婚約破棄された公爵令嬢は、禁断の魔導書で華麗に復讐する ~王太子の後悔と新たな恋の始まり~

ふわふわ

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第16話 帰還と討伐隊編成、迫る影

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第16話 帰還と討伐隊編成、迫る影

王立魔導アカデミーに戻った翌日、キャンパスは異様な緊張感に包まれていた。

遠征実習での発見――古代封印の破壊と中級魔物の痕跡。  
学長室から緊急の王宮連絡が飛び、教授陣は連日会議を繰り返している。

アリーナは朝の食堂で、リアやライルたちと顔を合わせた。

「結局、実習は中断かあ……でも、なんかヤバいことになってるよね」  
リアが不安げに言う。

ライルが、低い声で補足した。

「王宮から調査団が来るって話だ。  
北部の森で魔物が増加してるのは確実らしい」

アリーナはコーヒーを飲みながら、静かに頷いた。

「私たちも、いつか本物の戦場に立つかもしれない」

みんなの顔が引き締まる。

そのとき、食堂の掲示板に新しいお知らせが貼られた。

『緊急討伐隊編成について  
王国北部魔物異常発生に伴い、アカデミーより有志討伐隊を派遣。  
参加希望者は本日中に申請。引率:ルクシオ・ヴァン・クロイツ教授』

食堂がどよめいた。

「討伐隊!? もう本格的なの!?」  
「ルクシオ教授が引率……行くなら安全かも」

アリーナは、すぐに決意した。

私、行く。

午後、アリーナは学長室に呼ばれた。

部屋には学長とルクシオ、それに数人の教授。

学長が、重い口調で言った。

「アリーナ嬢、遠征での報告、感謝する。  
君の観察力が、早期発見につながった」

アリーナが頭を下げる。

「ありがとうございます」

ルクシオが、静かに続けた。

「討伐隊のメンバーに、君を指名したい。  
実戦経験が必要だ」

アリーナは、はっきりと答えた。

「喜んで参加します」

学長が、少し心配そうに言った。

「危険は伴う。  
だが、君の力なら……王国にとっても貴重だ」

会議後、ルクシオと二人きりになった廊下。

ルクシオが、小声で言った。

「無茶はするな。  
私の指示に従え」

アリーナは微笑んだ。

「教授も、無茶しないでください」

ルクシオの金色の瞳が、少し揺れた。

「……心配か?」

「はい。  
教授がいなくなったら、私、困ります」

ルクシオが、そっとアリーナの肩に手を置いた。

「私もだ」

短い言葉。

だが、二人の間に、確かな絆を感じた。

討伐隊のメンバーは、二十名。

アリーナ、リア、ライルを含む新入生数名と、上級生、教授陣。

出発は三日後。

その間、アリーナは特別指導で実戦対策を詰め込んだ。

研究室で、ルクシオと模擬戦。

「オーガを想定。  
来い」

ルクシオが、強大な魔力を放つ。

アリーナは、水と風の複合で対抗。

「ハイドロ・サイクロン!」

水竜巻が、ルクシオの攻撃を封じる。

ルクシオが、雷を追加。

二人の魔法が激しくぶつかり、部屋の結界がきしむ。

汗だくになりながら、アリーナは笑った。

「もっと、強くなれます」

ルクシオが、珍しく満足げに頷く。

「十分だ。  
君なら、戦える」

指導の後、ルクシオが小さな魔導具を渡した。

指輪型の、魔力増幅リング。

「私の魔力が、少し入っている。  
緊急時に使え」

アリーナは、そっと左手の薬指に嵌めた。

「……ありがとうございます」

ルクシオの視線が、指輪に止まる。

少し、照れたように目を逸らした。

出発前夜。

アリーナは寮の屋上で、一人星を見ていた。

リアが、後からやってきた。

「アリーナ、明日から本当の戦いだね……怖くない?」

アリーナは、首を振った。

「少し怖いけど……みんなを守りたい」

リアが、アリーナの手を握った。

「私も、行くよ。  
アリーナと、一緒に」

二人は、星空の下で誓った。

王宮では、レコルトが報告を受けていた。

『アカデミー討伐隊編成。  
メンバー:アリーナ・フォン・エルドリア他』

レコルトの顔が、青ざめる。

「……アリーナが、戦場に?」

側近が言う。

「殿下、危険です。  
停止を命じるべきでは」

レコルトは、首を振った。

「いや……彼女の意志だ。  
俺が、止める権利はない」

胸に、後悔が渦巻く。

ミランは、停学中で王宮にいるが、レコルトはもう顔も見たくない。

あの不正の件以来、関係は冷え切っていた。

レコルトは、窓の外を見た。

アリーナ、今のお前は輝いている。

俺が捨てたのに。

出発の日。

アカデミー正門に、討伐隊が集結。

馬車と馬、武器とポーション。

ルクシオが、先頭に立つ。

「全員、準備はいいか」

アリーナが、ルクシオの隣に馬を並べる。

「はい、教授」

ルクシオが、小声で言った。

「無事で、帰るぞ」

アリーナが、微笑んだ。

「約束です」

隊列が、ゆっくりと動き出す。

リアやライルが、後ろから手を振る。

学内に残る生徒たちが、見送る。

王都の門をくぐり、北部へ。

魔物の脅威が、待っている。

アリーナは、指輪を握った。

ルクシオの魔力が、温かい。

これが、私の本当の戦い。

王国を守る。

仲間を守る。

そして、ルクシオと、一緒に。

馬車の揺れの中、アリーナは魔導書のページを思い浮かべた。

最強の魔法――まだ、解禁していないページ。

必要なら、使う。

レコルトに、届くくらいの活躍を。

後悔させてあげる。

討伐隊は、森へ向かう。

危機の幕が、開こうとしていた。

アリーナの華麗な戦いが、ここから始まる。

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