2 / 3
2
しおりを挟む
掬星台からはその名のごとく、まるで手で光輝く無数の星を掬えるかのように千万ドルの夜景を眺められる。僕達は隣り合って、そこからの遥かな夜景を眺めた。
夕焼け空が紺色に覆い尽くされるにつれて、その場所から見えるライトはその存在を主張し始める。その輝きは標高六百九十九米という空間を超えて、神戸に住む全ての人々の生活……その営みを見る者に語りかけて。徐々に溢れ返るライトの洪水は、その輝きを以って視界を占有し、永遠ども思える美しさを以って僕達を感動させる。
空が紺で覆い尽くされ、C字形となったライトの洪水が海にその輝きを反射させた瞬間。
「時間よ、止まれ」
僕達はそう願う……それほどまでに、六甲千万ドルの夜景は、見る者を魅了するのだ。
「綺麗……」
小百合の口からは嘆息とともに、ただその一言が漏れて。
夜景から隣の彼女に目を移した瞬間、夜景の輝きを反射した小百合の横顔の美しさに、僕は心を奪われた。
「小百合の方が……綺麗」
僕の口からは意図することなく、そんな言葉が漏れた。
「えっ……」
耳に入った言葉を聞き返そうとこちらを向いた彼女の唇と、僕の唇がそっと重なった。
「ん……」
お互いに目を瞑り……僕達の時間は本当に止まった。この瞬間も付き合い始めてからまだ数えるほどしかない。だけれども、僕の心はもうすでに、全て彼女に奪われている。
「もう……達也ったら」
唇を離して……照れ隠しにはにかむ小百合の笑顔に僕の意識は吸い込まれた。それは『美しい』なんて月並みな言葉では表現できない。この世界で一番愛しくて。彼女の笑顔があれば、僕はいつまでだって頑張ることができる。
「この夜景は千万ドルだけれど……」
僕らの前に果てしなく広がるネオンの洪水に目を移して、そっと呟いた。
「小百合の笑顔も千万ドルだ」
「えっ?何、それ?何、それ?」
小百合は興味深そうに僕の言葉の意味を尋ねた。
改めて尋ねられると照れ臭くて、僕の顔は火照り出して。だから、つい口を噤んだ。
小百合はそんな僕ににっこりと微笑んで、また千万ドルの夜景に目を移した。
それはまるで、夜空に輝く星達が溢れ出すほどに瞳を照らすようで、僕達は時の許す限りいつまでも眺めていた。
夕焼け空が紺色に覆い尽くされるにつれて、その場所から見えるライトはその存在を主張し始める。その輝きは標高六百九十九米という空間を超えて、神戸に住む全ての人々の生活……その営みを見る者に語りかけて。徐々に溢れ返るライトの洪水は、その輝きを以って視界を占有し、永遠ども思える美しさを以って僕達を感動させる。
空が紺で覆い尽くされ、C字形となったライトの洪水が海にその輝きを反射させた瞬間。
「時間よ、止まれ」
僕達はそう願う……それほどまでに、六甲千万ドルの夜景は、見る者を魅了するのだ。
「綺麗……」
小百合の口からは嘆息とともに、ただその一言が漏れて。
夜景から隣の彼女に目を移した瞬間、夜景の輝きを反射した小百合の横顔の美しさに、僕は心を奪われた。
「小百合の方が……綺麗」
僕の口からは意図することなく、そんな言葉が漏れた。
「えっ……」
耳に入った言葉を聞き返そうとこちらを向いた彼女の唇と、僕の唇がそっと重なった。
「ん……」
お互いに目を瞑り……僕達の時間は本当に止まった。この瞬間も付き合い始めてからまだ数えるほどしかない。だけれども、僕の心はもうすでに、全て彼女に奪われている。
「もう……達也ったら」
唇を離して……照れ隠しにはにかむ小百合の笑顔に僕の意識は吸い込まれた。それは『美しい』なんて月並みな言葉では表現できない。この世界で一番愛しくて。彼女の笑顔があれば、僕はいつまでだって頑張ることができる。
「この夜景は千万ドルだけれど……」
僕らの前に果てしなく広がるネオンの洪水に目を移して、そっと呟いた。
「小百合の笑顔も千万ドルだ」
「えっ?何、それ?何、それ?」
小百合は興味深そうに僕の言葉の意味を尋ねた。
改めて尋ねられると照れ臭くて、僕の顔は火照り出して。だから、つい口を噤んだ。
小百合はそんな僕ににっこりと微笑んで、また千万ドルの夜景に目を移した。
それはまるで、夜空に輝く星達が溢れ出すほどに瞳を照らすようで、僕達は時の許す限りいつまでも眺めていた。
0
あなたにおすすめの小説
彼はヒロインを選んだ——けれど最後に“愛した”のは私だった
みゅー
恋愛
前世の記憶を思い出した瞬間、悟った。
この世界では、彼は“ヒロイン”を選ぶ――わたくしではない。
けれど、運命になんて屈しない。
“選ばれなかった令嬢”として終わるくらいなら、強く生きてみせる。
……そう決めたのに。
彼が初めて追いかけてきた——「行かないでくれ!」
涙で結ばれる、運命を越えた恋の物語。
どう見ても貴方はもう一人の幼馴染が好きなので別れてください
ルイス
恋愛
レレイとアルカは伯爵令嬢であり幼馴染だった。同じく伯爵令息のクローヴィスも幼馴染だ。
やがてレレイとクローヴィスが婚約し幸せを手に入れるはずだったが……
クローヴィスは理想の婚約者に憧れを抱いており、何かともう一人の幼馴染のアルカと、婚約者になったはずのレレイを比べるのだった。
さらにはアルカの方を優先していくなど、明らかにおかしな事態になっていく。
どう見てもクローヴィスはアルカの方が好きになっている……そう感じたレレイは、彼との婚約解消を申し出た。
婚約解消は無事に果たされ悲しみを持ちながらもレレイは前へ進んでいくことを決心した。
その後、国一番の美男子で性格、剣術も最高とされる公爵令息に求婚されることになり……彼女は別の幸せの一歩を刻んでいく。
しかし、クローヴィスが急にレレイを溺愛してくるのだった。アルカとの仲も上手く行かなかったようで、真実の愛とか言っているけれど……怪しさ満点だ。ひたすらに女々しいクローヴィス……レレイは冷たい視線を送るのだった。
「あなたとはもう終わったんですよ? いつまでも、キスが出来ると思っていませんか?」
馬小屋の令嬢
satomi
恋愛
産まれた時に髪の色が黒いということで、馬小屋での生活を強いられてきたハナコ。その10年後にも男の子が髪の色が黒かったので、馬小屋へ。その一年後にもまた男の子が一人馬小屋へ。やっとその一年後に待望の金髪の子が生まれる。女の子だけど、それでも公爵閣下は嬉しかった。彼女の名前はステラリンク。馬小屋の子は名前を適当につけた。長女はハナコ。長男はタロウ、次男はジロウ。
髪の色に翻弄される彼女たちとそれとは全く関係ない世間との違い。
ある日、パーティーに招待されます。そこで歯車が狂っていきます。
【完結】 嘘と後悔、そして愛
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
伯爵令嬢ソニアは15歳。親に勝手に決められて、一度も会ったことのない10歳離れた侯爵リカルドに嫁ぐために辺境の地に一人でやってきた。新婚初夜、ソニアは夫に「夜のお務めが怖いのです」と言って涙をこぼす。その言葉を信じたリカルドは妻の気持ちを尊重し、寝室を別にすることを提案する。しかしソニアのその言葉には「嘘」が隠れていた……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる