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1-いち-
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◆
「じゃあね、いち。行ってくるわ」
その日の玲奈の眩い笑顔は今も目に焼き付いている。
「いちもさっさとしないと。遅刻するぞ!」
そんなことを言った彼女に、確か僕は「余計なお世話だって!」なんて苦笑いをしながら答えたような気がする。
ずっと後悔していた。どうしてあの朝……玲奈のことを抱き締めてやらなかったんだろう?
一分でも……いいや、恐らく一秒でもあの瞬間がずれていたら、玲奈はきっと、あんな事故に遭うことはなかった。
いつもと何ら、変わらない日だった。テーブルで向かい合って朝食を取りながら、玲奈はいつものようにおどけた冗談を言って僕を笑わせてくれて。
それが彼女と過ごす最後の時間になるだなんて、僕は知るはずもなかった。
職場の市役所への道を急いでいた途中だった。携帯電話ごしに、悪夢のような現実を告げられたのは。
僕の目の前は真っ暗になって、まるで天と地とがひっくり返ったほどの衝撃を受けて……全身を襲う震えを必死で堪えて、玲奈の運ばれた病院へ駆けた。
何も考えられなかった。これは悪夢だ……そう、信じたかった。
なのに、病室のベッドの上に寝ていたのは、まるで人形のように冷たく固くなった玲奈だった。
その顔はいつもの寝顔のように綺麗で、トラックにはねられたなんて信じることができなくて。
「玲奈……玲奈!」
必死で呼べば……僕の声が届いて、目を覚ましてくれる!
僕はその日、その病室に絶えることのない嗚咽を響かせながら、ずっと玲奈の名前を呼び続けたんだ。
*
「夢……」
僕の寝巻は、ぐっしょりと汗で濡れていた。この頃は見ることがなかった、『あの日の夢』。それは、玲奈が永久にいなくなったあの日が、あまりにも無力な僕の後悔の念と共に再生される。
だけれども……れいが来てから、見ることはなかったのに。
外はあの日と同じように穏やかな陽が射す気持ちの良いお天気で。そのことがザワザワと、胸騒ぎに拍車をかける。
ベッドから飛び起きてリビングへ向かうと、いつもの後ろ姿……それにトーストの焼ける香ばしい匂いが漂ってきた。
「あ、いち。おはよう! 休みの日にしては、早いのね」
振り返ったれいは、白い歯を見せて。その笑顔を見て、僕の心はようやく落ち着いた。
「何だよ。休みの日だって、いっつも昼過ぎまで寝てるわけじゃないぞ」
僕はポリポリと頭を掻いた。
「あら、そうかしら? いちが休みの日って、いっつも私が起こしに行かなきゃ起きなかったと思うけど」
彼女はそう言って、悪戯っぽい笑みを浮かべる。
最近はずっと、こんな調子だ。
彼女はれい。玲奈とは違う。
僕は今は他の誰でもない、れいを見ている。そのことを伝えてすぐ……次の日にはれいは髪型を元のストレートに下ろした黒髪に戻した。
だけれどもその代わり、彼女は他愛のない冗談を言うようになった。そう……会話ややりとりが、もう完全に恋人同士のそれになっている。
そして、時折、僕はまるで玲奈と話しているかのように錯覚して……何とも、複雑な想いを抱くのだ。
「それはそうと……今日、連れて行ってくれるんでしょ?」
「えっ?」
唐突な問いに、一瞬、「何だったかなぁ」と思った。すると、れいは少し頬を膨らませて僕を直視した。
「海! まさか、忘れてなんかないわよね」
「あ……あぁ。忘れてないよ」
「あ、その反応……頭をポリポリ掻いてるし、忘れてたんだぁ」
「い……いや、寝起きでつい、何だったかなぁって」
たじたじになっている僕を見て、れいは長い睫毛の目を細めてにっこりと微笑む。れいのこんな表情が、僕は堪らなく好きなんだ。
「海に行きたい」……それは、れいが玲奈の髪型を真似た日の翌日から、ずっと聞かされていた。敢えて理由は問わなかったけど、何となく察しはついた。れいはきっと、僕の机の中に眠っていたあの写真を見たんだ。
それは、玲奈と初めて行った旅行の写真……その日から、ずっと僕の宝物だった。
れいは髪型は元に戻ったけれど、その写真を見た日から何処か玲奈を意識していて。そのことを感じる度に、僕は「申し訳ない」と「愛しい」が入り混じった、不思議な気持ちになる。
「いち! 早く!」
「はい、はい」
せっかちな彼女に急かされて、僕達は思い出のその場所へ向かった。
*
「わぁ……広い、綺麗……」
海辺に着くと、れいはまるで小さい子供のように目を輝かせた。
「初めて見た。この世に、こんなに綺麗なものがあるなんて……」
輝いたその瞳にはじんわりと感涙が浮かんで揺れ動いていた。
