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幼少期編
忠誠?
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***
「…これはどういう状況?」
突然かけられた声に私は顔を後ろへ向ける。
そこには困惑した様子で此方を見ているギィが立っている。ただし、彼の眼は私に向いていない。なんとなく予想はつくが、視線の先にあるのはーー
私に跪いているギーアたちだ。
場合によってはあかん誤解をされそうなこの図。だけど私だって好きでこうしてわけではない。彼らが気づいたらこうなっていたのだ。
遠い目になりつつ、何故こうなったのか、私は現実逃避気味にあの交渉を思い返した。
…ああでもこうなったの私の所為かも。
***
これは混沌な状態になる遡ること数時間前。
私は宣言通りに話し合いを始めた。
「ねえ、ギィを渡すとしたら何を求める?」
リーダーに尋ねると、フッと鼻で笑われる。
「そもそもそういう選択肢がないのをいい加減わかったらどうだ?それにアレも抜けることを望んでない――」
「そう。じゃあ力尽くでいいよね。」
「はっ?」
にっこり笑い、拳を振り上げる。
そしてそのまま振り下ろした。
机に叩き込まれた手は、見事に木端微塵に吹き飛ばす。木屑が飛び散り、リーダーの頬に赤い線を描かせる。
きっと彼らには分からないだろう。どうしてこんなにも私が憤っているのか。
理由なんてただギィのことをアレと呼んだだけ。それだけでこんなにも感情が激しく波打つ。
…本当、自分じゃないみたい。似ている境遇しか共通していることは無かったというのに。
呆気にとられて見ている暗殺者らに目を向け、笑って見せた。
「…半壊程度なら立て直せるよね?」
「お前…!」
きつく睨んでくるリーダーはこの脅迫に気付いたのだろう。私の言外にある意味。つまり、「ギィを寄こさないんだったら今すぐ暴れてやるぞ?」と。
張り詰めた空気。視線でどうすると聞くが、何の返答もない。
暫く硬直状態が続いていたが、突然隣で堪え切れないといったように噴き出す音がした。
「ぶはっ!!はははは!」
大人しくしていたギーアが爆笑しだした。
えっ、此奴ついに頭までおかしくなった?
若干引き気味で見ていると、突然視界からギーアの姿が消た。どこだっと目を動かしすよりも早く、風の切る音、そして血しぶきがこの場にいた全員を赤に染めていった。
「えっ」
なんとリーダーの首がきれいに取れ、首なし人形のようになっていた。尊敬できる程鮮やかだ。きっと本人は死んだことも理解できなかったに違いない。
だが周りの奴らの反応はそれぞれ。誰かとコソコソ話して震えたり、尊敬の眼差しを向けていたり…まぁ、顔が見えるやつだけを見たらこんな感じだ。
何故怯えたように犯人を見ているかは気になるが。
というような観察はここまでにして、私も犯人を睨む。こんな芸当を出来るのなんて一人しかいない。タイミング的にも。
「…なんで殺したの」
その犯人――ギーアは肩を竦めた。
何故殺したのか、何故横槍を入れたのか。そして、何故そんな…「オレいいことしたでしょう?」って言いたげな…犬みたいな笑顔をしているのか。本当、何で?
というかこの状況で笑ってる此奴の神経とは一体。
私の問いにも、ギーアは相も変わらずキラッキラの笑顔だ。
…ねえ、なんでそんな褒めてほしそうなの?
「今この瞬間にオレはカザリリーダーをやった。」
リーダーはカザリっていうんだ。初めて名前知った。心底どうでもいいが。
…カザリって飾r…うん、なんでもない。
「うん、そうだね?見れば分かるよ。でも爆笑した後に殺してたけど、どういうことかな――」
「ていうわけでオレがリーダーになった。」
「人の話を…え?なんて?」
なんか今リーダーになったって聞こえたような…幻聴だよね?
だが現実というものは予想通りにいかないもので…
「だからオレらはマリーベル・ヒルディア公爵令嬢の門に下ろうと思う。」
……は?え?
