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第二十六話 司祭断罪
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第二十六話 司祭断罪
聖女が連行された翌日。
王城の審問室には、重い沈黙が落ちていた。
高い窓から差し込む光が、石床に細い線を描いている。
その中央に、司祭グレゴリウスは立たされていた。
もはや白い法衣はない。
簡素な拘束衣。
背筋は曲がり、額には汗。
「教会監査の結果を報告せよ」
国王の声が、冷たく響く。
監査官が前に出る。
「王家からの特別支出のうち、三割が司祭個人口座を経由。用途不明金が多数確認されました」
「用途は」
「国外口座への移動。私的資産形成と推定」
ざわめき。
さらに帳簿が広げられる。
「奇跡祭における演出費用。光粉、薬剤、装飾、すべて教会倉庫経由」
監査官の声は揺らがない。
「祈祷前の事前投薬記録も確認済み」
司祭が叫ぶ。
「信仰を守るためだった!」
「信仰は、金で買うものか」
宰相の一言が重く落ちる。
「民の寄付を、私財へと転じたな」
「違う……私は教会を……!」
「夜間の逃亡未遂は?」
沈黙。
言い逃れはできない。
石畳に転がった金貨は、すでに証拠として提出されている。
私は一歩前に出る。
「教会が求めた支援は、施療院のためと伺っておりました」
視線が集まる。
「しかし実際は、奇跡演出と私的流用」
静かな声。
「契約違反でございます」
司祭の肩が震える。
「フォルティス家が供給を止めたからだ!」
「供給は契約に基づくものでした」
私は淡々と答える。
「婚約破棄の際、殿下は公の場で契約終了を宣言なさいました」
その言葉が、再び重く響く。
すべてはあの日から。
王太子の一言から。
国王はゆっくりと立ち上がる。
「グレゴリウス」
名を呼ぶ声は、冷たい。
「教会の名を借り、民を欺き、王家の金を私物化した」
司祭は膝をつく。
「陛下……慈悲を……!」
「慈悲は、民に向けるものだ」
重い沈黙。
「聖職を剥奪する」
ざわり、と空気が揺れる。
「財産は全て没収。国外口座も凍結」
司祭の顔から血の気が引く。
「さらに、王国法に基づき労役刑とする」
その宣告は、完全な終わりだった。
「そ、そんな……私は……」
言葉は続かない。
衛兵が両脇を固める。
かつて王太子と並び立った男は、力なく連行されていく。
教会の権威は、地に落ちた。
王城大広間には、重い静寂だけが残る。
カイルベルトは青ざめたまま動かない。
自分が重用した男。
信じた“神の代弁者”。
その末路。
私は視線を伏せる。
断罪は、感情ではない。
事実の積み重ね。
司祭断罪。
それは単なる処罰ではない。
教会の腐敗の終焉。
そして――
王太子の判断の誤りが、公の場で確定した瞬間。
ざまぁは、もう引き返さない。
残るは、最後の柱だけ。
聖女が連行された翌日。
王城の審問室には、重い沈黙が落ちていた。
高い窓から差し込む光が、石床に細い線を描いている。
その中央に、司祭グレゴリウスは立たされていた。
もはや白い法衣はない。
簡素な拘束衣。
背筋は曲がり、額には汗。
「教会監査の結果を報告せよ」
国王の声が、冷たく響く。
監査官が前に出る。
「王家からの特別支出のうち、三割が司祭個人口座を経由。用途不明金が多数確認されました」
「用途は」
「国外口座への移動。私的資産形成と推定」
ざわめき。
さらに帳簿が広げられる。
「奇跡祭における演出費用。光粉、薬剤、装飾、すべて教会倉庫経由」
監査官の声は揺らがない。
「祈祷前の事前投薬記録も確認済み」
司祭が叫ぶ。
「信仰を守るためだった!」
「信仰は、金で買うものか」
宰相の一言が重く落ちる。
「民の寄付を、私財へと転じたな」
「違う……私は教会を……!」
「夜間の逃亡未遂は?」
沈黙。
言い逃れはできない。
石畳に転がった金貨は、すでに証拠として提出されている。
私は一歩前に出る。
「教会が求めた支援は、施療院のためと伺っておりました」
視線が集まる。
「しかし実際は、奇跡演出と私的流用」
静かな声。
「契約違反でございます」
司祭の肩が震える。
「フォルティス家が供給を止めたからだ!」
「供給は契約に基づくものでした」
私は淡々と答える。
「婚約破棄の際、殿下は公の場で契約終了を宣言なさいました」
その言葉が、再び重く響く。
すべてはあの日から。
王太子の一言から。
国王はゆっくりと立ち上がる。
「グレゴリウス」
名を呼ぶ声は、冷たい。
「教会の名を借り、民を欺き、王家の金を私物化した」
司祭は膝をつく。
「陛下……慈悲を……!」
「慈悲は、民に向けるものだ」
重い沈黙。
「聖職を剥奪する」
ざわり、と空気が揺れる。
「財産は全て没収。国外口座も凍結」
司祭の顔から血の気が引く。
「さらに、王国法に基づき労役刑とする」
その宣告は、完全な終わりだった。
「そ、そんな……私は……」
言葉は続かない。
衛兵が両脇を固める。
かつて王太子と並び立った男は、力なく連行されていく。
教会の権威は、地に落ちた。
王城大広間には、重い静寂だけが残る。
カイルベルトは青ざめたまま動かない。
自分が重用した男。
信じた“神の代弁者”。
その末路。
私は視線を伏せる。
断罪は、感情ではない。
事実の積み重ね。
司祭断罪。
それは単なる処罰ではない。
教会の腐敗の終焉。
そして――
王太子の判断の誤りが、公の場で確定した瞬間。
ざまぁは、もう引き返さない。
残るは、最後の柱だけ。
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