ミステリアスな転校生

いっき

文字の大きさ
1 / 3

しおりを挟む
 ある日、僕達のクラスにミステリアスな転校生がやって来た。
 彼が僕達の前に立った時点で教室内は騒ついた。何故なら、彼はどこをどう見ても普通ではなかったから。
 髪は七三分けで白目が引き立つほどの色黒君。むっちりとした体型で、さらに最もミステリアスなことには、木枯らしの吹き荒れる十一月だというのに彼は半袖半ズボンだったのだ。

「福島くん、自己紹介して下さい」
 担任の先生に促されて開かれた彼の口からは、綺麗なソプラノボイスが飛び出した。
「ぼ……僕は福島 浩介
こうすけ
です」
 それだけ言って、顔色を少し味のある黒にして俯いた。
 彼は元々顔が真っ黒なので、赤くなったら味のある黒になるのだろう。

「ねぇねぇ、何処から来たの?」
「好きな食べ物は?」
 彼が来た日も、転校生が初めてやって来た時の例外ではなくて。彼の机の周りには好奇心旺盛なクラスメイト達の人だかりができた。
 しかし……
「君達には関係ないだろ」
 彼はソプラノボイスでただ一言、そう言ってソッポを向いて黙り込んだ。
 だから、好奇心旺盛なクラスメイト達も彼にそれ以上は取りつく島がなかった。

 それ以降も彼は相変わらず、社交性のカケラもなかった。

 ある音楽の時間には、彼はソプラノボイスの美声を放ち、異常に上手な歌を披露した。その時間の後、やはりクラスメイトの人だかりができた。
「ねぇ、福島君って、歌、すっごい上手だね」なんて、みんなが口々に褒めていた。
 しかし、彼は
「君達には関係ないだろ」
と言って、やはり素っ気なくあしらった。

 また、彼は勉強をすごく頑張っていて、テストはいつも90点代だった。
「すごぉい、福島君。95点だなんて!」
 隣の席の女子は羨ましがった。
 しかし……
「そんなことない!」
「えっ?」
「100点じゃなかったら、99点も0点も同じなんだ!」
 福島君は、誰もが羨む95点の答案をくしゃくしゃっと丸めてゴミ箱に捨て、ブスっとしていたのだった。

 そんな調子だから、誰も彼に近寄る人はいなくなった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ローズお姉さまのドレス

有沢真尋
児童書・童話
*「第3回きずな児童書大賞」エントリー中です* 最近のルイーゼは少しおかしい。 いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。 話し方もお姉さまそっくり。 わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。 表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

王女様は美しくわらいました

トネリコ
児童書・童話
   無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。  それはそれは美しい笑みでした。  「お前程の悪女はおるまいよ」  王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。  きたいの悪女は処刑されました 解説版

そうして、女の子は人形へ戻ってしまいました。

桗梛葉 (たなは)
児童書・童話
神様がある日人形を作りました。 それは女の子の人形で、あまりに上手にできていたので神様はその人形に命を与える事にしました。 でも笑わないその子はやっぱりお人形だと言われました。 そこで神様は心に1つの袋をあげたのです。

悪女の死んだ国

神々廻
児童書・童話
ある日、民から恨まれていた悪女が死んだ。しかし、悪女がいなくなってからすぐに国は植民地になってしまった。実は悪女は民を1番に考えていた。 悪女は何を思い生きたのか。悪女は後世に何を残したのか......... 2話完結 1/14に2話の内容を増やしました

生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!

mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの? ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。 力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる! ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。 誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。 流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。 現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇 此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。

処理中です...