「ははっ。大袈裟だなぁ。海になら、いつでも来れるよ。れいが来たいのなら、毎週でも」
「えっ、本当!?」
そう言って僕を見る彼女の顔はキラキラと輝いていて、直視できないくらいに眩かった。
「そりゃあね。車で三十分走るだけで、れいがこんなに喜んでくれるのなら」
照れくさくって目を逸らしたけど。彼女がこんなにも喜んでくれるのがとても嬉しくて、幸せのあまり、僕はとろけそうだった。
「嬉しい……あ、そうだ! ねぇ、いち。写真、撮ろう!」
「えっ?」
「私、夢だったんだ。今みたいにとろけそうな顔をしているいちと一緒に写真を撮るの!」
れいはそう言って、カメラを向こうのカップルに渡しに行った。
海辺でのツーショット写真……玲奈と撮ったそれは、僕の宝物だった。
だけれどもきっと、れいと撮るそれは、さらにかけがえのない……愛しいものになる。満面の笑みを浮かべる彼女の隣で、僕はそう思ったんだ。
正午をまわると太陽はすっかり高くなって、気温もぐっと上がった。まだ五月の下旬だったけれど、まるで真夏のような暑さだった。
だけれども、一緒に防波堤の上を歩くれいは、楽しげにキラキラとはしゃいでいて。そんな彼女を見ていると、僕もこの上なく、幸せな気持ちになれたんだ。
「あれ……どうしたんだろう?」
れいは防波堤の先端の人集りを見て、首を傾げた。それは何だかただならぬ様子で騒いでいて。
何があったんだろう……?
気になって、僕達はその場所へ足を運んだ。
「あれは……」
そこで僕達が見たのは、テトラポットの向こう……波に飲まれながら懸命にもがいている小さな女の子だった。
親とはぐれて、防波堤から落ちたのだろうか?
この美しい海は凶悪な魔物へとその姿を変えて、うねりを上げて容赦なく、次から次へと波を作ってその子供を自らの内へと飲もうとしていた。だが、この人集り……これだけ人が集まっているのに、誰も海に入ろうとはせずに、ただその有様を見て騒ぎ立てているだけだった。
僕の体は反射的に、防波堤からテトラポットの上に飛び移った。
「え……ちょっと、いち?」
れいの言葉が耳をかすめて……僕を止めようとしているのかも知れない。だけれども、彼女の次の言葉が耳に入るより前に、僕は海に飛び込んだ。
波は思っていたよりも遥かに荒くて、僕の体も何度も持っていかれそうになった。だけれども僕は、抜き手泳ぎで真っ直ぐに女の子の元へ向かった。
(大丈夫……大丈夫だから。あと、少しだけ頑張って)
そんな想いを胸に……そして、女の子も僕の想いに応えるかのように頑張ってくれて。僕は手を伸ばして、その体を抱えることができた。
(やった……!)
僕は防波堤へと戻る。
しかし、女の子を抱える僕に波はより容赦なくそのうねりをあげて、進行を妨げた。だけれども、僕は必死で……全身全霊で、泳ぎ続けた。
僕の視界には徐々に、三角のテトラポットが映ってきた。
(よし、もうすぐ……!)
最後の力を振り絞ろうとした……その時だった。僕達を飲み込もうとするその海も、まるで最後の力を振り絞るかのように大きな波を上げて……それに打ち上げられた僕は、胸部に凄まじい鈍痛を覚えた。
「グッ……」
それは恐らく、僕の体がテトラポットに激突した痛みで。途端に、僕の体は感覚を失って自分のものではない物体にその姿を変えようとした。
だけれども……
(頼む……もう少しだけ)
その想いとともに、気力のみが辛うじて僕の体を動かして。自由の効かなくなった体を奮い立たせて、抱えていた女の子をテトラポットの上に乗せたのだ。
女の子はテトラポットの上で、顔をぐしゃぐしゃにして泣いていた。
でも……
(よかった……)
その様子を見て安心するやいなや、僕の体はまるで電池が切れたかのように動かなくなって。波になされるがままに、海にこの体を飲み込まれた。
(僕……もう、死ぬのかな)
それでも構わない。玲奈の元へ行けるのなら。
僕の全身からは力が抜け、そんな想いが頭の中を支配した。
だけれども。
「いち! いちー!」
れいの声……悲痛に泣き叫ぶ、その声が聞こえた。
そうだ、僕はまだ逝ってはいけない。だって僕には、もう一人の大事な人……れいがいるんだ。
そのことに気付いた僕の前に眩い光とともに、美しく、愛しくて堪らないれいが現れて。そっと、その手を差し伸べてくれる……。
「じゃあね、いち。行ってくるわ」
その日の玲奈の眩い笑顔は今も目に焼き付いている。
「いちもさっさとしないと。遅刻するぞ!」
そんなことを言った彼女に、確か僕は「余計なお世話だって!」なんて苦笑いをしながら答えたような気がする。
ずっと後悔していた。どうしてあの朝……玲奈のことを抱き締めてやらなかったんだろう?
