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第12話 学内魔法大会、首席の圧勝
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第12話 学内魔法大会、首席の圧勝
王立魔導アカデミーの中央競技場は、観客で埋め尽くされていた。
円形の巨大結界が中央に張られ、周囲の観覧席は新入生から上級生、教授陣まで数百人が詰めかけている。
屋外の特設会場ということもあり、青空の下で魔法の光がより鮮やかに映える。
大会は新入生同士の模擬戦トーナメント。
数試合が同時進行で進み、すでに準決勝まで終了。
そして、今――決勝戦。
アリーナ・フォン・エルドリア VS ミラン
観客席から、どよめきと歓声が上がる。
「ついに来たわ! 婚約破棄の因縁対決!」
「首席の実力、どこまで本物かしら」
「ミラン嬢は王太子殿下の婚約者よ。負けられないはず」
審査員席には、ルクシオ教授をはじめとする教授陣。
ルクシオの金色の瞳が、静かに競技場を見下ろしている。
控え室で待機していたアリーナは、試験官の呼び声でゆっくりと場内へ進んだ。
銀色の髪を高く結い上げ、黒ローブが風にはためく。
胸元のペンダントが、わずかに光を放つ。
対するミランは、赤いリボンを髪に飾り、自信たっぷりの笑みで中央に立つ。
「アリーナさん、よろしくね。
今日は、本気でいくわよ」
声は明るいが、目は鋭い。
アリーナは静かに一礼した。
「こちらこそ」
試験官の声が、魔法拡声で響く。
「決勝戦! アリーナ・フォン・エルドリア対ミラン!
ルールは単純。結界外へ出すか、降参させるか、審査員の判定で決着。
不正魔法、致命傷を狙う攻撃は禁止。
準備はいいか?」
二人が頷く。
「では――開始!」
ゴングが鳴った瞬間、ミランが先制した。
「フレイム・ウェーブ!」
赤い炎の波が、アリーナに向かって押し寄せる。
観客席がどよめく。
速い! しかも威力が高い。
アリーナは冷静に。
「アクア・ヴェール!」
水の薄い膜が全身を覆い、炎の波を完全に防ぐ。
熱は感じるが、ダメージはゼロ。
ミランが目を細めた。
「ふん、防御は固いわね。
でも、どうかしら!」
次にミランが放ったのは、炎の連鎖。
「インフェルノ・チェイン!」
炎が鎖状に伸び、アリーナの周囲を囲むように襲いかかる。
逃げ場を塞ぐ、ミランの得意技。
観客が息を呑む。
アリーナは、静かに呟いた。
「ウィンド・シフト」
風を操り、炎の鎖の軌道をわずかにずらす。
隙間からスッと抜け、反撃。
「アクア・ランス!」
三本の水の槍が、ミランを狙う。
ミランは慌てて炎の壁を張る。
「フレイム・シールド!」
水と炎がぶつかり、大量の蒸気が発生。
競技場が白い霧に包まれる。
「見えないわね……」
観客がざわつく。
その霧の中から、アリーナの声。
「ハイドロ・サイクロン」
低く、静かな詠唱。
次の瞬間、巨大な水と風の渦が競技場中央に発生した。
水竜巻が蒸気を一瞬で吸い込み、視界がクリアになる。
ミランが、驚愕の表情でそれを見上げる。
「なっ……そんな魔法、新入生が!?」
水竜巻はミランの周囲を囲み、炎の魔力を急速に奪っていく。
炎は酸素と熱が必要。
水と風の複合で、それを完全に封じる。
ミランが焦って炎を爆発させる。
「フレイム・バースト!」
爆発で竜巻を破ろうとするが、水が熱を吸収し、威力は半減。
アリーナは、静かに近づく。
「ミランさん、あなたの炎は美しいわ。
でも、熱だけじゃ、勝てない」
ミランの顔が、初めて歪んだ。
「黙りなさい!
私は王太子殿下の婚約者よ!
あなたみたいな、捨てられた女に負けるわけない!」
ミランが、隠し持っていたアーティファクトを起動させたらしい。
体から赤い光が溢れ、魔力が急激に上昇。
不正な魔力増幅具。
観客席がざわつく。
「ちょっと、あれって……」
「魔力増幅の禁忌具じゃない!?」
審査員席で、ルクシオが立ち上がった。
「不正だ。
試合中止――」
だが、アリーナが手を挙げた。
「待ってください!