「なんで君しってるのおおおお⁉」
気付いたら絶叫していた。だって仕方ないじゃん!
私、身分は隠していたのに、隠していたのに!
内心でも表でも叫ぶと、ギーアがやったと言うようににやりと笑った。
「ていうことで認めたと。マリーは公爵令嬢と認めたと」
「……」
こ、こいつぅぅ!カマをかけたなあ⁉
ギーアの顔がなんとなく煽っている気がするのは気の所為ではないはずだ。ついでに暗殺者たちの視線にどことなく哀れみが混じっているのも気の所為ではないだろう。
苛立ちを抑えきれず爪をパチパチ打ち鳴らして気を紛らわす。
「なんで知っているのかな?」
「興味の持った相手を調べるのは当然だろ?」
頭が痛い。思わず額を抑えてしまった。
なんてことないように言っているが、普通にストーカーだ。もしかしてこの世界にはストーカーという概念がないんだろうか。
……
ないんだろうなぁ。攻略者たち、全員がストーカーみたいなもんだからなぁ。
考えても答えが出ることはないだろう。私は思考をとめた。
「…で、なんで私のところに入りたいと?」
「姫さんの影として働けるから。」
即答かいな。
…ああでも。
「…そしたらギィも私の影として扱えるか」
私が主でギィたちは専属の影。うん、いい。
その考えは口をついて出て、ギーアが更に顔を輝かせる。人の表情って自由に変えられるんだと、強く実感できた。
考える姿勢をとっていた腕を下げ、顔を正面に向ける。
「…いいわよ」
「よっしゃ!」
「だけどギィに仕事を渡すのは禁止ね」
「ういっす」
どこぞの野球少年みたいに返すなよ。君のキャラそんなんじゃないだろ。…そういえばヒロインのこと覚えているかな。後で聞いてみようっと。
それはそうともう一つ。
「敬語は無理にしなくていいわ。あくまでもこっちにいる間は庶民のマリーベルだから。勿論、ここであったことも不問よ」
この言葉に幾人かがホッとしたように息を吐くのが見えた。きっと不敬罪やらなんやら不安はあったのだろう。そうだよね、何回も私に刃を向けてきてたね。
だけど安心して、しようと思えばできるけどやらないから。
「さて、じゃあこれからは私の手、足、目となってもらいましょうか。」
「それじゃあ姫さん「その姫さんやめない?それ王女様とかにバレルと面倒だから。」じゃあなんて呼べばいいんだ?」
「えっ、普通にマリーベル様でよくない?」
「じゃあマリー様で」
じゃあって何だ。妥協してるといいたいのか。してないだろ。
…まあいいけどさ。
「これからよろしくね」
「こちらこそ、婚約者から引き裂いて奪いたいぐらいの忠誠やら色々誓おう」
……
「…よからぬことを企むのはやめようね?」
取り合えず何で知っているのかはスルーして、気になる部分を聞いたが、無言の笑みしか返ってこなかった。これ、絶対何かする。というかあの時の嫌な予感は的中したんだ。
ヒロイン、ヘルプ!ここに道を間違えてる人がいるよ!
