『「君は飾りだ」と言われた公爵令嬢、契約通りに王太子を廃嫡へ導きました』

ふわふわ

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第二十話 揺らぐ宣言

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第二十話 揺らぐ宣言

王宮の大広間。

重臣たちが並び、空気は重く沈んでいる。

アルヴィオンは壇上に立っていた。

背筋を伸ばし、声を張る。

「軍備改革は予定通り進める」

その宣言は力強い。

だが広間に広がるのは、拍手ではなく、慎重な沈黙。

「保証は王家が担う」

再び言う。

だが財務官の顔色は変わらない。

軍務官は視線を伏せる。

重臣の一人が静かに口を開いた。

「殿下、保証の具体的根拠をお示しいただけますか」

根拠。

その言葉が重く落ちる。

「王家の信用だ」

即答。

だが返ってきたのは、沈黙。

以前なら、その一言で十分だった。

今は違う。

「具体案を、後日提示する」

わずかに言葉が揺れる。

その揺らぎは、小さい。

だが確実に伝わる。

宣言はされた。

しかし、支えはない。

同じ頃、社交界。

「王太子殿下が再宣言を」 「保証の根拠は?」

囁きが流れる。

そして必ず添えられる。

「公爵家は関与していないらしい」

その一言が、全てを決定づける。

カーディス公爵邸。

アデルフィーナは報告を受けていた。

「殿下が大広間で宣言を」

「そう」

紅茶を口にする。

「保証は王家単独で担うと」

わずかに視線を上げる。

「単独」

その言葉は軽い。

だが意味は重い。

「条件提示は」

「未定のままです」

「でしょうね」

彼女は淡々としている。

「信用は宣言では積めません」

侍女がそっと尋ねる。

「お嬢様は、何もなさらないのですか」

アデルフィーナは首を横に振る。

「契約は生きております」

「契約?」

「南方鉄材、港湾資材、全て」

静かな声。

「保証が提示されれば、即座に動きます」

焦らない。

怒らない。

ただ、条件を待つ。

王宮。

アルヴィオンは執務室で書類を睨む。

「財務部が難色を示しております」

側近が告げる。

「王家単独保証は、負担が大きいと」

「ではどうすればよい」

苛立ちが滲む。

「再交渉を」

その言葉に、沈黙が落ちる。

再交渉。

誰と。

答えは明白。

だがその名を口に出すことは、敗北に等しい。

夜。

王都は静かだ。

だが王宮の灯りは遅くまで消えない。

書類が積まれる。

条件が整わない。

宣言はされた。

だが歯車は、まだ回らない。

カーディス邸。

アデルフィーナは窓辺に立つ。

「殿下は揺れております」

執事が言う。

「揺れは悪いことではございません」

穏やかな声。

「積み直す機会でございますから」

だがその機会を掴めるかは、別だ。

風が薔薇を揺らす。

棘は変わらない。

宣言だけでは、歯車は動かない。

信用が戻らぬ限り。
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