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幼少期編
ブードゥー人形
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ブードゥー人形を皆さんは知っているだろうか。
ブードゥー人形とは、災厄から身を守ってくれる、言えば身代わり人形みたいなものだ。
断じて呪われ人形じゃない。
だけど、見た目はなかなかに怖い。目は片方取れかけているし、口はいびつな形を描いている。腕は左右の長さがバラバラ。
これを乙女ゲームで課金アイテムとして販売するのはどうかと私は思うが、病み系なので全然違和感がなかった。むしろ、結構人気があり、謎にグッズが販売されていた。
いやおかしいだろう。どこが良いんだ、あのアイテムの。
まあ、そんなアイテムの説明としては、『大切な人を守るために一生懸命ヒロインが作った』て感じ。ヒロインは決して不器用なんかじゃないんだけど…なんで見た目を歪にしたのかな。運営、無理を承知で売ったな?
それで、気になる実際のゲーム内での用途は、間違った選択をしたときに戻せるもの。その価格なんと120円!
…安いだろう?購入数に限りはあるので好き放題買えるわけではないけれど、飛ぶように売れたらしい。
私はお金がなかったから買ってない。ちなみにこの情報も元友達から聞いた情報だが。
それをギーアが持ってる?何でだ?貰ったと言っていた気がするので、ヒロインからもらったと考えるのが妥当だろうけど、いつ?
疑問が後を絶たないぞ。
「…それいつ貰ったの?」
「ここに来るとき」
「誰に?」
「以前少し助けてもらった人に」
ヒロインね。しかも、しっかり顔を覚えている。
…これは惚れてるかな。
「…それはギーアがもってな」
「いや。マリーが貰って」
「ええ…」
わざわざ貰ったものなのに、何で私に渡そうとするかなあ。ダメだよ、人からプレゼントしたものを他人に渡すのは。
そこからは不毛。互いに譲らず、ブードゥー人形を押し付けあう。
そんなこんなで十数分して、先に折れたのは私だった。
「…分かった。ありがたく貰うよ」
最後の一言は皮肉だ。だからそんな満足そうな顔をするな。押しつけだから私はちっともうれしくない。というか多分ヒロインから貰ったやつだよね、これ。
…まさか、厄介そうに見えたから私に無理やり渡したかった?え、この人酷い。もしかしてその効果も嘘なの??
「…兄さん、それあの女の子から貰ったものだよね…流れ的に多分、あの子は兄さんをそういう事だし…あ、マリー様がこれ可哀そうなことに巻き込まれてしまったんじゃ…」
隣から何やら声が聞こえたので振り向く。小声だったから聞き取れなかったので、どうしたのかと聞くと、哀れみの目で見られた。
「…いつか刺されるかもよ」
「怖!え、なんでそこに飛んだの?」
なんで私が刺されるんだ。何もしてないのに。
ギィには、私には見えない何かが見えているようだ。
「…で、グリムに聞きたいんだけど、ミライ様って動いてる?」
「いや。何故か一歩も動いていない」
んん?蹂躙するんじゃないんだ?機会を待っていると考えるのが正しいのかな。
…うーん。よくわからない。
「そしたら罠を覚悟で、こっちから行きますか。二人とも、付いてきてくれる?」
「勿論」
「仕方ないね」
二人が頷いたのを確認し、【身体強化】を施す。
ここからが本番だ。正直、何で乙女ゲームに転生してこんなことになってしまったのかという思いはあるが、自分から突っ込んでった感じがあるので文句も言えない。
軽く手首足首を回し、グリムに目配せをする。
一瞬首を傾げたが、私がギーアとギィを見ると、ようやくわかったようだ。だからか、明らかに笑っている目で見てきた。
ムカつくけど、何も言えないので、黙ってやれと目力を込める。
そして、グリムが走り出した。
脇にそれぞれギィとギーアを抱えて。
「「!?」」
驚愕で目を見開いた二人に、心の中で謝る。
そしてそのまま行ってしまった。私もボケッとしていられないので、すぐに地面を蹴りあとを追う。
グリムに抱えてもらった理由は、単純に私たちのスピードについてこれないと思ったのだ。
結構忘れやすいけど、ギーアとギィは、魔法がない。それを補うぐらいの教育はされたが、何の強化もない子供の身体なのだ。全力で走っていても、私たちに置いてかれるのがオチ。