内心絶叫して「早まったかな」とか後悔をしていると、突然ギーアが膝まずいた。
「⁉」
驚いて目を見張る。すると、つられるようにしてあとの暗殺者たちも同じように膝をついていく。
待って何が起こっているのか分からない。
「えっと?どうしたの?」
「忠誠を形にしようかなと。」
飛躍しすぎじゃない?あーでも
「いや、仮に君が納得しても他の人たちは許さないって。ねぇ?」
同意を求めるようにして見るが、思いの外首を振られてしまい愕然とする。
「実力主義の我らは貴方様を主人に相応しいと判断しています。そもそもリーダーが判断し、我々が付いていきますので、意見など要りません。」
キッパリという男に「そ、そう」としか言えない私。
これ、第三者が見たら、どう言い訳をしても私の性癖誤解されるな。
そんな風に考えていた時に、ギィが帰ってきた。
「…これはどういう状況?」
突然かけられた声に私は顔を後ろへ向ける。
そこには困惑した様子で此方を見ているギィが立っている。ただし、彼の眼は私に向いていない。なんとなく予想はつくが、視線の先にあるのはーー
私に跪いているギーアたちだ。
場合によってはあかん誤解をされそうなこの図。だけど私だって好きでこうしてわけではない。彼らが気づいたらこうなっていたのだ。
遠い目になりつつ、何故こうなったのか、私は現実逃避気味にあの交渉を思い返した。
…ああでもこうなったの私の所為かも。
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これは混沌な状態になる遡ること数時間前。
私は宣言通りに話し合いを始めた。
「ねえ、ギィを渡すとしたら何を求める?」
リーダーに尋ねると、フッと鼻で笑われる。
「そもそもそういう選択肢がないのをいい加減わかったらどうだ?それにアレも抜けることを望んでない――」
「そう。じゃあ力尽くでいいよね。」
「はっ?」
にっこり笑い、拳を振り上げる。
そしてそのまま振り下ろした。
机に叩き込まれた手は、見事に木端微塵に吹き飛ばす。木屑が飛び散り、リーダーの頬に赤い線を描かせる。
きっと彼らには分からないだろう。どうしてこんなにも私が憤っているのか。
理由なんてただギィのことをアレと呼んだだけ。それだけでこんなにも感情が激しく波打つ。
…本当、自分じゃないみたい。似ている境遇しか共通していることは無かったというのに。
呆気にとられて見ている暗殺者らに目を向け、笑って見せた。
「…半壊程度なら立て直せるよね?」
「お前…!」
きつく睨んでくるリーダーはこの脅迫に気付いたのだろう。私の言外にある意味。つまり、「ギィを寄こさないんだったら今すぐ暴れてやるぞ?」と。
張り詰めた空気。視線でどうすると聞くが、何の返答もない。
暫く硬直状態が続いていたが、突然隣で堪え切れないといったように噴き出す音がした。
「ぶはっ!!はははは!」
大人しくしていたギーアが爆笑しだした。
えっ、此奴ついに頭までおかしくなった?
若干引き気味で見ていると、突然視界からギーアの姿が消た。どこだっと目を動かしすよりも早く、風の切る音、そして血しぶきがこの場にいた全員を赤に染めていった。
「えっ」
なんとリーダーの首がきれいに取れ、首なし人形のようになっていた。尊敬できる程鮮やかだ。きっと本人は死んだことも理解できなかったに違いない。
だが周りの奴らの反応はそれぞれ。誰かとコソコソ話して震えたり、尊敬の眼差しを向けていたり…まぁ、顔が見えるやつだけを見たらこんな感じだ。
何故怯えたように犯人を見ているかは気になるが。
というような観察はここまでにして、私も犯人を睨む。こんな芸当を出来るのなんて一人しかいない。タイミング的にも。
「…なんで殺したの」
その犯人――ギーアは肩を竦めた。
何故殺したのか、何故横槍を入れたのか。そして、何故そんな…「オレいいことしたでしょう?」って言いたげな…犬みたいな笑顔をしているのか。本当、何で?
というかこの状況で笑ってる此奴の神経とは一体。
私の問いにも、ギーアは相も変わらずキラッキラの笑顔だ。
…ねえ、なんでそんな褒めてほしそうなの?
「今この瞬間にオレはカザリリーダーをやった。」
リーダーはカザリっていうんだ。初めて名前知った。心底どうでもいいが。
…カザリって飾r…うん、なんでもない。
「うん、そうだね?見れば分かるよ。でも爆笑した後に殺してたけど、どういうことかな――」
「ていうわけでオレがリーダーになった。」
「人の話を…え?なんて?」
なんか今リーダーになったって聞こえたような…幻聴だよね?
