ジェミニ 〜魂の契約者達〜

えいりす

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第三章 王都への旅

77.Bランク冒険者

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セラスとの話がひと段落したところでエイシェルが依頼の話をし始めた。


「そういえば、素材を持ち帰ったわけだけどワイバーンの討伐はこれで認められるんですか?」


ワイバーンを討伐したものの、証明するものが素材しかなかったため、討伐が認められるのか不安だったのだ。
そんな不安もすぐに杞憂だとわかる。


「あぁ、もちろんよ。竜玉があるから討伐したことは間違いがない……けど、公にはできないものね。鱗だけだと怪しいけど、今回は牙と爪、尻尾の肉まであるんだからそれで十分よ」

「よかったです。……あとは、別に依頼が出てた素材の納品ですが、これって持ってきたもので大丈夫ですかね……?今までの話をまとめると、倒した魔物はワイバーンではなくドラゴンのような気がするんですが……」

「……やっぱり、当然その結論になるわよね」

「ち、ちょっとまって?特殊なワイバーンって事じゃないの?」

「私達ドラゴンを倒したの……?」

「え?ほんとに?」

エイシェルの質問にセラスも同意する。
急に突拍子もないことを言われ混乱する3人。
正直エイシェルがおかしな事を言い出しただけなら流すような話だったが、セラスまでその話を肯定するような事を言い出したのだ。

なにがなんだか分からない3人にエイシェルが推論を述べる。

「考えてもみるんだ。ドラゴンってかなり大きいんだろ?でも、生まれた時から大きいってわけじゃないはずだ。だけど、20年前に現れた割にドラゴンの子供の話を聞いた事がない。もしかすると子供の時は姿が違うんじゃないかって思ったんだ。……それこそ、他の似た種族の姿をしていたら気づきようがない。」

「流石ね……。フラターが一目置くだけはあるわ。私も同じ考えよ」


エイシェルはセラスと同じ考えに至った。まだ推論の域は出ないが2人が同じ事を考えたということはひとりだけの妄想ではないと言う事だ。
そう思ったセラスは、当初自分の頭の中だけに留めておこうかと思っていたが、素直にエイシェルの考えと同じ事を認めたのだった。


「え!?……と言うことは私達ドラゴン討伐できたの!?」

「あくまで可能性。だけど、もしそうならすごいことよ……。親子がそれぞれのパーティでドラゴンを討伐したって事になるもの……」

「フラムさんが言う通り、あくまで可能性だからね。そこで相談なんだけど……今回の件はワイバーン討伐で処理しようと思うのだけれど、いいかしら?ドラゴン討伐にするには確証がないし、竜玉のことは黙っていた方があなた達の為にもなると思うわ。……ちょっと勿体無いけど素材もワイバーンって事にすれば素材の方も依頼達成できるし……どうかしら?」

「はい。おれはその方がありがたいです。みんなもそれで良いか?」


セラスがワイバーンとして処理する事を提案をしてきた。
エイシェルも元々は依頼が達成出来るかを気にしていた為問題はない。
他の3人にも確認をとったがみんな首を縦に振った。
フルームは少し残念そうにしていたが、竜玉の事や依頼の達成の事を考えたらセラスの提案が最善であると思い賛成したのだ。


「分かったわ。それじゃあ素材の確認といきましょうか。鱗5枚、爪2本、牙2本、尻尾の肉があるか確認するわね」


そう言うとすぐにエイシェルが籠の中から素材をテーブルの上に出し始める。
ひとつひとつが大きいため鱗、爪、牙を出すとすぐにテーブルがいっぱいになった。


「あとはこの肉……」

「も、もうテーブルに乗せなくていいわよ!と言うか私が籠を見てもよかったんだけど……。まぁ、これで依頼は全て達成でいいわ。折角だし鹿の角もギルドで届けようか?依頼者のサインはギルド職員が取りに行ってもいいし、納品物さえ貰えればここで依頼達成に出来るし」

