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第5話 クリスマスイブの約束と、別れの予感
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第5話 クリスマスイブの約束と、別れの予感
12月24日、クリスマスイブ。
朝から空は快晴で、冷たい空気が肌を刺すように澄んでいた。街はイルミネーションで華やかになり、駅前の大通りには巨大なクリスマスツリーが輝いている。
あかりは朝からそわそわしていた。
昨夜、悠人とLINEで最終確認。
【14時に駅前のツリーの下で。遅れないようにね!】
【了解! めっちゃ楽しみ】
服を選ぶのに時間がかかった。白のニットにチェックのスカート、赤いマフラー。コートはベージュのロングで、手袋も忘れずに。鏡の前でくるくる回り、妹に「デートだろ?」とからかわれながら、家を出た。
駅に着いたのは13時45分。待ち合わせ15分前。
ツリーの下にはカップルや家族連れがたくさん。写真を撮ったり笑い合ったりしている。あかりは人混みの中で、少し緊張しながらスマホを握りしめていた。
――初めての、ちゃんとしたデート。
「モカ」で会うのとは違う。今日は二人だけで街を歩き、ご飯を食べ、イルミネーションを見る。想像するだけで胸がどきどきする。
14時ちょうど。
「あかりちゃん!」
後ろから声がして、振り返ると悠人が走って近づいてきた。
黒のコートにダークグレーのマフラー。手には紙袋。息を少し切らしながら、にこっと笑う。
「ごめん、電車混んでてギリギリ」
「ううん、私も今来た」
二人は少し照れながら顔を見合わせた。
悠人の頬が寒さで赤い。それが可愛くて、あかりは思わず笑った。
「なんか……今日、特別だね」
「ああ、本当に」
まずはイルミネーションを眺めながら、ゆっくり歩き始めた。
ツリーのライトがキラキラ瞬き、周りの建物も色とりどりの飾り。クリスマスソングが流れ、街全体が優しい雰囲気に包まれていた。
「綺麗……」
あかりが呟くと、悠人が頷いた。
「うん。去年までは一人で通り過ぎるだけだったけど、今日は全然違う」
肩が触れ合う距離で歩く。
悠人が紙袋を差し出した。
「これ、あかりちゃんに」
「え、何?」
「開けてみて」
中は小さな箱。開けると、シルバーの星型のネックレス。
「『星の王子さま』思い出したくて。シンプルなやつ探したんだけど」
あかりは言葉を失った。
「ありがとう……すごく嬉しい」
悠人が後ろに回って、ネックレスをかけてくれる。冷たいチェーンが首に触れるけど、指が温かかった。
「似合うよ」
頬が熱くなる。
「お礼に……これ」
あかりもバッグから包みを取り出した。手編みの紺色のマフラー。
「編み物下手だけど……温かくしてほしくて」
悠人は目を丸くして、すぐに首に巻いた。
「めっちゃ嬉しい! ありがとう。大事にする」
二人は笑い合って、また歩き始めた。
夕方近く、お腹が空いたねということになり、近くのカフェへ。
窓際の席で、ホットチョコレートとケーキセット。外のイルミネーションが見える特等席。
「受験まであと少しだね」
あかりが言うと、悠人は少し真面目な顔をした。
「うん。第一志望、頑張るよ。あかりちゃんに応援してもらってるから」
「私も、悠人くんが受かるって信じてる」
ケーキを分け合いながら、未来の話をした。
大学に行ったらどんな生活か、一緒にフランス旅行とかしてみたいね、なんて。
外が暗くなった頃、カフェを出て、広場へ。
ライトアップされた噴水が音楽に合わせて色を変える。人混みの中で、自然と手を繋いでいた。
指が絡まり、温かい。
「今日は、本当に楽しかった」
悠人が小声で言った。
「私も……一生忘れないと思う」
時計が8時を回る頃、帰ろうかとなった。
駅に向かう道、いつもよりゆっくり。
改札の前。
「じゃあ……また、年明けに」
悠人が少し寂しそうに言った。
「うん。LINEするね。お正月も、がんばろう」
「あかりちゃん」
悠人が一歩近づいて、目をまっすぐ見た。
「来年、俺大学入ったら……少し離れちゃうけど、絶対続けてたい。この気持ち」
あかりの胸が締めつけられた。
受験が終われば、悠人は大学生。あかりはまだ高校生。
「私も……絶対、続けてたい」
悠人は優しく微笑んで、あかりを抱き寄せた。
軽いハグ。コートの布越しに、互いの温もりが伝わる。
「好きだよ」
「私も」
離れて、改札を通るとき、あかりは振り返った。
悠人がまだ手を振っている。
電車の中で、首元のネックレスに触れる。
――クリスマスの魔法、って本当にあるんだ。
でも、同時に、少しの不安も感じていた。
来年、悠人くんは新しい世界へ。
私は、まだここにいる。
