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第4話 冬の訪れと、初めての告白
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第4話 冬の訪れと、初めての告白
12月に入り、街は一気に冬の装いになった。
駅前の通りには小さなイルミネーションが灯り始め、「モカ」の窓にもクリスマスリースが飾られた。空気は冷たく澄んで、吐く息が白く舞う。
あかりと悠人の出会いから、3週間が経っていた。
悠人の言う通り、平日は毎日会うことは難しくなった。受験勉強が本格化し、塾や自宅で遅くまで過去問を解く日々が続いていた。
それでも、週末は必ず「モカ」で顔を合わせた。土曜日か日曜日、どちらかは絶対に。時には両方。
連絡先は、雨の日の翌週末に交換した。
初めてのLINEは、悠人から。
【今日は模試終わった! 疲れたけど、手応えあったよ。明日、モカで報告したい】
【了解! 楽しみにしてる】
それを読んだ瞬間、あかりはベッドで飛び上がって喜んだ。
それ以来、短いやり取りが毎日続いている。
「おはよう。今日寒いね、風邪引かないように」
「過去問5セット終わった……頭パンクしそう」
「がんばれ! 私も期末テスト勉強中。一緒にファイト!」
そんなささやかなメッセージが、二人の距離を繋いでいた。
そして、12月の第二週の土曜日。
朝から雪がちらついていた。珍しい12月の初雪。
あかりは少し早めに家を出て、「モカ」に向かった。コートの下にマフラーを巻き、手には小さな紙袋。昨日、妹と一緒にクッキーを焼いたのだ。悠人に食べてもらいたくて、少し持ってきた。
店内は暖房が効いていて、窓ガラスが少し曇っている。いつもの席に座り、ホットココアを注文。今日はシナモンをトッピング。
悠人は少し遅れて来た。コートの襟に雪が残り、頬が赤い。
「ごめん、電車遅れてて」
「ううん、大丈夫。雪、積もってる?」
「少しだけ。歩いてるとき、綺麗だったよ」
二人は向かい合って座った。
悠人はブラックコーヒーとアップルパイを注文。
「最近、甘いものが欲しくて。脳のエネルギー補給」
「ふふ、じゃあ、これ食べて」
あかりは紙袋をそっと差し出した。
「え、何?」
「昨日、妹と焼いたクッキー。悠人くんに食べてほしくて」
悠人の目が丸くなった。
「マジで? ありがとう……めっちゃ嬉しい」
袋を開けて、一つ口に入れる。
「……うまい! バターの香りがいいね」
「良かった……」
あかりはほっと胸を撫で下ろした。
その日は、ゆったりとした時間が流れた。
雪が窓の外で静かに降り続け、店内のジャズが優しく聞こえる。
話題は自然とクリスマスのことに。
「クリスマス、もうすぐだね」
あかりが言うと、悠人はコーヒーを飲んで少し考え込んだ。
「うん……俺、クリスマスってあんまりイベントっぽく過ごしたことなくて」
「え、私も! 家族とケーキ食べて終わり、みたいな」
二人は笑い合った。
でも、ふと沈黙が訪れた。
悠人がカップを置いて、あかりをまっすぐ見た。
「あかりちゃん」
「うん?」
「クリスマス……一緒に過ごさない?」
その言葉に、あかりの心臓が大きく跳ねた。
「え……一緒に?」
「うん。24日か25日、どっちか空いてる? 俺、24日は塾ないんだ」
あかりはスマホのカレンダーを確認。24日はイブで、学校は冬休み。
「24日……私、空いてる」
「じゃあ、決まり」
悠人がにこっと笑った。
「どこか行きたいところ、ある?」
「うーん……イルミネーション見に行ったり?」
「いいね。駅前の大きいやつ、まだ見てないんだ」
「私も!」
二人は目を輝かせて計画を立て始めた。
待ち合わせ時間、温かいもので食べようか、など。
まるで小さなデートのような話に、あかりの頬は自然と緩んだ。
さらに、悠人が少し照れくさそうに続けた。
「実はさ……あかりちゃんに、ちゃんと伝えたいことがあって」
あかりの胸がどきどき鳴る。
「うん……?」
「俺、あかりちゃんと会うようになってから、毎日が楽しいんだ。勉強も頑張れるし、未来のこと考えるのもワクワクする」
悠人は一度息を吸って、目を逸らさずに言った。
「好きだよ。あかりちゃんのこと」
突然の告白に、あかりは言葉を失った。
頬が熱くなり、目頭がじんわりする。
「私も……悠人くん、好き」
小声で返すと、悠人はほっとしたように笑った。
「良かった……ずっと言いたかったんだ」
二人はテーブル越しに手を握った。
温かくて、少し震えていた。
時計が7時を回る頃、外の雪は止んでいた。
「じゃあ、今日はこの辺で」
二人は一緒に店を出た。
雪が薄く積もった歩道を並んで歩く。
「クッキー、本当にありがとう。また食べたいな」
「次はもっと上手に焼くよ」
駅までの道、いつもよりゆっくり歩いた。
改札の前。
「じゃあ、クリスマス楽しみにしてる」
悠人があかりの目を見つめた。
「俺、本当に幸せだよ。あかりちゃんに出会えて」
「私も……」
悠人が軽くあかりを抱き寄せ、頬にキスをした。
冷たい空気の中、温かかった。
電車に乗ってからも、あかりは頬に触れて、にやにやが止まらなかった。
――クリスマス、一緒に過ごせる。
