34 / 115
第一部《魔王VS勇者》編
第34話【ライエル王、風紀を正す】
しおりを挟むライエル王国・王城執務室。
ガイアが席に着き、静かに口を開いた。
「それでは協議を再開しましょう。まず最初に、各都市からの回答を」
ライエル王がジーナスに目で指示を送る。
「いくつかの都市では武装解除に応じる回答が来ておりますが、フーシアをはじめとする主要都市から依然回答は来ておりません。回答期限はすでに大幅に過ぎております」
ライエル王が目を伏せ、ゆっくりと頭を下げる。
「申し訳ない、ガイア殿。貴族を甘やかしてきた私の責任だ」
「状況について承知しました。それでは魔王様からのご命令通り、我が軍と王国軍は合同で各都市の制圧に向かいます。よろしいかな?」
「承った」
「軍の再編も進めるのでレイナード将軍と話をしたいのだが」
「おぉ……実はレイナード将軍はどうしても山田殿の指示に従えぬと言うので、やむなく投獄しまして……私の教育が至らず本当に申し訳ない」
ライエル王が深く頭を下げる。
「そうでしたか。それでは後任の者と協議します」
「よくよく言い聞かせますので……もうひとつお伝えしなければならないことが」
「なんでしょう?」
「デルロイ公爵ですが、王都を脱出してフーシアに逃げ帰ったようで……なにからなにまでお詫びしようもない」
「やはりフーシアに。デルロイ公爵については、魔王様からライエル王に詫びてほしいと伝言を預かっております。中途半端に生かしておいたのが失敗だったと」
「とんでもない。すべては私の責任……今後は皆が山田殿に従うようにきっちり教育しますので、私に挽回の機会を与えて欲しいと伝えて頂けないだろうか?」
「わかりました。魔王様に伝えます」
「感謝します、ガイア殿。実はひとつお願いがありましてな」
「なんでしょう?」
「近々、デランド公爵邸に踏み込まれると聞いておりますが……彼を私のところに連れてきていただけないだろうか」
「ほう。理由は?」
「私自らが侯を処断する姿を皆に見せることで……綱紀粛正を図りたいのです」
ガイアが考え込む。
「……了解しました。検討しましょう」
「かたじけない。この後、食事も用意しております。もしよければこの執務室も自由に使ってくだされ」
「ありがとうございます。それではまた後ほど」
* * *
謁見の間。
ボスコの他、新聞社の関係者十数名が床に膝をついている。
「皆、よく来てくれた」
ライエル王が声をかけると一歩前に出たボスコが深く頭を下げた。
「お初にお目にかかります、陛下」
「いつぞやは厳しく取り調べなどしてすまなかったな」
「いえ……とんでもございません」
「そなたらの新聞を読ませてもらった」
数人が肩を震わせた。
「え……あの……」
「見事であった。貴族の不正を暴き立てるそなたらの調査能力には感心したぞ」
「あ、ありがとうございます……」
「山田殿から頼まれておるのだろう?」
ボスコが青ざめる。
「え……いえ……」
「責めているのではない。山田殿は私が動きやすいようにしてくださっているのだ。寛大な方だ。今後も全力で励むように」
「は、はい!」
ライエル王が身を乗り出す。
「さて、頼みたいことが二つあるのだ」
「なんなりと」
「お主らは軍や文官の不正についての情報を持っておらぬか? どんな些細なことでも構わぬ」
ライエル王の圧力にボスコ達が動揺する。
「あ……その……」
「もちろん、褒美は弾むぞ。なにも持っておらぬか?」
ボスコの全身から汗が吹き出す。
「実は……人身売買組織から解放された者で、財務局のジャレッド局長が関与していたと証言した者が……あくまで一人の証言ですが……」
「素晴らしい! 早速調査せねばな。褒美を取らせよう」
「う……あ……ありがとうございます……」
「もうひとつのお願いだが、人身売買組織とそれに加担していた者に関して有益な情報を提供してくれた者に褒美を出す準備をしているのだ。後日正式に発表した際に、民に広めてほしいのだ」
「はい。承知しました……」
「そなたらには今後も相談が増えると思うが、今後もよろしく頼むぞ」
【Invocation Protocol: ARIA/Target:YAMADA】
1
あなたにおすすめの小説
元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々
於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。
今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが……
(タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)
おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様
あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。
死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。
「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」
だが、その世界はダークファンタジーばりばり。
人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。
こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。
あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。
ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。
死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ!
タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。
様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。
世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。
地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~
津ヶ谷
ファンタジー
綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。
ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。
目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。
その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。
その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。
そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。
これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。
スライムに転生した俺はユニークスキル【強奪】で全てを奪う
シャルねる
ファンタジー
主人公は気がつくと、目も鼻も口も、体までもが無くなっていた。
当然そのことに気がついた主人公に言葉には言い表せない恐怖と絶望が襲うが、涙すら出ることは無かった。
そうして恐怖と絶望に頭がおかしくなりそうだったが、主人公は感覚的に自分の体に何かが当たったことに気がついた。
その瞬間、謎の声が頭の中に鳴り響いた。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
