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第39話 灯を手放す日
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第39話 灯を手放す日
雪は深くなり、音を吸い込む。
王都も、辺境も、白に包まれていた。
静寂は不安ではない。
整っているからこその静けさ。
王都。
王太子アシュレイは玉座の前に立つ。
もう、その椅子に対する執着はない。
奪われたとも思わない。
ただ、理解している。
「均衡は、人に依存してはならない」
宰相が問う。
「殿下?」
「仕組みにする」
共同管理の制度をさらに明文化し、
北路と王都路の接続を恒常化する。
誰が玉座に座っても崩れぬ形へ。
王妃は頷く。
「それが完成よ」
王とは、特別な存在でなくていい。
整える者であればいい。
一方、辺境伯領。
私は塔の上で、胸の灯を見つめる。
三十九日。
揺れず、強まらず、弱まらず。
一定だった灯。
だが今夜、わずかに変化を感じる。
弱まったのではない。
“軽く”なった。
ディルクが気づく。
「どうした」
「……手放せそうですわ」
均衡は完成した。
王都は自立し、
支点は制度となり、
流れは安定した。
灯は、役目を終えようとしている。
それは消えるのではない。
溶けるように、世界へ広がる。
雪の夜。
私は目を閉じる。
胸の中心が、静かにほどける。
熱はない。
痛みもない。
ただ、自然。
王都の高塔。
アシュレイは遠く北を見つめる。
不安はない。
恐れもない。
国は回る。
均衡は保たれる。
彼は初めて、胸の奥が軽いことに気づく。
辺境の塔。
私は目を開く。
灯はもう、胸の内にだけはない。
風の流れに、雪の重みに、
商館の灯りに、王都の祈りに。
分散した。
三十九日目。
灯は消えていない。
ただ、一人の中から、
国そのものへと手渡された。
雪は深くなり、音を吸い込む。
王都も、辺境も、白に包まれていた。
静寂は不安ではない。
整っているからこその静けさ。
王都。
王太子アシュレイは玉座の前に立つ。
もう、その椅子に対する執着はない。
奪われたとも思わない。
ただ、理解している。
「均衡は、人に依存してはならない」
宰相が問う。
「殿下?」
「仕組みにする」
共同管理の制度をさらに明文化し、
北路と王都路の接続を恒常化する。
誰が玉座に座っても崩れぬ形へ。
王妃は頷く。
「それが完成よ」
王とは、特別な存在でなくていい。
整える者であればいい。
一方、辺境伯領。
私は塔の上で、胸の灯を見つめる。
三十九日。
揺れず、強まらず、弱まらず。
一定だった灯。
だが今夜、わずかに変化を感じる。
弱まったのではない。
“軽く”なった。
ディルクが気づく。
「どうした」
「……手放せそうですわ」
均衡は完成した。
王都は自立し、
支点は制度となり、
流れは安定した。
灯は、役目を終えようとしている。
それは消えるのではない。
溶けるように、世界へ広がる。
雪の夜。
私は目を閉じる。
胸の中心が、静かにほどける。
熱はない。
痛みもない。
ただ、自然。
王都の高塔。
アシュレイは遠く北を見つめる。
不安はない。
恐れもない。
国は回る。
均衡は保たれる。
彼は初めて、胸の奥が軽いことに気づく。
辺境の塔。
私は目を開く。
灯はもう、胸の内にだけはない。
風の流れに、雪の重みに、
商館の灯りに、王都の祈りに。
分散した。
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灯は消えていない。
ただ、一人の中から、
国そのものへと手渡された。
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