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第86話 ワルサーとコルト
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「お断りします!」
「えぇ!? 即答!?」
ラビちゃんと一緒に怪盗やるのはきっと楽しい。ラビちゃんと一緒なら、月上さんといい勝負ができるかもしれない。けれど、僕は月上さんを2人で倒したいわけじゃない。
月上さんだけは、1人で倒したい。
「えっとぉ、ごめんねラビちゃん……僕、推しは次元大介なんだけどさ……」
僕はG-AGEを手に取り、
「性根は銭形警部に似てるみたい」
銃口をラビちゃんに向ける。
「強者を追いかけることに、喜びを感じるんだ。僕は、ラビちゃんと戦いたい」
「……M1911、コルトガバメントか。なるほどねぇ」
僕はトリガーガードに指を引っかけて銃を回し、銃口をラビちゃんから逸らす。
「もちろん、今は手を出さないよ。武装解除している君を倒しても面白くない」
「んふふ……はははははっ!」
ラビちゃんはお腹を抱えて笑い出す。
「シキちゃん立派に育ったねぇ! さすがは私の初恋の人♪」
「…………初恋!?」
「いいよぉ。踊ろうかシキちゃん! ――次は本気で盗りに行くよ」
ラビちゃんはフードを深く被り、階段に足を向ける。
「私の愛銃Red-Lieの効果はその日の午前0時まで効果が持続する。わかる? 1度喰らったら負けってことだよ。勝ち目あると思う?」
「1発も当たらずに倒すか、当たっても戦える手段を用意するだけだよ。こっちに切り札がないわけじゃないしね」
「いやぁ、ゾクゾクするねぇ! 脳が痺れるぐらいの戦いをしようね」
つい、体が震える。
このプレッシャー……堪らないな。
ラビちゃんは階段を上がっていく。
ラビちゃんの後を追って甲板に出ると、すでに見える範囲に姿は無かった。
「アイツもお前も、あたしにはまったく理解できないけど……お前らほどこのゲームを楽しんでいる奴もそういないだろうな」
後ろからイヴさんが言う。
「楽しめるかどうかはまだまだこれからです。やっぱり勝たないと、面白くない」
「そうかよ。そんじゃ勝てる手札を揃えないとな。オークションで落札した品はもう手もとにあるのか?」
「はい!」
僕は赤い特殊外套『緋威』を武装に入れ、展開して羽織る。
「に、似合ってますかね?」
「ん~……アレだなぁ。一言で言うなら――思春期」
「うっ! 『似合ってない』よりキツい言葉かもぉ……」
この日の夜、ラビリンスの予告状が軍警本部に届いたとネスさんから連絡があった。
8月17日45時にトライアドを奪いに来ると、予告状には書いてあったそうだ。
――8月16日。
僕はラビリンス対策を戦艦の食堂で考える。
ラビちゃんの武装で明らかになっているのは、
・トリックアーム×2
・ノクターン(特殊外套)
・セレナーデ(ダガー)
・ワルサーP38 Red-Lie (ハンドガン)
外套の隙間から大量の赤いシールドピースも見えた。シールドピースは2スロット分持っているに違いない。
となると、空白は2枠。
一方で僕の現在の武装は、
スロット1:BeanStalk V2(スナイパーライフル)
スロット2:M1911 G-AGE (ハンドガン)
スロット3:緋威(特殊外套)
スロット4:SCH-100+FullCustom (サーベル)
スロット5:PT-8(シールドピース)
スロット6:PBE-1(バレットピース)
スロット7:ARR-21(アサルトライフル)
スロット8:ARR-28(アサルトライフル)
これが現状の手札。
(問題はあの空中機動。素早く、それでいて変則的。狙撃で詰め切れない。バレットピースの間合いまでもっていけば崩せるけど、近づき過ぎると赤いワルサーが怖い)
空中機動を潰すこととRed-Lieを防ぐこと。どちらも両立はできないものか。
ワイヤーを狙撃で削っていくのはどうだろう。
(可能ではある。ワイヤーは見づらいけれど、トリックアームから直線的に伸びているから目視できずとも輪郭は捉えられる)
いや、トリックアームの性能を見たけど、アレはエネルギーがある限りワイヤーを生成できる。断ち切るだけじゃすぐに立ち直られる。キリがない。
やっぱりG-AGEの射程まで近づき、バレットピースでワイヤーを断ち切り続け空中機動を封殺し、G-AGEで本体を仕留めるか。でもその場合、基本はG-AGEとRed-Lieの撃ち合いになる。弾速で言えばRed-Lieが上だ。僕の方が命中精度は上だけど、早撃ちは互角か僕がやや上程度。この弾速の差を埋めるだけの実力差はない。
「うーん! ダメだ! もう1手欲しい! まだタネの割れていないG-AGE! 新兵器の緋威と、もう1手なにか相手の虚を衝ける手、あるいは虚を作れる手を……!」
なにかないか。なにか――
「あ」
そうだ、忘れていた。アレがあるじゃないか。
「アレならRed-Lieに対する守りにも使えて、ワイヤーも処理できて、それでいて本体攻撃もできる……一石三鳥だ。うん! 悪くない!」
良い手だ。あんなの使うことないと思っていたけど、今回に限ってはかなり有効な手札だ。