一分でも……いいや、恐らく一秒でもあの瞬間がずれていたら、玲奈はきっと、あんな事故に遭うことはなかった。
いつもと何ら、変わらない日だった。テーブルで向かい合って朝食を取りながら、玲奈はいつものようにおどけた冗談を言って僕を笑わせてくれて。
それが彼女と過ごす最後の時間になるだなんて、僕は知るはずもなかった。
職場の市役所への道を急いでいた途中だった。携帯電話ごしに、悪夢のような現実を告げられたのは。
僕の目の前は真っ暗になって、まるで天と地とがひっくり返ったほどの衝撃を受けて……全身を襲う震えを必死で堪えて、玲奈の運ばれた病院へ駆けた。
何も考えられなかった。これは悪夢だ……そう、信じたかった。
なのに、病室のベッドの上に寝ていたのは、まるで人形のように冷たく固くなった玲奈だった。
その顔はいつもの寝顔のように綺麗で、トラックにはねられたなんて信じることができなくて。
「玲奈……玲奈!」
必死で呼べば……僕の声が届いて、目を覚ましてくれる!
僕はその日、その病室に絶えることのない嗚咽を響かせながら、ずっと玲奈の名前を呼び続けたんだ。
*
「夢……」
僕の寝巻は、ぐっしょりと汗で濡れていた。この頃は見ることがなかった、『あの日の夢』。それは、玲奈が永久にいなくなったあの日が、あまりにも無力な僕の後悔の念と共に再生される。
だけれども……れいが来てから、見ることはなかったのに。
外はあの日と同じように穏やかな陽が射す気持ちの良いお天気で。そのことがザワザワと、胸騒ぎに拍車をかける。
ベッドから飛び起きてリビングへ向かうと、いつもの後ろ姿……それにトーストの焼ける香ばしい匂いが漂ってきた。
「あ、いち。おはよう! 休みの日にしては、早いのね」
振り返ったれいは、白い歯を見せて。その笑顔を見て、僕の心はようやく落ち着いた。
「何だよ。休みの日だって、いっつも昼過ぎまで寝てるわけじゃないぞ」
僕はポリポリと頭を掻いた。
「あら、そうかしら? いちが休みの日って、いっつも私が起こしに行かなきゃ起きなかったと思うけど」
彼女はそう言って、悪戯っぽい笑みを浮かべる。
最近はずっと、こんな調子だ。
彼女はれい。玲奈とは違う。
僕は今は他の誰でもない、れいを見ている。そのことを伝えてすぐ……次の日にはれいは髪型を元のストレートに下ろした黒髪に戻した。
だけれどもその代わり、彼女は他愛のない冗談を言うようになった。そう……会話ややりとりが、もう完全に恋人同士のそれになっている。
そして、時折、僕はまるで玲奈と話しているかのように錯覚して……何とも、複雑な想いを抱くのだ。
「それはそうと……今日、連れて行ってくれるんでしょ?」
「えっ?」
唐突な問いに、一瞬、「何だったかなぁ」と思った。すると、れいは少し頬を膨らませて僕を直視した。
「海! まさか、忘れてなんかないわよね」
「あ……あぁ。忘れてないよ」
「あ、その反応……頭をポリポリ掻いてるし、忘れてたんだぁ」
「い……いや、寝起きでつい、何だったかなぁって」
たじたじになっている僕を見て、れいは長い睫毛の目を細めてにっこりと微笑む。れいのこんな表情が、僕は堪らなく好きなんだ。
「海に行きたい」……それは、れいが玲奈の髪型を真似た日の翌日から、ずっと聞かされていた。敢えて理由は問わなかったけど、何となく察しはついた。れいはきっと、僕の机の中に眠っていたあの写真を見たんだ。
それは、玲奈と初めて行った旅行の写真……その日から、ずっと僕の宝物だった。
れいは髪型は元に戻ったけれど、その写真を見た日から何処か玲奈を意識していて。そのことを感じる度に、僕は「申し訳ない」と「愛しい」が入り混じった、不思議な気持ちになる。
「いち! 早く!」
「はい、はい」
せっかちな彼女に急かされて、僕達は思い出のその場所へ向かった。
*
「わぁ……広い、綺麗……」
海辺に着くと、れいはまるで小さい子供のように目を輝かせた。
「初めて見た。この世に、こんなに綺麗なものがあるなんて……」
輝いたその瞳にはじんわりと感涙が浮かんで揺れ動いていた。
「ははっ。大袈裟だなぁ。海になら、いつでも来れるよ。れいが来たいのなら、毎週でも」