なので、大人のグリムに連れてってもらおうかなと考えたのだ。
ギィたちに言わなかったのは、嫌な顔をされるかなと思ったのだ。ほら、あいつらだから「自分で行く!」とか言いそうじゃん?だから黙って実行させてもらった。あの時の表情は傑作だ。「何が起こったのか分からない」って顔に書いてあった。
その顔を思い出してまた笑いそうになる。
でも、何も言わなかったら言わなかったらで暴れるかなと思ったが、そんなこともなかったようなので良かった。多分、自分が置かれている状況に混乱してるだけだとは思うが。
そうしてミライの近くまで移動し、素早く近くの枯れ木に身を隠す。こういう時に、子供でよかったと思う。
向かいにある岩陰には、グリム。さらに横を行って、陰に身を潜めるギィとギーア。
味方の位置を確認した後、そっと目を、動かす。
全員、謎に赤髪だった。そういう人だけ集めたのかな?団名が赤龍だから、赤髪に染めてるのかな。
纏っている服も、暗殺者らしからぬ派手な色の服装の人もいれば、グリムのように真っ黒な人もいる。
そんな風に見ていっているが、実は探している相手は既に見つけていた。
…あれだ。
何人ものいる中一人だけ、明かに風格の違う人がいる。周りを威圧する雰囲気を持っている彼奴が多分、ミライだ。
だけど、ちょっとその服装に目を疑った。
…なんでキョンシー風?
え、君頭なんだよね。すっごい強いらしいんだよね?だけどなんでお札みたいな紙で顔を隠して腕を反対腕の袖にツッコんでんの?謎に風もないのに真っ赤な髪が靡いてるし。
しかも堂々と立ってる。暗殺者のはずなのに。
もしかして武闘派なのかな。でも絶対あれ前見えないよね。どうなんだろう。
でも、纏っている空気は本物。上に立つ人の威厳がある。
…滅茶苦茶か!だけど空気に押される自分がいる!とても悔しいな!!
勝てるのかと一瞬疑うほどの覇気に当てられていると、独り言にしては少し大きい声が聞こえてきた。
「…ふっ!哀れな連中よ。我らの勝利は天に定められた運命にあるというのに必死に抗おうとするその姿。まことに滑稽だ」
重症の中二病だ!
ブードゥー人形とは、災厄から身を守ってくれる、言えば身代わり人形みたいなものだ。
断じて呪われ人形じゃない。
だけど、見た目はなかなかに怖い。目は片方取れかけているし、口はいびつな形を描いている。腕は左右の長さがバラバラ。
これを乙女ゲームで課金アイテムとして販売するのはどうかと私は思うが、病み系なので全然違和感がなかった。むしろ、結構人気があり、謎にグッズが販売されていた。
いやおかしいだろう。どこが良いんだ、あのアイテムの。
まあ、そんなアイテムの説明としては、『大切な人を守るために一生懸命ヒロインが作った』て感じ。ヒロインは決して不器用なんかじゃないんだけど…なんで見た目を歪にしたのかな。運営、無理を承知で売ったな?
それで、気になる実際のゲーム内での用途は、間違った選択をしたときに戻せるもの。その価格なんと120円!
…安いだろう?購入数に限りはあるので好き放題買えるわけではないけれど、飛ぶように売れたらしい。
私はお金がなかったから買ってない。ちなみにこの情報も元友達から聞いた情報だが。
それをギーアが持ってる?何でだ?貰ったと言っていた気がするので、ヒロインからもらったと考えるのが妥当だろうけど、いつ?
疑問が後を絶たないぞ。
「…それいつ貰ったの?」
「ここに来るとき」
「誰に?」
「以前少し助けてもらった人に」
ヒロインね。しかも、しっかり顔を覚えている。
…これは惚れてるかな。
「…それはギーアがもってな」
「いや。マリーが貰って」
「ええ…」
わざわざ貰ったものなのに、何で私に渡そうとするかなあ。ダメだよ、人からプレゼントしたものを他人に渡すのは。
そこからは不毛。互いに譲らず、ブードゥー人形を押し付けあう。
そんなこんなで十数分して、先に折れたのは私だった。
「…分かった。ありがたく貰うよ」
最後の一言は皮肉だ。だからそんな満足そうな顔をするな。押しつけだから私はちっともうれしくない。というか多分ヒロインから貰ったやつだよね、これ。
…まさか、厄介そうに見えたから私に無理やり渡したかった?え、この人酷い。もしかしてその効果も嘘なの??
