遠くの彼女からのバレンタイン~引っ越してからも続く幼馴染のバレンタインプレゼント~

倉橋敦司

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中学三年のバレンタイン②

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 <ゆかりはね。

 『木戸君の受験の邪魔しちゃいけない。
  高校が決まった三月末くらいに連絡して』

 そう言い残してました。
 でもゆかりが残していたバレンタインの箱。
 ゆかりは最後の最後まで、約束通り木戸君に、手作りのバレンタインのチョコレートを贈るつもりだったんです。
 やっぱり木戸君に教えることにしました。
 驚かないでください。
 ゆかりは二月六日に亡くなりました。
 小さいときにかかった病気が再発したのです。もともと夏休みなんか、定期的に病院で検査していました。
 引っ越したのは、いままで定期的に通ってた専門の病院に入院するためです。
 引っ越してからは、中学校には通ってません。
 ゆかりは木戸君を心配させたくないって、ぜったい病気のことは話しませんでした・・・>

 手紙には、ゆかりの症状が十月頃から悪化し、手紙も書けないほど衰弱したことが詳しく書かれていた。

 <本当は二年の時だって体の調子は悪かった。でも木戸君の前ではかっこつけてた。
 手紙書くのだってつらかったけど、パソコンを使って一生懸命書いてたの。
 木戸君に手作りチョコ贈るって言ってたけど、とうとうかないませんでした。
 だから用意していた空き箱だけ送ります>

 空き箱を手にする。
 ゆかりの姿が見えた。
    
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