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幼少期編
誤解
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どれだけ見つめあっていただろうか。しかし、先にリアナが目線を下げた。
「……分かりました。」
「ほんと!?やった!」
これで調査ができる!
思わずガッツポーズをしたが、相変わらずリアナは厳しい顔をしている。
「…ですが、私を甘く見ないでくださいよ。」
私はリアナの目を見て頰が引き攣った。あれ「ぜってぇに逃がさねぇぞ」って言ってる。目は口より物を言うって本当だ。
「…ま、まぁうん。未来はどうなるか分からないよ?」
「ところでお嬢様。」
私の話はスルーかな?まあ良いけど。なんだか真剣な表情だし、私の令嬢として許されない我儘も聞いてくれたんだ。ちょっとくらいは良いだろう。
メイドとしてはダメだけど。ダメだけどね!
「何?」
「ディルドは如何でした?」
ううん?ディルド?いきなり話が飛びますね。
「え?どうって…普通に護衛してくれてたよ。」
殆ど私が逃げていましたが。まあ、ただの令嬢を逃してしまってたのは、そこは彼の落ち度って事で。だってあの人気持ち悪いんだもん。
特殊な性壁を思い出して思わず遠い目になっていると、リアナはホッとした様子になった。え、なんで。
「良かったです…ちょっとアイツ変なところがあるので、もしも感化されていたら大変でした。」
ニッコリスマーイル。
私は笑顔で固まった。うん、知ってるわ。どうって聞いてたのはこの事だったのか。ごめん、初日カミングアウトだったよ。
というかリアナも知っているのか。
「…あぁ、うん。私は大丈夫よ?」
「知ってしまったのですか!」
「何故にそうなる。」
おかしい。何も言って…はないけど、確信的なことは言ってないのに。
「だって大丈夫っていうのは分かっているから言うんですよ。…あぁ、お嬢様が魔の手に~!」
「いや、本当大丈夫だって。」
まさか話術でやられるとは思わなかった。あのニュアンスに気づくとは思わなかった。流石リアナだ。
というか魔の手て。魔の手て!随分と酷い言い方ですね。ディルドさん泣いちゃうぞ?…あの人なら喜びそうだとか考えた自分が怖い。
「ではディルドを知って思ったことは?」
「かな…ちょっと引いた。」
「分かりました。今すぐ解雇しましょう。」
「やめましょうか。」
お父様が見つけた逸材、ここで手放すのはダメだって。あの人ああ見えて強いんだから。
……お父様で思い出した。
「リアナ、貴方から見てさお母様はどう思う?」
「とっても冷たい人ですが、かなり権力はありますね。」
「それはどうして?」
「確か隣国のメルウェーズの公爵家令嬢でした。」
へぇ。他国にまで渡る権力を持っているんだ。これはひょっとして…取り込んだら強いんじゃない?もしかして懐く娘になれば市民になる手助けしてくれる?そうだとしたら非常に有難い。
「よしっ。」
そうと決まれば行動だ。まだ日は高い。今日できることをしよう。
私は立ち上がり、リアナを引っ張った。…まあ、腕力なんて無いに等しいから自力で歩いてもらってるけど。
「お、お嬢様!?どこに行くのですか!?」
「リアナ、これからお父様とお母様の誤解を解きに行くわよ。」
「え!誤解ってなんですか!?」
あれっ、観察眼の鋭いリアナなら知っているって思ってたんだけど。意外だ。
「ええと、お母様は多分お父様が好きだけどツンデレだから、好きじゃないってお父様勘違いしてるとだからその誤解を解くの。」
適当に説明を済まし、近くの召使いに何処にお母様がいるか聞いた。口調は令嬢モードだ。返答は知らないという当然の答え。そうだよね、誰とも関わっていない人の事なんて分かるわけないよね。
「その『つんでれ』とはどういう意味でしょうか?」
異世界あるある。ツンデレという概念がない。
私の後でキョロキョロしているリアナが尋ねてくる。もし神がいるなら…というか十中八九いそう。転生があるんだし。脱線したけど、取り敢えずツンデレは存在して欲しかった。
「ええと、普段人には冷たい態度をしているんだけど、たまに素直になって照れたり褒めたりする人。」
デレるって言えたらなんて最高か。説明大変だよ。
そんな私の下手な説明に、納得したようにリアナは頷いてくれた。ありがとう。
「奥様でも素直になる時があるのですね。」
「あっ、あからさまになったところを見たわけではないのよ?」
ちなみに今も令嬢モードは解けてません。誰かが通りかかった時に変な顔されるからね。
「なら何故そう思ったのですか?」
「僅かだけれど、お父様に構われた時、頰が赤くなることがあるの。だからそうなんじゃないかって思ったの。興味無い人だったらそんな反応はしないでしょう?」
「それもそうですね。…その『ツンデレ』とはわざとなんですか?」
「いえ、恐ろしいことにそれが素なの。だから誤解されるのよ。」
なんだったかな。前世の知り合いに演技している人がいる。天然と作りって案外分かるものだ。多分、加減やらなんやらあるから。
あと普通に露骨なアピールがあるから(重要)。
って、何だ?視界の端に写ったの。
「…あ。」
「どうか致しました?」
「今一瞬ドレスが見えような気がしまして…」
「ここは一本道ですよ?」
そうなのよねと返しながら、幻覚らしきものをみた正面を見やる。そして、見間違いなどではなかったと知る。
「…あっ。」
「マリー。」
「奥様!?」
壁からお母様が現れた。…いや、どうなってるの!?