私に、任せて」
ルクシオが、一瞬迷ったが、頷いた。
ミランの魔力が、異常なまでに膨張。
「これで終わりよ! インフェルノ・ノヴァ!」
巨大な炎の球が、アリーナを飲み込もうとする。
観客が悲鳴を上げる。
そのとき、アリーナの胸元のペンダントが光った。
ルクシオの魔力が、共鳴する。
アリーナは、静かに両手を広げた。
「アクア・ドミニオン」
古代魔法に近い、水の支配領域。
競技場全体に、水の魔力が広がる。
炎の球が、触れた瞬間――消滅した。
熱が奪われ、水蒸気すら残らない。
ミランの目が、見開かれる。
「う、嘘……私の最強魔法が……」
アリーナは、ゆっくりと歩み寄る。
「ミランさん、もう終わりよ」
最後に、優しく水の渦をミランの足元に発生させる。
ミランがバランスを崩し、結界外へ滑り出る。
――決着。
競技場が、一瞬静まり返った。
次の瞬間、割れんばかりの歓声。
「勝った! 首席の圧勝!」
「すごい……完封だった!」
「ミラン、完敗……」
ミランは結界外で、呆然と座り込んでいた。
取り巻きたちが慌てて駆け寄るが、ミランは顔を覆った。
試験官が宣言。
「勝者、アリーナ・フォン・エルドリア!
大会優勝!」
アリーナは、観客席に向かって一礼した。
ルクシオの席で、金色の瞳が満足げに細められている。
大会後、控え室。
リアが飛びついてきた。
「アリーナ! すごかった! かっこよすぎ!!」
他の新入生たちも、祝福に駆け寄る。
ミランの不正は、審査員により没収・処分が決定。
王宮にも報告されるだろう。
アリーナは、みんなに囲まれながら、静かにペンダントを握った。
ありがとう、教授。
夜、王宮。
レコルトは、報告書を読んでいた。
『新入生大会で、ミランが不正使用で敗北。
相手はアリーナ・フォン・エルドリア。圧倒的勝利』
レコルトの手が、わずかに震えた。
「……アリーナが?」
ミランからの手紙も届いていた。
『殿下、ごめんなさい……あの子、強すぎて……』
レコルトの胸に、初めて後悔の棘が深く刺さった。
あのとき、破棄しなければ。
アリーナは、今も自分の婚約者だったのに。
一方、アリーナは研究室でルクシオに報告していた。
「優勝しました」
ルクシオは、珍しく笑みを浮かべた。
「見た。
完璧だった」
アリーナが、ペンダントを返すと、ルクシオは首を振った。
「持っていろ。
君に、似合う」
アリーナの頰が、赤くなった。
「……ありがとうございます」
ルクシオが、少し近づいた。
「これからも、指導は続ける。
もっと、強くなれ」
アリーナは、はっきりと頷いた。
「はい。
教授と、一緒に」
二人の距離が、少し縮まった気がした。
大会の勝利は、小さなザマアの始まり。
ミランの失墜。
レコルトへの届く後悔。
そして、ルクシオとの絆。
アリーナの物語は、まだまだ続く。
学内での地位は、確固たるものになった。
次は、もっと大きな舞台で。
王国レベルの危機で。
私の力を、みんなに見せてあげる。
王立魔導アカデミーの中央競技場は、観客で埋め尽くされていた。
円形の巨大結界が中央に張られ、周囲の観覧席は新入生から上級生、教授陣まで数百人が詰めかけている。
屋外の特設会場ということもあり、青空の下で魔法の光がより鮮やかに映える。
大会は新入生同士の模擬戦トーナメント。
数試合が同時進行で進み、すでに準決勝まで終了。
そして、今――決勝戦。
アリーナ・フォン・エルドリア VS ミラン
観客席から、どよめきと歓声が上がる。
「ついに来たわ! 婚約破棄の因縁対決!」
「首席の実力、どこまで本物かしら」
「ミラン嬢は王太子殿下の婚約者よ。負けられないはず」
審査員席には、ルクシオ教授をはじめとする教授陣。
ルクシオの金色の瞳が、静かに競技場を見下ろしている。
控え室で待機していたアリーナは、試験官の呼び声でゆっくりと場内へ進んだ。
銀色の髪を高く結い上げ、黒ローブが風にはためく。
胸元のペンダントが、わずかに光を放つ。
対するミランは、赤いリボンを髪に飾り、自信たっぷりの笑みで中央に立つ。
「アリーナさん、よろしくね。
今日は、本気でいくわよ」
声は明るいが、目は鋭い。
アリーナは静かに一礼した。
「こちらこそ」
試験官の声が、魔法拡声で響く。
「決勝戦! アリーナ・フォン・エルドリア対ミラン!
