悪役令嬢に転生した“元”狂人は普通に暮らしたい

幸見大福

文字の大きさ
5 / 63
幼少期編

追加キャラ

しおりを挟む
ペンを取った私は、新たな情報を書いていく。



「そう。思い出した。後の二人の情報が。」



まずは『ダリオット』。平民から成り上がった騎士の真面目担当だ。ヘタレっぽいけれど、皆さんはもう勘付いているであろう。



そう、彼もヤンデレだ!



過去に重いトラウマを負い、それ以来女性を毛嫌いしていたのだが、お花畑ヒロインに癒されて、ヤンデレ化する。ありがちストーリーだ。というか何処が“恋の音は美しい”、だよ。病んでるじゃないか。全然美しくないよ。



あとは、騎士団長の『リカルド・イーエルト』。『ダリオット』の親友であり、よきライバルでもある。脳筋そうに見えるが、案外冷静に物事を見れるタイプだ。だけど、病みは軽い。多分過去に何のトラウマをもっていないからだ。一番まともなキャラって言われていた。少し重い彼氏って感じだ。ストーリーでも、ヒロインに追跡魔法を付けていただけだ。……だけじゃないわ。結構危ないわ。



「段々と私の普通が侵食されてる…。」



確か最初の出会いも、ヒロインに一目惚れした騎士団長が会いたいがために色々な手を使ってた。凄い。よく団長の座を剥奪されなかったな。



「あとは隠しキャラを思い出せればなぁ…」



かなり濃いキャラだった気がするんだけど…全然思い出せない。一つだけ覚えているのは、一番のヤンデレだってことだ。

名台詞は…



『***の血の一滴まで俺のものだ。』



ゾゾゾッ



怖い!ゲームしている時は気にならなかったけど、実際に存在していると思うとすんごい怖い!

もしかして記憶にないのは恐ろしすぎだからか!?



「うん、隠しキャラについては忘れよう。なんだか考えてはいけない気がする」



そう、私はこのゲームに関わらないのだ。静観していよう。そうしよう。

私はノートを閉じると、お昼の食事へ向かった。



どうでもいい情報だが、『ダリオット』と『リカルド』は一部の女性にヒットしていた。どっちが受けで攻めだとか、ネット掲示板で滅茶苦茶議論してた。私には其方の趣味はないが、現実リアルでも実際に問題になったらしい。腐女子も楽しめるのってすごいね。



***



食べ終わると、私はひたすらダンスレッスンをしていた。



あまりパーティまで時間がないので、一流の講師を珍しくお母様が取り付けたらしい。

本当、明日雨でも降るのかな?

ていうか、何で私こんなことやってるんだろう。



「……普通に出来る程度で良いんだけどなぁ。」

「マリーベル様、また背筋が曲がっております!もっと集中してくださいませ!」



やる気ないのバレてましたか。ごめんね、この身体色々とすぐに吸収するから、手を抜かないとすぐに上手くなるんだよ(白目)。



天才は嬉しいけど、今世はお呼びではないのだ。というか相手もいない状態で完璧にするのは無理だと思う。



「……先生、私はそこそこがいいのです。目立たないぐらいがいいのです」

「なりませぬ。貴女様は公爵家の名を汚すつもりですか?」

「いえ、そのようなわけがないでございましょう」



ですよねー。

公爵令嬢なので、相応しい業を身につけないければいけない。誰よりも上手くならなければいけないので、私は厳しく指導される。



……出来たふりをして、本番で仮病をすれば良いのか?そうしようか?



「マリーベル様?」



いけない。今はレッスンに集中しているふりをしなくては。



「いえ。今のところをもう一度お願い致します」

「やっとやる気になりましたか。ここは男性に体重を預け…」



先生の指示に無意識に身体を動かしながら、私は三日後に控えた王太子殿下の誕生パーティへ向けての作戦を考えた。

まず、私は王太子殿下に挨拶をするだけでいい。だからダンスはしないで終わろう。…いや、私は筆頭公爵家の令嬢だ。一曲も王太子殿下と踊らないで終われるだろうか?ーー否。絶対に一曲は踊らなければいけないだろう。

じゃあそこは諦めるとして、それが終わったらさっさと帰る?うん。そうしよう。病弱設定にして、私はあまり世間に姿を見せないようにしよう。



そしたらリゾークフィル王国の方も、そんな王太子妃は嫌だと撤回してくれるかもしれない。



「…ふふっ」

「マリーベル様?どうか致しましたか?」



いけない、いけない。思わず心の笑いが漏れてしまった。

慌てて笑顔を張り付ける。



「いえ、ただ楽しみだなぁ、と」

「女の子ですものね。王太子殿下に会えるのが楽しみですか?ダメですよ。マリーベル様にはイグルイ王太子殿下がいらっしゃるのですから」



ああ。そっちと捉えるか。

言われなくても私が一目惚れなんてないから安心して。それに、私は平民になる予定だ。



「……いえ、パーティが楽しみなのです。王太子殿下には興味がございません」

「そうですか。…指に力が入っていません!もっと指先まで力を入れて下さい!」

「はい」



…取り敢えず早く終わらないかな。

私の切実か言えるか分からない願いは、当然叶わなかった。

足が悲鳴を上げて立てなくなるまで、この地獄みたいな授業は続いた。

しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

目指せ、婚約破棄!〜庭師モブ子は推しの悪役令嬢のためハーブで援護します〜

森 湖春
恋愛
島国ヴィヴァルディには存在しないはずのサクラを見た瞬間、ペリーウィンクルは気付いてしまった。 この世界は、前世の自分がどハマりしていた箱庭系乙女ゲームで、自分がただのモブ子だということに。 しかし、前世は社畜、今世は望み通りのまったりライフをエンジョイしていた彼女は、ただ神に感謝しただけだった。 ところが、ひょんなことから同じく前世社畜の転生者である悪役令嬢と知り合ってしまう。 転生して尚、まったりできないでいる彼女がかわいそうで、つい手を貸すことにしたけれど──。 保護者みたいな妖精に甘やかされつつ、庭師モブ子はハーブを駆使してお嬢様の婚約破棄を目指します! ※感想を頂けるとすごく喜びます。執筆の励みになりますので、気楽にどうぞ。 ※『小説家になろう』様にて先行して公開しています。

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

【完結】溺愛?執着?転生悪役令嬢は皇太子から逃げ出したい~絶世の美女の悪役令嬢はオカメを被るが、独占しやすくて皇太子にとって好都合な模様~

うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
 平安のお姫様が悪役令嬢イザベルへと転生した。平安の記憶を思い出したとき、彼女は絶望することになる。  絶世の美女と言われた切れ長の細い目、ふっくらとした頬、豊かな黒髪……いわゆるオカメ顔ではなくなり、目鼻立ちがハッキリとし、ふくよかな頬はなくなり、金の髪がうねるというオニのような見た目(西洋美女)になっていたからだ。  今世での絶世の美女でも、美意識は平安。どうにか、この顔を見られない方法をイザベルは考え……、それは『オカメ』を装備することだった。  オカメ狂の悪役令嬢イザベルと、  婚約解消をしたくない溺愛・執着・イザベル至上主義の皇太子ルイスのオカメラブコメディー。 ※執着溺愛皇太子と平安乙女のオカメな悪役令嬢とのラブコメです。 ※主人公のイザベルの思考と話す言葉の口調が違います。分かりにくかったら、すみません。 ※途中からダブルヒロインになります。 イラストはMasquer様に描いて頂きました。

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます

久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。 その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。 1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。 しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか? 自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと! 自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ? ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ! 他サイトにて別名義で掲載していた作品です。

処理中です...