それでも、この気持ちがあれば、大丈夫。
家に帰ってからも、胸の奥がずっと温かかった。
12月24日、クリスマスイブ。
朝から空は快晴で、冷たい空気が肌を刺すように澄んでいた。街はイルミネーションで華やかになり、駅前の大通りには巨大なクリスマスツリーが輝いている。
あかりは朝からそわそわしていた。
昨夜、悠人とLINEで最終確認。
【14時に駅前のツリーの下で。遅れないようにね!】
【了解! めっちゃ楽しみ】
服を選ぶのに時間がかかった。白のニットにチェックのスカート、赤いマフラー。コートはベージュのロングで、手袋も忘れずに。鏡の前でくるくる回り、妹に「デートだろ?」とからかわれながら、家を出た。
駅に着いたのは13時45分。待ち合わせ15分前。
ツリーの下にはカップルや家族連れがたくさん。写真を撮ったり笑い合ったりしている。あかりは人混みの中で、少し緊張しながらスマホを握りしめていた。
――初めての、ちゃんとしたデート。
「モカ」で会うのとは違う。今日は二人だけで街を歩き、ご飯を食べ、イルミネーションを見る。想像するだけで胸がどきどきする。
14時ちょうど。
「あかりちゃん!」
後ろから声がして、振り返ると悠人が走って近づいてきた。
黒のコートにダークグレーのマフラー。手には紙袋。息を少し切らしながら、にこっと笑う。
「ごめん、電車混んでてギリギリ」
「ううん、私も今来た」
二人は少し照れながら顔を見合わせた。
悠人の頬が寒さで赤い。それが可愛くて、あかりは思わず笑った。
「なんか……今日、特別だね」
「ああ、本当に」
まずはイルミネーションを眺めながら、ゆっくり歩き始めた。
ツリーのライトがキラキラ瞬き、周りの建物も色とりどりの飾り。クリスマスソングが流れ、街全体が優しい雰囲気に包まれていた。
「綺麗……」
あかりが呟くと、悠人が頷いた。
「うん。去年までは一人で通り過ぎるだけだったけど、今日は全然違う」
肩が触れ合う距離で歩く。
悠人が紙袋を差し出した。
「これ、あかりちゃんに」
「え、何?」
「開けてみて」
中は小さな箱。開けると、シルバーの星型のネックレス。
「『星の王子さま』思い出したくて。シンプルなやつ探したんだけど」
あかりは言葉を失った。
「ありがとう……すごく嬉しい」
悠人が後ろに回って、ネックレスをかけてくれる。冷たいチェーンが首に触れるけど、指が温かかった。
「似合うよ」
頬が熱くなる。
「お礼に……これ」
あかりもバッグから包みを取り出した。手編みの紺色のマフラー。
「編み物下手だけど……温かくしてほしくて」
悠人は目を丸くして、すぐに首に巻いた。
「めっちゃ嬉しい! ありがとう。大事にする」
二人は笑い合って、また歩き始めた。
夕方近く、お腹が空いたねということになり、近くのカフェへ。
窓際の席で、ホットチョコレートとケーキセット。外のイルミネーションが見える特等席。
「受験まであと少しだね」
あかりが言うと、悠人は少し真面目な顔をした。
「うん。第一志望、頑張るよ。あかりちゃんに応援してもらってるから」
「私も、悠人くんが受かるって信じてる」
ケーキを分け合いながら、未来の話をした。
大学に行ったらどんな生活か、一緒にフランス旅行とかしてみたいね、なんて。
外が暗くなった頃、カフェを出て、広場へ。
ライトアップされた噴水が音楽に合わせて色を変える。人混みの中で、自然と手を繋いでいた。
指が絡まり、温かい。
「今日は、本当に楽しかった」
悠人が小声で言った。
「私も……一生忘れないと思う」
時計が8時を回る頃、帰ろうかとなった。
駅に向かう道、いつもよりゆっくり。
改札の前。
「じゃあ……また、年明けに」
悠人が少し寂しそうに言った。
「うん。LINEするね。お正月も、がんばろう」
「あかりちゃん」
悠人が一歩近づいて、目をまっすぐ見た。
「来年、俺大学入ったら……少し離れちゃうけど、絶対続けてたい。この気持ち」
あかりの胸が締めつけられた。
受験が終われば、悠人は大学生。あかりはまだ高校生。
「私も……絶対、続けてたい」
悠人は優しく微笑んで、あかりを抱き寄せた。
軽いハグ。コートの布越しに、互いの温もりが伝わる。
「好きだよ」
「私も」
離れて、改札を通るとき、あかりは振り返った。
悠人がまだ手を振っている。
電車の中で、首元のネックレスに触れる。
――クリスマスの魔法、って本当にあるんだ。
でも、同時に、少しの不安も感じていた。
来年、悠人くんは新しい世界へ。
私は、まだここにいる。
それでも、この気持ちがあれば、大丈夫。
家に帰ってからも、胸の奥がずっと温かかった。
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