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中学三年のバレンタイン④

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 すぐゆかりの自宅に電話!
 ゆかりのお母さんへお悔やみを伝えた。
 ゆかりから届いたバレンタインのプレゼントのこと、話した。
 お母さんも驚いてた。
 一旦、電話を切った後、二時間くらいして返事があった。

 「亡くなる一週間前にね。少し調子がいいときがあった。
 わたし、病院にはいなかったけど、仲のいい看護士さんに付き添ってもらって院内の郵便局に行ったって聞いた。
 そこで支払いの手続きしたみたい。
 調べてみたらね。ゆうちょの通帳、ほとんど残高がなかった。医療保険のお金や見舞いなんかで百万以上あったんだけど・・・
 洋菓子店にも問い合わせてみたら、

 『個人情報なので答えられない』

って言ってたけど、事情を話したら、しばらく責任者と相談してから教えてくれた。
 ずいぶん先まで、毎年、予約しているそう。
 お店では、前例がないって最初は断ったけど、ハッキリ

 「もうすぐ病気で死ぬんです。わたし以外にチョコ貰えない友だちにあげたいんです」

ってお願いされたって言ってた。
 オーナーの人から、

 『キャンセルされるならいただいた代金は無条件で、お母さんへお返しします』

と言われたけど、そのままお願いしておいたから。
 ごめんなさい。迷惑だけど、来年からも毎年、チョコレートが届くから・・・
 木戸君が引っ越す場合の案内も入ってるって・・・
 見ておいてね」

 なんだかおかしかった。
 勝手に決めつけて勝手に決めた予定が、ずっと残ってるんだ。
 チョコレート専門店だって困っただろうな・・・
 ゆかりったら・・・
 本当に勝手な子だって思う・・・
 だけどやっぱり・・・
 嬉しかった・・・
 今日、秋月さんと予定入れなくてよかった・・・
 自分勝手な幼馴染のこと・・・
 今日だけはぜったい忘れられないって思うから・・・
    
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