「えっ、本当!?」
そう言って僕を見る彼女の顔はキラキラと輝いていて、直視できないくらいに眩かった。
「そりゃあね。車で三十分走るだけで、れいがこんなに喜んでくれるのなら」
照れくさくって目を逸らしたけど。彼女がこんなにも喜んでくれるのがとても嬉しくて、幸せのあまり、僕はとろけそうだった。
「嬉しい……あ、そうだ! ねぇ、いち。写真、撮ろう!」
「えっ?」
「私、夢だったんだ。今みたいにとろけそうな顔をしているいちと一緒に写真を撮るの!」
れいはそう言って、カメラを向こうのカップルに渡しに行った。
海辺でのツーショット写真……玲奈と撮ったそれは、僕の宝物だった。
だけれどもきっと、れいと撮るそれは、さらにかけがえのない……愛しいものになる。満面の笑みを浮かべる彼女の隣で、僕はそう思ったんだ。
正午をまわると太陽はすっかり高くなって、気温もぐっと上がった。まだ五月の下旬だったけれど、まるで真夏のような暑さだった。
だけれども、一緒に防波堤の上を歩くれいは、楽しげにキラキラとはしゃいでいて。そんな彼女を見ていると、僕もこの上なく、幸せな気持ちになれたんだ。
「あれ……どうしたんだろう?」
れいは防波堤の先端の人集りを見て、首を傾げた。それは何だかただならぬ様子で騒いでいて。
何があったんだろう……?
気になって、僕達はその場所へ足を運んだ。
「あれは……」
そこで僕達が見たのは、テトラポットの向こう……波に飲まれながら懸命にもがいている小さな女の子だった。
親とはぐれて、防波堤から落ちたのだろうか?
この美しい海は凶悪な魔物へとその姿を変えて、うねりを上げて容赦なく、次から次へと波を作ってその子供を自らの内へと飲もうとしていた。だが、この人集り……これだけ人が集まっているのに、誰も海に入ろうとはせずに、ただその有様を見て騒ぎ立てているだけだった。
僕の体は反射的に、防波堤からテトラポットの上に飛び移った。
「え……ちょっと、いち?」
れいの言葉が耳をかすめて……僕を止めようとしているのかも知れない。だけれども、彼女の次の言葉が耳に入るより前に、僕は海に飛び込んだ。
波は思っていたよりも遥かに荒くて、僕の体も何度も持っていかれそうになった。だけれども僕は、抜き手泳ぎで真っ直ぐに女の子の元へ向かった。
(大丈夫……大丈夫だから。あと、少しだけ頑張って)
そんな想いを胸に……そして、女の子も僕の想いに応えるかのように頑張ってくれて。僕は手を伸ばして、その体を抱えることができた。
(やった……!)
僕は防波堤へと戻る。
しかし、女の子を抱える僕に波はより容赦なくそのうねりをあげて、進行を妨げた。だけれども、僕は必死で……全身全霊で、泳ぎ続けた。
僕の視界には徐々に、三角のテトラポットが映ってきた。
(よし、もうすぐ……!)
最後の力を振り絞ろうとした……その時だった。僕達を飲み込もうとするその海も、まるで最後の力を振り絞るかのように大きな波を上げて……それに打ち上げられた僕は、胸部に凄まじい鈍痛を覚えた。
「グッ……」
それは恐らく、僕の体がテトラポットに激突した痛みで。途端に、僕の体は感覚を失って自分のものではない物体にその姿を変えようとした。
だけれども……
(頼む……もう少しだけ)
その想いとともに、気力のみが辛うじて僕の体を動かして。自由の効かなくなった体を奮い立たせて、抱えていた女の子をテトラポットの上に乗せたのだ。
女の子はテトラポットの上で、顔をぐしゃぐしゃにして泣いていた。
でも……
(よかった……)
その様子を見て安心するやいなや、僕の体はまるで電池が切れたかのように動かなくなって。波になされるがままに、海にこの体を飲み込まれた。
(僕……もう、死ぬのかな)
それでも構わない。玲奈の元へ行けるのなら。
僕の全身からは力が抜け、そんな想いが頭の中を支配した。
だけれども。
「いち! いちー!」
れいの声……悲痛に泣き叫ぶ、その声が聞こえた。
そうだ、僕はまだ逝ってはいけない。だって僕には、もう一人の大事な人……れいがいるんだ。
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