「…兄さん、それあの女の子から貰ったものだよね…流れ的に多分、あの子は兄さんをそういう事だし…あ、マリー様がこれ可哀そうなことに巻き込まれてしまったんじゃ…」
隣から何やら声が聞こえたので振り向く。小声だったから聞き取れなかったので、どうしたのかと聞くと、哀れみの目で見られた。
「…いつか刺されるかもよ」
「怖!え、なんでそこに飛んだの?」
なんで私が刺されるんだ。何もしてないのに。
ギィには、私には見えない何かが見えているようだ。
「…で、グリムに聞きたいんだけど、ミライ様って動いてる?」
「いや。何故か一歩も動いていない」
んん?蹂躙するんじゃないんだ?機会を待っていると考えるのが正しいのかな。
…うーん。よくわからない。
「そしたら罠を覚悟で、こっちから行きますか。二人とも、付いてきてくれる?」
「勿論」
「仕方ないね」
二人が頷いたのを確認し、【身体強化】を施す。
ここからが本番だ。正直、何で乙女ゲームに転生してこんなことになってしまったのかという思いはあるが、自分から突っ込んでった感じがあるので文句も言えない。
軽く手首足首を回し、グリムに目配せをする。
一瞬首を傾げたが、私がギーアとギィを見ると、ようやくわかったようだ。だからか、明らかに笑っている目で見てきた。
ムカつくけど、何も言えないので、黙ってやれと目力を込める。
そして、グリムが走り出した。
脇にそれぞれギィとギーアを抱えて。
「「!?」」
驚愕で目を見開いた二人に、心の中で謝る。
そしてそのまま行ってしまった。私もボケッとしていられないので、すぐに地面を蹴りあとを追う。
グリムに抱えてもらった理由は、単純に私たちのスピードについてこれないと思ったのだ。
結構忘れやすいけど、ギーアとギィは、魔法がない。それを補うぐらいの教育はされたが、何の強化もない子供の身体なのだ。全力で走っていても、私たちに置いてかれるのがオチ。
なので、大人のグリムに連れてってもらおうかなと考えたのだ。
ギィたちに言わなかったのは、嫌な顔をされるかなと思ったのだ。ほら、あいつらだから「自分で行く!」とか言いそうじゃん?だから黙って実行させてもらった。あの時の表情は傑作だ。「何が起こったのか分からない」って顔に書いてあった。
その顔を思い出してまた笑いそうになる。
でも、何も言わなかったら言わなかったらで暴れるかなと思ったが、そんなこともなかったようなので良かった。多分、自分が置かれている状況に混乱してるだけだとは思うが。
そうしてミライの近くまで移動し、素早く近くの枯れ木に身を隠す。こういう時に、子供でよかったと思う。
向かいにある岩陰には、グリム。さらに横を行って、陰に身を潜めるギィとギーア。
味方の位置を確認した後、そっと目を、動かす。
全員、謎に赤髪だった。そういう人だけ集めたのかな?団名が赤龍だから、赤髪に染めてるのかな。
纏っている服も、暗殺者らしからぬ派手な色の服装の人もいれば、グリムのように真っ黒な人もいる。
そんな風に見ていっているが、実は探している相手は既に見つけていた。
…あれだ。
何人ものいる中一人だけ、明かに風格の違う人がいる。周りを威圧する雰囲気を持っている彼奴が多分、ミライだ。
だけど、ちょっとその服装に目を疑った。
…なんでキョンシー風?
え、君頭なんだよね。すっごい強いらしいんだよね?だけどなんでお札みたいな紙で顔を隠して腕を反対腕の袖にツッコんでんの?謎に風もないのに真っ赤な髪が靡いてるし。
しかも堂々と立ってる。暗殺者のはずなのに。
もしかして武闘派なのかな。でも絶対あれ前見えないよね。どうなんだろう。
でも、纏っている空気は本物。上に立つ人の威厳がある。
…滅茶苦茶か!だけど空気に押される自分がいる!とても悔しいな!!
勝てるのかと一瞬疑うほどの覇気に当てられていると、独り言にしては少し大きい声が聞こえてきた。
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