だが現実というものは予想通りにいかないもので…
「だからオレらはマリーベル・ヒルディア公爵令嬢の門に下ろうと思う。」
……は?え?
「なんで君しってるのおおおお⁉」
気付いたら絶叫していた。だって仕方ないじゃん!
私、身分は隠していたのに、隠していたのに!
内心でも表でも叫ぶと、ギーアがやったと言うようににやりと笑った。
「ていうことで認めたと。マリーは公爵令嬢と認めたと」
「……」
こ、こいつぅぅ!カマをかけたなあ⁉
ギーアの顔がなんとなく煽っている気がするのは気の所為ではないはずだ。ついでに暗殺者たちの視線にどことなく哀れみが混じっているのも気の所為ではないだろう。
苛立ちを抑えきれず爪をパチパチ打ち鳴らして気を紛らわす。
「なんで知っているのかな?」
「興味の持った相手を調べるのは当然だろ?」
頭が痛い。思わず額を抑えてしまった。
なんてことないように言っているが、普通にストーカーだ。もしかしてこの世界にはストーカーという概念がないんだろうか。
……
ないんだろうなぁ。攻略者たち、全員がストーカーみたいなもんだからなぁ。
考えても答えが出ることはないだろう。私は思考をとめた。
「…で、なんで私のところに入りたいと?」
「姫さんの影として働けるから。」
即答かいな。
…ああでも。
「…そしたらギィも私の影として扱えるか」
私が主でギィたちは専属の影。うん、いい。
その考えは口をついて出て、ギーアが更に顔を輝かせる。人の表情って自由に変えられるんだと、強く実感できた。
考える姿勢をとっていた腕を下げ、顔を正面に向ける。
「…いいわよ」
「よっしゃ!」
「だけどギィに仕事を渡すのは禁止ね」
「ういっす」
どこぞの野球少年みたいに返すなよ。君のキャラそんなんじゃないだろ。…そういえばヒロインのこと覚えているかな。後で聞いてみようっと。
それはそうともう一つ。
「敬語は無理にしなくていいわ。あくまでもこっちにいる間は庶民のマリーベルだから。勿論、ここであったことも不問よ」
この言葉に幾人かがホッとしたように息を吐くのが見えた。きっと不敬罪やらなんやら不安はあったのだろう。そうだよね、何回も私に刃を向けてきてたね。
だけど安心して、しようと思えばできるけどやらないから。
「さて、じゃあこれからは私の手、足、目となってもらいましょうか。」
「それじゃあ姫さん「その姫さんやめない?それ王女様とかにバレルと面倒だから。」じゃあなんて呼べばいいんだ?」
「えっ、普通にマリーベル様でよくない?」
「じゃあマリー様で」
じゃあって何だ。妥協してるといいたいのか。してないだろ。
…まあいいけどさ。
「これからよろしくね」
「こちらこそ、婚約者から引き裂いて奪いたいぐらいの忠誠やら色々誓おう」
……
「…よからぬことを企むのはやめようね?」
取り合えず何で知っているのかはスルーして、気になる部分を聞いたが、無言の笑みしか返ってこなかった。これ、絶対何かする。というかあの時の嫌な予感は的中したんだ。
ヒロイン、ヘルプ!ここに道を間違えてる人がいるよ!
内心絶叫して「早まったかな」とか後悔をしていると、突然ギーアが膝まずいた。
「⁉」
驚いて目を見張る。すると、つられるようにしてあとの暗殺者たちも同じように膝をついていく。
待って何が起こっているのか分からない。
「えっと?どうしたの?」
「忠誠を形にしようかなと。」
飛躍しすぎじゃない?あーでも
「いや、仮に君が納得しても他の人たちは許さないって。ねぇ?」
同意を求めるようにして見るが、思いの外首を振られてしまい愕然とする。
「実力主義の我らは貴方様を主人に相応しいと判断しています。そもそもリーダーが判断し、我々が付いていきますので、意見など要りません。」
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