(いける。十分な手札が揃った。後はこの手札をどう配置し、どういう手順で切るか。あの大迷宮をクリアするまでの道のりが、あと少しで……見える)
「えぇ!? 即答!?」
ラビちゃんと一緒に怪盗やるのはきっと楽しい。ラビちゃんと一緒なら、月上さんといい勝負ができるかもしれない。けれど、僕は月上さんを2人で倒したいわけじゃない。
月上さんだけは、1人で倒したい。
「えっとぉ、ごめんねラビちゃん……僕、推しは次元大介なんだけどさ……」
僕はG-AGEを手に取り、
「性根は銭形警部に似てるみたい」
銃口をラビちゃんに向ける。
「強者を追いかけることに、喜びを感じるんだ。僕は、ラビちゃんと戦いたい」
「……M1911、コルトガバメントか。なるほどねぇ」
僕はトリガーガードに指を引っかけて銃を回し、銃口をラビちゃんから逸らす。
「もちろん、今は手を出さないよ。武装解除している君を倒しても面白くない」
「んふふ……はははははっ!」
ラビちゃんはお腹を抱えて笑い出す。
「シキちゃん立派に育ったねぇ! さすがは私の初恋の人♪」
「…………初恋!?」
「いいよぉ。踊ろうかシキちゃん! ――次は本気で盗りに行くよ」
ラビちゃんはフードを深く被り、階段に足を向ける。
「私の愛銃Red-Lieの効果はその日の午前0時まで効果が持続する。わかる? 1度喰らったら負けってことだよ。勝ち目あると思う?」
「1発も当たらずに倒すか、当たっても戦える手段を用意するだけだよ。こっちに切り札がないわけじゃないしね」
「いやぁ、ゾクゾクするねぇ! 脳が痺れるぐらいの戦いをしようね」
つい、体が震える。
このプレッシャー……堪らないな。
ラビちゃんは階段を上がっていく。
ラビちゃんの後を追って甲板に出ると、すでに見える範囲に姿は無かった。
「アイツもお前も、あたしにはまったく理解できないけど……お前らほどこのゲームを楽しんでいる奴もそういないだろうな」
後ろからイヴさんが言う。
「楽しめるかどうかはまだまだこれからです。やっぱり勝たないと、面白くない」
「そうかよ。そんじゃ勝てる手札を揃えないとな。オークションで落札した品はもう手もとにあるのか?」
「はい!」
僕は赤い特殊外套『緋威』を武装に入れ、展開して羽織る。
「に、似合ってますかね?」
「ん~……アレだなぁ。一言で言うなら――思春期」
「うっ! 『似合ってない』よりキツい言葉かもぉ……」
この日の夜、ラビリンスの予告状が軍警本部に届いたとネスさんから連絡があった。
8月17日45時にトライアドを奪いに来ると、予告状には書いてあったそうだ。
――8月16日。
僕はラビリンス対策を戦艦の食堂で考える。
ラビちゃんの武装で明らかになっているのは、
・トリックアーム×2
・ノクターン(特殊外套)
・セレナーデ(ダガー)
・ワルサーP38 Red-Lie (ハンドガン)
外套の隙間から大量の赤いシールドピースも見えた。シールドピースは2スロット分持っているに違いない。
となると、空白は2枠。
一方で僕の現在の武装は、
スロット1:BeanStalk V2(スナイパーライフル)
スロット2:M1911 G-AGE (ハンドガン)
スロット3:緋威(特殊外套)
スロット4:SCH-100+FullCustom (サーベル)
スロット5:PT-8(シールドピース)
スロット6:PBE-1(バレットピース)
スロット7:ARR-21(アサルトライフル)
スロット8:ARR-28(アサルトライフル)
これが現状の手札。
(問題はあの空中機動。素早く、それでいて変則的。狙撃で詰め切れない。バレットピースの間合いまでもっていけば崩せるけど、近づき過ぎると赤いワルサーが怖い)
空中機動を潰すこととRed-Lieを防ぐこと。どちらも両立はできないものか。
ワイヤーを狙撃で削っていくのはどうだろう。
(可能ではある。ワイヤーは見づらいけれど、トリックアームから直線的に伸びているから目視できずとも輪郭は捉えられる)
いや、トリックアームの性能を見たけど、アレはエネルギーがある限りワイヤーを生成できる。断ち切るだけじゃすぐに立ち直られる。キリがない。
やっぱりG-AGEの射程まで近づき、バレットピースでワイヤーを断ち切り続け空中機動を封殺し、G-AGEで本体を仕留めるか。でもその場合、基本はG-AGEとRed-Lieの撃ち合いになる。弾速で言えばRed-Lieが上だ。僕の方が命中精度は上だけど、早撃ちは互角か僕がやや上程度。この弾速の差を埋めるだけの実力差はない。
「うーん! ダメだ! もう1手欲しい! まだタネの割れていないG-AGE! 新兵器の緋威と、もう1手なにか相手の虚を衝ける手、あるいは虚を作れる手を……!」
なにかないか。なにか――
「あ」
そうだ、忘れていた。アレがあるじゃないか。
「アレならRed-Lieに対する守りにも使えて、ワイヤーも処理できて、それでいて本体攻撃もできる……一石三鳥だ。うん! 悪くない!」
良い手だ。あんなの使うことないと思っていたけど、今回に限ってはかなり有効な手札だ。
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