瓶、粉末の小袋、帳簿の写し。
「まず、奇跡と呼ばれていた発光現象について」
私は小袋を開ける。
中の粉末を、聖杯と同型の器に落とす。
「焚香に混ぜ、一定の熱を加えますと――」
火を灯す。
淡い光が揺らめいた。
ざわり、と広間が揺れる。
「これは、特殊鉱石を微粉末にしたものです。教会倉庫から押収された在庫と一致しております」
監査官が頷く。
「確認済みです」
次に、薬剤の瓶を掲げる。
「鎮痛・解熱作用を持つ薬草の濃縮液でございます。祈祷前に施療院で投与されていた記録がございます」
宰相が帳簿をめくる。
「奇跡発生日と一致……」
「つまり」
私は静かに言う。
「光は粉末。治癒は薬剤」
沈黙。
「祈りは演出でございました」
ルチアが震える。
「私は……知らなかった……」
「聖女様」
私は視線を向ける。
「祈祷前の準備室で、香の量を調整しておりましたね?」
ルチアの顔が強張る。
「……」
「供給が止まってから、奇跡が止まりました」
それが答え。
司祭が叫ぶ。
「信仰を広めるための工夫だ!」
「工夫で国庫を動かしましたか?」
冷たい一言。
さらに私は別の書面を差し出す。
「王家から教会への支出。そのうち三割が司祭個人口座を経由しております」
ざわめき。
「奇跡祭の舞台装置費用として」
「違う!」
「倉庫から押収された宝石は?」
司祭は言葉を失う。
国王が低く問う。
「王太子。知っていたか」
カイルベルトは拳を握る。
「……俺は、信じた」
「確認は?」
「……していない」
重い沈黙。
私は最後の証拠を差し出す。
「婚約破棄後、フォルティス家は全供給を停止いたしました。その翌日から奇跡は消えました」
論理は明快。
契約があった。 供給があった。 演出があった。
契約が切れた。 供給が止まった。 奇跡が消えた。
「偶然ではございません」
私ははっきりと言う。
「構造です」
大広間は完全に静まり返る。
傍聴席から、低い声が漏れる。
「騙されていたのか……」
「寄付は……」
ルチアは膝から崩れ落ちる。
「私は……祈っただけ……」
だが祈りだけでは光らない。
司祭は青ざめる。
王太子は、顔を歪める。
「エレシア……お前が裏で糸を引いていたのだろう!」
「いいえ」
私は穏やかに首を振る。
「わたくしは契約通りに供給していただけです」
そして。
「婚約破棄により、契約は終了いたしました」
その言葉が、すべてを締める。
国王は立ち上がる。
「奇跡は虚偽と認める」
重臣たちが頭を下げる。
「教会の調査は継続。王家支出の精査も続行」
王太子の顔から血の気が引く。
ルチアは泣き崩れ。
司祭は言葉を失う。
奇跡の種明かし。
それは、ただの暴露ではない。
信仰の崩壊。
王家の軽率の露呈。
そして――
公の場での断罪の始まり。
私は静かに一礼する。
「以上でございます」
ざまぁは、もう隠れない。
光は消えた。
残ったのは、事実だけだった。
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