しかも、両想い。
冬の夜空に、星が少し見えていた。
(第4話 終わり)
12月に入り、街は一気に冬の装いになった。
駅前の通りには小さなイルミネーションが灯り始め、「モカ」の窓にもクリスマスリースが飾られた。空気は冷たく澄んで、吐く息が白く舞う。
あかりと悠人の出会いから、3週間が経っていた。
悠人の言う通り、平日は毎日会うことは難しくなった。受験勉強が本格化し、塾や自宅で遅くまで過去問を解く日々が続いていた。
それでも、週末は必ず「モカ」で顔を合わせた。土曜日か日曜日、どちらかは絶対に。時には両方。
連絡先は、雨の日の翌週末に交換した。
初めてのLINEは、悠人から。
【今日は模試終わった! 疲れたけど、手応えあったよ。明日、モカで報告したい】
【了解! 楽しみにしてる】
それを読んだ瞬間、あかりはベッドで飛び上がって喜んだ。
それ以来、短いやり取りが毎日続いている。
「おはよう。今日寒いね、風邪引かないように」
「過去問5セット終わった……頭パンクしそう」
「がんばれ! 私も期末テスト勉強中。一緒にファイト!」
そんなささやかなメッセージが、二人の距離を繋いでいた。
そして、12月の第二週の土曜日。
朝から雪がちらついていた。珍しい12月の初雪。
あかりは少し早めに家を出て、「モカ」に向かった。コートの下にマフラーを巻き、手には小さな紙袋。昨日、妹と一緒にクッキーを焼いたのだ。悠人に食べてもらいたくて、少し持ってきた。
店内は暖房が効いていて、窓ガラスが少し曇っている。いつもの席に座り、ホットココアを注文。今日はシナモンをトッピング。
悠人は少し遅れて来た。コートの襟に雪が残り、頬が赤い。
「ごめん、電車遅れてて」
「ううん、大丈夫。雪、積もってる?」
「少しだけ。歩いてるとき、綺麗だったよ」
二人は向かい合って座った。
悠人はブラックコーヒーとアップルパイを注文。
「最近、甘いものが欲しくて。脳のエネルギー補給」
「ふふ、じゃあ、これ食べて」
あかりは紙袋をそっと差し出した。
「え、何?」
「昨日、妹と焼いたクッキー。悠人くんに食べてほしくて」
悠人の目が丸くなった。
「マジで? ありがとう……めっちゃ嬉しい」
袋を開けて、一つ口に入れる。
「……うまい! バターの香りがいいね」
「良かった……」
あかりはほっと胸を撫で下ろした。
その日は、ゆったりとした時間が流れた。
雪が窓の外で静かに降り続け、店内のジャズが優しく聞こえる。
話題は自然とクリスマスのことに。
「クリスマス、もうすぐだね」
あかりが言うと、悠人はコーヒーを飲んで少し考え込んだ。
「うん……俺、クリスマスってあんまりイベントっぽく過ごしたことなくて」
「え、私も! 家族とケーキ食べて終わり、みたいな」
二人は笑い合った。
でも、ふと沈黙が訪れた。
悠人がカップを置いて、あかりをまっすぐ見た。
「あかりちゃん」
「うん?」
「クリスマス……一緒に過ごさない?」
その言葉に、あかりの心臓が大きく跳ねた。
「え……一緒に?」
「うん。24日か25日、どっちか空いてる? 俺、24日は塾ないんだ」
あかりはスマホのカレンダーを確認。24日はイブで、学校は冬休み。
「24日……私、空いてる」
「じゃあ、決まり」
悠人がにこっと笑った。
「どこか行きたいところ、ある?」
「うーん……イルミネーション見に行ったり?」
「いいね。駅前の大きいやつ、まだ見てないんだ」
「私も!」
二人は目を輝かせて計画を立て始めた。
待ち合わせ時間、温かいもので食べようか、など。
まるで小さなデートのような話に、あかりの頬は自然と緩んだ。
さらに、悠人が少し照れくさそうに続けた。
「実はさ……あかりちゃんに、ちゃんと伝えたいことがあって」
あかりの胸がどきどき鳴る。
「うん……?」
「俺、あかりちゃんと会うようになってから、毎日が楽しいんだ。勉強も頑張れるし、未来のこと考えるのもワクワクする」
悠人は一度息を吸って、目を逸らさずに言った。
「好きだよ。あかりちゃんのこと」
突然の告白に、あかりは言葉を失った。
頬が熱くなり、目頭がじんわりする。
「私も……悠人くん、好き」
小声で返すと、悠人はほっとしたように笑った。
「良かった……ずっと言いたかったんだ」
二人はテーブル越しに手を握った。
温かくて、少し震えていた。
時計が7時を回る頃、外の雪は止んでいた。
「じゃあ、今日はこの辺で」
二人は一緒に店を出た。
雪が薄く積もった歩道を並んで歩く。
「クッキー、本当にありがとう。また食べたいな」
「次はもっと上手に焼くよ」
駅までの道、いつもよりゆっくり歩いた。
改札の前。
「じゃあ、クリスマス楽しみにしてる」
悠人があかりの目を見つめた。
「俺、本当に幸せだよ。あかりちゃんに出会えて」
「私も……」
悠人が軽くあかりを抱き寄せ、頬にキスをした。
冷たい空気の中、温かかった。
電車に乗ってからも、あかりは頬に触れて、にやにやが止まらなかった。
――クリスマス、一緒に過ごせる。
しかも、両想い。
冬の夜空に、星が少し見えていた。
(第4話 終わり)
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