私は思わず仮面も忘れてあんぐりと口を開けてしまった。お母様は固まっている。
静寂が訪れ、なんとも言えない空気が流れた。いつまでこうするんだと私が理性を取り戻していると、お母様がくるりと身体の向きを変える。そして淑女にあるまじき全力ダッシュした。
「あっ、待ってお母様!」
慌てて追いかける。
しかし、幼い身体と大人では体力や速さの差が出てしまい、距離は開いていくばかり。
…仕方ない、魔法を使おう!
「お母様、少し背中を覚悟して下さい!【跳躍】【跳躍】」
私は前へジャンプをし、遂に真後ろへ到達した。そのままの勢いで手を伸ばす。小さな手はドレスに向かって行きーー飛びつく形となった。
「ふぇ!?」
お母様が前へつんのめる。そして、大きな音を立てて倒れてしまった。
私も一緒にゴロゴロと廊下を転がっていった。
「いたたた…」
うう…痛み耐性が低いからちょっとした痛みも激痛に変わるよ…。
涙目で起き上がると、隣でへたり込んでる俯いているお母様が。
…やっべ。
「お、お母様大丈夫ですか!?…すみません、お怪我をされては…!」
傷を負わせてしまったら和解どころじゃないよ!
アワアワしていると、プルプルとお母様の肩が震えだす。や、やばい。それ程重かっただろうか?そうだよね、十数キロは少なくともあるもんね。
ほんっとうにごめんなさい!
この気持ちを表す為に私は正座をする。そして、手をつき頭を下げた。
「お母様ごめんなさい!」
必殺、土下座だ!
誠心誠意謝るにはこれが一番だ。…え?軽く今したんだから価値なんてない?…うるさい!私だって初めてするから!…説得力無いけどね!?
しかし、やはりお母様からは何の反応もなく。本当にヤバい感じ?
「…ごめんなさい!」
再び謝罪すると、声を押し殺したような笑いが上の方で聞こえてきた。…ん?
思わず眉をひそめる。訝しげな顔を悟られないように、床におでこをつけた。笑いの声が強くなる。興味が湧いたので許しも得ず顔を上げると、同時に破裂したような笑い声が響いた。
「プッ…あはははははははは!」
「へ?」
「……分かりました。」
「ほんと!?やった!」
これで調査ができる!
思わずガッツポーズをしたが、相変わらずリアナは厳しい顔をしている。
「…ですが、私を甘く見ないでくださいよ。」
私はリアナの目を見て頰が引き攣った。あれ「ぜってぇに逃がさねぇぞ」って言ってる。目は口より物を言うって本当だ。
「…ま、まぁうん。未来はどうなるか分からないよ?」
「ところでお嬢様。」
私の話はスルーかな?まあ良いけど。なんだか真剣な表情だし、私の令嬢として許されない我儘も聞いてくれたんだ。ちょっとくらいは良いだろう。
メイドとしてはダメだけど。ダメだけどね!
「何?」
「ディルドは如何でした?」
ううん?ディルド?いきなり話が飛びますね。
「え?どうって…普通に護衛してくれてたよ。」
殆ど私が逃げていましたが。まあ、ただの令嬢を逃してしまってたのは、そこは彼の落ち度って事で。だってあの人気持ち悪いんだもん。
特殊な性壁を思い出して思わず遠い目になっていると、リアナはホッとした様子になった。え、なんで。
「良かったです…ちょっとアイツ変なところがあるので、もしも感化されていたら大変でした。」
ニッコリスマーイル。
私は笑顔で固まった。うん、知ってるわ。どうって聞いてたのはこの事だったのか。ごめん、初日カミングアウトだったよ。
というかリアナも知っているのか。
「…あぁ、うん。私は大丈夫よ?」
「知ってしまったのですか!」
「何故にそうなる。」
おかしい。何も言って…はないけど、確信的なことは言ってないのに。
「だって大丈夫っていうのは分かっているから言うんですよ。…あぁ、お嬢様が魔の手に~!」
「いや、本当大丈夫だって。」
まさか話術でやられるとは思わなかった。あのニュアンスに気づくとは思わなかった。流石リアナだ。
というか魔の手て。魔の手て!随分と酷い言い方ですね。ディルドさん泣いちゃうぞ?…あの人なら喜びそうだとか考えた自分が怖い。
「ではディルドを知って思ったことは?」
「かな…ちょっと引いた。」
「分かりました。今すぐ解雇しましょう。」
「やめましょうか。」
お父様が見つけた逸材、ここで手放すのはダメだって。あの人ああ見えて強いんだから。
……お父様で思い出した。
「リアナ、貴方から見てさお母様はどう思う?」
「とっても冷たい人ですが、かなり権力はありますね。」
「それはどうして?」
「確か隣国のメルウェーズの公爵家令嬢でした。」
へぇ。他国にまで渡る権力を持っているんだ。これはひょっとして…取り込んだら強いんじゃない?もしかして懐く娘になれば市民になる手助けしてくれる?そうだとしたら非常に有難い。
「よしっ。」