「そうですね……。今から行くにはもう遅いし……お願いできますか?」


ギルドに任せれば今日依頼を達成した事に出来るとの事なので言葉に甘える事にした。

討伐証明確認・納品が完了した為、今日だけで6つの依頼を完了させることができた。
つまり、これで条件の依頼20件を達成出来たのだ。
4人がその事実に気づくのと同時にセラスが言葉をかける。


「というわけで、おめでとう!依頼達成件数20件になったのでエイシェルさんもアリスさんもBランクに昇格です!」

「「ありがとうございます!」」

「これからもこのギルドの依頼をよろしくね!まだまだあなた達に頼みたい依頼があるから、この調子でどんどん受けてちょうだい!」

セラスはそう言うと2人からギルドカードを預かると自室の机に向かいカードの更新作業をしてすぐ戻ってきた。

セラスはここ数日の依頼消化が著しかったことからとても上機嫌でいた。Bランクに上がった事でより高度な依頼もどんどん頼む気でいるのだ。
しかし、セラスの目論みは見事に外れる事になる。


「今後の依頼のなんですが……おれたちしばらく王都に行こうと思います」

「…………なんで!?」

エイシェルの突然のカミングアウトにセラスは一瞬思考が停止し思わず叫んだ。
冒険者なのだからいつかは王都に行ってしまうとは思っていたが、あまりにも早かった。折角手塩にかけて育てた(つもりの)冒険者がこんなにもすぐにいなくなるとは思わなかったのである。

「わたしたちもともと王都に用があったんです。それで資金を集めて船で王都に行こうって話してて」

「……フラムさんとフルームさんも行くのかしら?」

「はい。もともとの予定でも1ヶ月したら実家に帰るつもりでしたし、タイミング的にはどのみち変わらなかったと思います」

「そう……」

露骨に落胆するセラス。
フラムとフルームはもともと修行のために冒険者として依頼をこなしていた。
1ヶ月の修行期間が過ぎた為、エイシェルとアリスに出会わなければ今頃、港町でぶらぶらしならがら出航までの時間を潰していたことだろう。
……もしくは魔物にやられて既にこの世にいなかったかもしれない。
ここ数日フラムとフルームがこのギルドで依頼を受けられたのはエイシェルとアリスに出会えたからに違いなかった。


「絶対に戻って来ますから。その時はまたわたしたちで4人で依頼を受けますね?」

「……ほんとに戻って来てくれる?王都のギルドって設備がいいからやっぱりこんな田舎のギルドはいいやってならない?」

「心配しなくても大丈夫ですよ!」

たぶん

アリスは元気よく答えたが設備がいいと言われてちょっと気になるのであった。


「絶対に戻って来てよ?お願いだからね?」


戻ってくると言われたからにはもうこれ以上ごねるわけにもいかないだろう。
最後にダメ押しでお願いするくらいしか出来ない。
冒険者は基本的に自由なのだから。
セラスは諦め半分、戻ってくる期待半分で見送る事にした。
見送るにもいつ出るのかを聞いていない。
出発するまでは少しでも時間があるならば依頼を受けて貰おうと考え、セラスは4人の出発時期を確認した。


「ちなみに出発はいつ頃なの?船って言ってたし来月の便かしら」

「いえ、今停泊中の船に乗ろうと考えています。えーと……早くてあと6日くらいで出航するって聞いていますね」


あれ?と首を傾げるセラス。
ギルドマスターをやっているため様々な情報がセラスに集まる。
そこに気になる話があったのだ。


「あれ?今の便に乗るなら急いだ方がいいわよ?なんでも例の討伐隊が帰るからって出 出航を急がせてるみたい。2日後くらいには船が出るんじゃないかしら……?」

「そうなんですか!?エイシェル!急がなきゃ!」

「今日はもう遅い……今からは移動はできないから……明日の朝から移動だ」

「みんな、気をつけてね?絶対帰ってきてよ?」

行くまでに依頼が受けてもらえない事が分かり心の中で泣くセラス。
ここで表情に出てしまうとカッコ悪い。
そう思い、得意の営業スマイルで顔には出さずにいれた。

セラスはせめて早く行って早く帰ってきてもらおうと思うのだった。
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