遠くの彼女からのバレンタイン～引っ越してからも続く幼馴染のバレンタインプレゼント～

中学三年のバレンタイン③

　＜でもせめて、ゆかりの心だけは受け取ってほしい。
　わがままで乱暴で木戸君に迷惑ばかりかけたと思っています。
　でもゆかりが、どんなに木戸君のこと大切に思ってたかは知って欲しいって思います・・・＞

　僕、ベッドの上に横になった。
　やっぱり涙が出てきた。　
　イヤな思い出だけだって思ってた。
　でもゆかりが天国に行ってしまったら、楽しい思い出しか残らなかった。
　電話番号やメルアド変えたこと。手紙に返事書かなかったこと・・・
　自分がイヤになるくらい後悔してた。
　ゆかりは僕のメールが欲しかった。返事が欲しかった。
　僕が送ってれば、元気になれたんだろうか？
　たぶん、それはムリだって思う・・・
　でも心がもっと安らかでいられたんだろうか？
　だけどゆかり。ゆかりだって悪いんだよ。
　ちゃんと教えてくれないんだから・・・
　胸が詰まったまま、ベッドに横になってた。
　母が部屋に入ってきた。
　郵便局からの小包だっていう。
　さっきと同じくらいの大きな箱。
　中にはピンクの包装紙に包んだ一メートル四方の箱。
　箱の中には・・・
　三段のチョコレートケーキ・・・
　テレビやネットで取り上げられてる有名な洋菓子店のケーキ・・・
　差出人は・・・

　＜葛城ゆかり＞