ルールは単純。結界外へ出すか、降参させるか、審査員の判定で決着。
不正魔法、致命傷を狙う攻撃は禁止。
準備はいいか?」
二人が頷く。
「では――開始!」
ゴングが鳴った瞬間、ミランが先制した。
「フレイム・ウェーブ!」
赤い炎の波が、アリーナに向かって押し寄せる。
観客席がどよめく。
速い! しかも威力が高い。
アリーナは冷静に。
「アクア・ヴェール!」
水の薄い膜が全身を覆い、炎の波を完全に防ぐ。
熱は感じるが、ダメージはゼロ。
ミランが目を細めた。
「ふん、防御は固いわね。
でも、どうかしら!」
次にミランが放ったのは、炎の連鎖。
「インフェルノ・チェイン!」
炎が鎖状に伸び、アリーナの周囲を囲むように襲いかかる。
逃げ場を塞ぐ、ミランの得意技。
観客が息を呑む。
アリーナは、静かに呟いた。
「ウィンド・シフト」
風を操り、炎の鎖の軌道をわずかにずらす。
隙間からスッと抜け、反撃。
「アクア・ランス!」
三本の水の槍が、ミランを狙う。
ミランは慌てて炎の壁を張る。
「フレイム・シールド!」
水と炎がぶつかり、大量の蒸気が発生。
競技場が白い霧に包まれる。
「見えないわね……」
観客がざわつく。
その霧の中から、アリーナの声。
「ハイドロ・サイクロン」
低く、静かな詠唱。
次の瞬間、巨大な水と風の渦が競技場中央に発生した。
水竜巻が蒸気を一瞬で吸い込み、視界がクリアになる。
ミランが、驚愕の表情でそれを見上げる。
「なっ……そんな魔法、新入生が!?」
水竜巻はミランの周囲を囲み、炎の魔力を急速に奪っていく。
炎は酸素と熱が必要。
水と風の複合で、それを完全に封じる。
ミランが焦って炎を爆発させる。
「フレイム・バースト!」
爆発で竜巻を破ろうとするが、水が熱を吸収し、威力は半減。
アリーナは、静かに近づく。
「ミランさん、あなたの炎は美しいわ。
でも、熱だけじゃ、勝てない」
ミランの顔が、初めて歪んだ。
「黙りなさい!
私は王太子殿下の婚約者よ!
あなたみたいな、捨てられた女に負けるわけない!」
ミランが、隠し持っていたアーティファクトを起動させたらしい。
体から赤い光が溢れ、魔力が急激に上昇。
不正な魔力増幅具。
観客席がざわつく。
「ちょっと、あれって……」
「魔力増幅の禁忌具じゃない!?」
審査員席で、ルクシオが立ち上がった。
「不正だ。
試合中止――」
だが、アリーナが手を挙げた。
「待ってください!
私に、任せて」
ルクシオが、一瞬迷ったが、頷いた。
ミランの魔力が、異常なまでに膨張。
「これで終わりよ! インフェルノ・ノヴァ!」
巨大な炎の球が、アリーナを飲み込もうとする。
観客が悲鳴を上げる。
そのとき、アリーナの胸元のペンダントが光った。
ルクシオの魔力が、共鳴する。
アリーナは、静かに両手を広げた。
「アクア・ドミニオン」
古代魔法に近い、水の支配領域。
競技場全体に、水の魔力が広がる。
炎の球が、触れた瞬間――消滅した。
熱が奪われ、水蒸気すら残らない。
ミランの目が、見開かれる。
「う、嘘……私の最強魔法が……」
アリーナは、ゆっくりと歩み寄る。
「ミランさん、もう終わりよ」
最後に、優しく水の渦をミランの足元に発生させる。
ミランがバランスを崩し、結界外へ滑り出る。
――決着。
競技場が、一瞬静まり返った。
次の瞬間、割れんばかりの歓声。
「勝った! 首席の圧勝!」
「すごい……完封だった!」
「ミラン、完敗……」
ミランは結界外で、呆然と座り込んでいた。
取り巻きたちが慌てて駆け寄るが、ミランは顔を覆った。
試験官が宣言。
「勝者、アリーナ・フォン・エルドリア!
大会優勝!」
アリーナは、観客席に向かって一礼した。
ルクシオの席で、金色の瞳が満足げに細められている。
大会後、控え室。
リアが飛びついてきた。
「アリーナ! すごかった! かっこよすぎ!!」
他の新入生たちも、祝福に駆け寄る。
ミランの不正は、審査員により没収・処分が決定。
王宮にも報告されるだろう。
アリーナは、みんなに囲まれながら、静かにペンダントを握った。
ありがとう、教授。
夜、王宮。
レコルトは、報告書を読んでいた。
『新入生大会で、ミランが不正使用で敗北。
相手はアリーナ・フォン・エルドリア。圧倒的勝利』
レコルトの手が、わずかに震えた。
「……アリーナが?」
ミランからの手紙も届いていた。
『殿下、ごめんなさい……あの子、強すぎて……』
レコルトの胸に、初めて後悔の棘が深く刺さった。
あのとき、破棄しなければ。
アリーナは、今も自分の婚約者だったのに。
一方、アリーナは研究室でルクシオに報告していた。
「優勝しました」
ルクシオは、珍しく笑みを浮かべた。
「見た。
完璧だった」
アリーナが、ペンダントを返すと、ルクシオは首を振った。
「持っていろ。
君に、似合う」
アリーナの頰が、赤くなった。
「……ありがとうございます」
ルクシオが、少し近づいた。
「これからも、指導は続ける。
もっと、強くなれ」
アリーナは、はっきりと頷いた。
「はい。
教授と、一緒に」
二人の距離が、少し縮まった気がした。
大会の勝利は、小さなザマアの始まり。
ミランの失墜。
レコルトへの届く後悔。
そして、ルクシオとの絆。
アリーナの物語は、まだまだ続く。
学内での地位は、確固たるものになった。
次は、もっと大きな舞台で。
王国レベルの危機で。
私の力を、みんなに見せてあげる。
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