そうと決まれば行動だ。まだ日は高い。今日できることをしよう。
私は立ち上がり、リアナを引っ張った。…まあ、腕力なんて無いに等しいから自力で歩いてもらってるけど。
「お、お嬢様!?どこに行くのですか!?」
「リアナ、これからお父様とお母様の誤解を解きに行くわよ。」
「え!誤解ってなんですか!?」
あれっ、観察眼の鋭いリアナなら知っているって思ってたんだけど。意外だ。
「ええと、お母様は多分お父様が好きだけどツンデレだから、好きじゃないってお父様勘違いしてるとだからその誤解を解くの。」
適当に説明を済まし、近くの召使いに何処にお母様がいるか聞いた。口調は令嬢モードだ。返答は知らないという当然の答え。そうだよね、誰とも関わっていない人の事なんて分かるわけないよね。
「その『つんでれ』とはどういう意味でしょうか?」
異世界あるある。ツンデレという概念がない。
私の後でキョロキョロしているリアナが尋ねてくる。もし神がいるなら…というか十中八九いそう。転生があるんだし。脱線したけど、取り敢えずツンデレは存在して欲しかった。
「ええと、普段人には冷たい態度をしているんだけど、たまに素直になって照れたり褒めたりする人。」
デレるって言えたらなんて最高か。説明大変だよ。
そんな私の下手な説明に、納得したようにリアナは頷いてくれた。ありがとう。
「奥様でも素直になる時があるのですね。」
「あっ、あからさまになったところを見たわけではないのよ?」
ちなみに今も令嬢モードは解けてません。誰かが通りかかった時に変な顔されるからね。
「なら何故そう思ったのですか?」
「僅かだけれど、お父様に構われた時、頰が赤くなることがあるの。だからそうなんじゃないかって思ったの。興味無い人だったらそんな反応はしないでしょう?」
「それもそうですね。…その『ツンデレ』とはわざとなんですか?」
「いえ、恐ろしいことにそれが素なの。だから誤解されるのよ。」
なんだったかな。前世の知り合いに演技している人がいる。天然と作りって案外分かるものだ。多分、加減やらなんやらあるから。
あと普通に露骨なアピールがあるから(重要)。
って、何だ?視界の端に写ったの。
「…あ。」
「どうか致しました?」
「今一瞬ドレスが見えような気がしまして…」
「ここは一本道ですよ?」
そうなのよねと返しながら、幻覚らしきものをみた正面を見やる。そして、見間違いなどではなかったと知る。
「…あっ。」
「マリー。」
「奥様!?」
壁からお母様が現れた。…いや、どうなってるの!?
私は思わず仮面も忘れてあんぐりと口を開けてしまった。お母様は固まっている。
静寂が訪れ、なんとも言えない空気が流れた。いつまでこうするんだと私が理性を取り戻していると、お母様がくるりと身体の向きを変える。そして淑女にあるまじき全力ダッシュした。
「あっ、待ってお母様!」
慌てて追いかける。
しかし、幼い身体と大人では体力や速さの差が出てしまい、距離は開いていくばかり。
…仕方ない、魔法を使おう!
「お母様、少し背中を覚悟して下さい!【跳躍】【跳躍】」
私は前へジャンプをし、遂に真後ろへ到達した。そのままの勢いで手を伸ばす。小さな手はドレスに向かって行きーー飛びつく形となった。
「ふぇ!?」
お母様が前へつんのめる。そして、大きな音を立てて倒れてしまった。
私も一緒にゴロゴロと廊下を転がっていった。
「いたたた…」
うう…痛み耐性が低いからちょっとした痛みも激痛に変わるよ…。
涙目で起き上がると、隣でへたり込んでる俯いているお母様が。
…やっべ。
「お、お母様大丈夫ですか!?…すみません、お怪我をされては…!」
傷を負わせてしまったら和解どころじゃないよ!
アワアワしていると、プルプルとお母様の肩が震えだす。や、やばい。それ程重かっただろうか?そうだよね、十数キロは少なくともあるもんね。
ほんっとうにごめんなさい!
この気持ちを表す為に私は正座をする。そして、手をつき頭を下げた。
「お母様ごめんなさい!」
必殺、土下座だ!
誠心誠意謝るにはこれが一番だ。…え?軽く今したんだから価値なんてない?…うるさい!私だって初めてするから!…説得力無いけどね!?
しかし、やはりお母様からは何の反応もなく。本当にヤバい感じ?
「…ごめんなさい!」
再び謝罪すると、声を押し殺したような笑いが上の方で聞こえてきた。…ん?
思わず眉をひそめる。訝しげな顔を悟られないように、床におでこをつけた。笑いの声が強くなる。興味が湧いたので許しも得ず顔を上げると、同時に破裂したような笑い声が響いた。
「プッ…あはははははははは!」
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