ジェミニ 〜魂の契約者達〜

えいりす

文字の大きさ
78 / 226
第三章 王都への旅

78.ガールズトーク2

しおりを挟む
Bランクに上がり一応ランクアップの特典についても説明してもらえた。
ギルドでは専用の鍵付きロッカーが貸し出されるようで貴重品から日用品までなんでも入れて良いとのことだった。
フラムとフルームは既に使っていて、アリスは一緒に入れて貰ってたのだとか。
宿に連泊して荷物を置いていたのはエイシェルだけだったようだ。
しかし、明日朝すぐに出発するためエイシェルにロッカーを利用する時間はなくランクアップの恩恵を得られない。
みんなも既にロッカーを返却し、荷物を持って移動していた。

他には武器屋など店での値引きがあるが、値引率は店のさじ加減で決められるため、あまり期待できない。
値引きがない店の方が多いくらいだ。

エイシェルとアリスがランクアップの特典で恩恵に預かれるのは乗船券の値引きが初めてになる予定である。

セラスと別れたあと4人は宿に向かっていた。
向かっているとは言ってもエイシェルは相変わらず同じ宿〈茜原亭〉に泊まっているため途中から道は別だ。


「じゃあ、みんなおれはここで。また明日朝にギルドに集まろう。集まってすぐ馬車を捕まえるからお昼とか準備しておいてくれ」

「ほほい。エイシェルじゃあねー」

「エイシェル、また明日」

フルームとフラムが手を振る。
エイシェルも手を振り返したところでアリスが声をかける。

「ねぇエイシェル?」

「ん?なんだ?」

「その……もうひとつの玉も借りちゃダメかしら?」

アリスはセラスに見せた方の竜玉を持っていた。エイシェルにはバレているが夜に実験をしようと思っていたのだ。
そして、どうせならともう一つにも魔力を込めてみようと思ったのだ。

アリスのお願いにエイシェルはあきれたような、心配するような複雑な表情で答える。

「別にいいけど、本当に危ないことはダメだからな?一気に魔力を込めるのは危ないから気をつけるように」

「分かってるって、もうこの前みたいなヘマはしないわよ」

「それならいいんだが……今回は足を生やすとかじゃないからな?」

「…………そうね!ぜんぜん一気に魔力を込める必要ないもの!大丈夫よ!」


アリスの言う前のこととは父親の抜き打ちテストのことだった。
あれこそ調子に乗った典型である。
そのため、エイシェルが足を生やすとか言い出した時一瞬 なんのこと? と言った反応になってしまった。
抜き打ちテストのことをエイシェルに話してなかったことを思い出したアリスは勢いで誤魔化すのだった。


「なんか心配だな……フラム、フルーム。アリスを頼んだ……」

「なんかニヤニヤしてたと思ったらそんな事考えてたのね。分かったわ。無茶しそうになったら止めればいいのよね?」

「無茶はしないようにちゃんと見ておくよ」


エイシェルはそう言うと残りの竜玉もアリスに渡し、みんなと別れ自分の泊まる宿へ向かうのだった。


「さて、わたしたちも宿を探しましょうか?」

アリスが言うと3人は泊まる宿を探すのだった。







少し探していると3人部屋が空いている宿を見つけた。
フラムもフルームも問題ないと判断したため夕飯を済ませてその宿に泊まることにした。


「ふぅ……流石に疲れたわね……」

「今日はずっと歩きっぱなしだったもんねー。それにしても、今日のアリス頑張ってたね?ちょっと前まですぐに息が上がってたのに」

「みんながペースを合わせてくれてるおかげよ。ありがとうね」

「その言葉、エイシェルにも言ってあげなさいよ?一番気を使ってるんだから」


今日一日歩き回ったことでさすがのフラムも疲れを隠せずにいた。
そんな中アリスもちゃんとついてこられていたのだ。
確かにペースを落として歩いていたがこんなにすぐ慣れるとは思えないほどだった。
とてつもない成長である。フルームが素直に褒めるとアリスはみんなのおかげだとお礼を言う。
疲れていたフラムだったが一番伝えるべき人にお礼を言っていないと思い口を出した。
風邪を引いた時は付きっきりで看病もしてくれるし、今日のサンドイッチだってアリスを想って作ったに違いない。


「むぅ、分かってるわよ」

「なんでむくれるのよ……あ、最近2人の時間が取れないから?」

「お、なになに?私達おじゃま虫?」

「ち、ちがうから!またフラムのわたしイジリが始まったと思って……。お礼を言わなきゃいけないのは分かってるの。ただ、タイミングがないのと、改めて言うのは恥ずかしくて……」


確かに、ここのところ4人で行動している為エイシェルとアリスだけの時間は作れていなかった。
宿に帰るときもエイシェルは別行動になるし、朝夕の食事もだいたい3人になってしまう。
夕飯にエイシェルを誘いたいが先に宿を確保するので宿を探している間は待たせてしまうし、そもそも4人で食事だと意味がない。
ここでアリスだけエイシェルとご飯に行くようにしても良いが不自然極まりない。

フラムは考えれば考えるほど本当におじゃま虫な気がしてきてならない。
このままではマズイと思い機会を作ろうと考えた。


「……よし、分かったわ。アリス、あなた船に乗ったらどこかでエイシェルと二人っきりにしてあげるからそこでやっちゃいなさい!」


船の上なら雰囲気も出るし、半ば閉鎖空間のため人も少ない。話をするなら好都合だろうとフラムは考えた。
しかしアリスはフラムの言葉を聞いた瞬間顔を真っ赤にして焦りだす。


「ややや、やっちゃいなさいって何!?何を!?」

「何をって……話の流れ的にお礼に決まってるじゃないの……あ」


フラムは言葉の選択を誤ったことに気づいた。
確かにその言葉だけ聞くとそういう風に捉えてもおかしくはない。
フラムが訂正しようとしたところでフルームが横槍を入れた。


「今ね、アリスは多分変なこと考えたんじゃないかなーって」

「ち、ちがうもん!単純になにかなーって思っただけだもん!!」

「慌てるなんてあやしいなー」

「もぅ……!先にお風呂入ってくる!」


アリスは風呂へ逃げるのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―

望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」 【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。 そして、それに返したオリービアの一言は、 「あらあら、まぁ」 の六文字だった。  屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。 ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて…… ※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

処理中です...