ジェミニ 〜魂の契約者達〜

えいりす

文字の大きさ
169 / 226
第五章 アンダーグラウンド

169.真実1

しおりを挟む
 アリスの質問に姿勢を正すステラ。真面目な顔のままアリス達へ問いかける。

「それは、キミ達が神様と会ったことがある前提で話せばいいのかな?」

 ステラは鋭い目で5人を見回して確認する。ここから先は簡単に話せない内容だと言っているようなものであった。

「オレは会ったことがある……というか、神だとか知らなかったけど親代わりのようなものだった」
「…….私も会った事あるわね」

 ステラの質問にエイシェル、ディアが答える。その回答にステラは何やら考えるようなそぶりを見せた。

「私とフルームは会ったことがないわ」
「わたしも、実際に本体に会ったことわないわね」
「本体?」

 続けてフラムが正直に答え、アリスが便乗する。アリスはオージンに会ったことはないが槍を通して声は聞いている。その為存在する事は知っている。それを説明しようと話し始めた。

「祖龍と会った時に槍から声が聞こえて……」
「ちょっと待ってまってマッテ……祖龍って言った!?」
「え、えぇ……」

 先程までの表情から打って変わり半ば混乱した様子で会話を続ける。

「え、祖龍ってあの……あ!?そういえばさっき空山で転移経験済みとか言ってた!?え、大丈夫だったの?というかそもそもどうやって会ったの!?」
「ちょっと落ち着きなさい。この娘達が説明するから」

 取り乱すステラをディアが制する。話を振られたアリスとエイシェルは空山で起きた一部始終を説明するのだった。







「…………キミたちよく生きて帰って来れたね。それにしてもあの筋肉ダルマが手助けをね……」

 ステラは意外そうな表情をする。祖龍も今まで手助けをして来なかったような事を言っていた。祖龍の話は1000年どころの話ではない筈なので、ステラから見ればオージンが誰かを手助けするなんて事は想像ができないのかもしれない。…………店を開くように誑かされた件もそう思う原因かもしれないが。

「つまり、この話をここでしたって事はフラムとフルームも既に知ってるんだね」
「えぇ」
「知ってるよ」
「じゃあもうこっち側って事か……」

 ステラはフラムとフルームの返事を聞いて意を決したような表情をし、話し始める。

「まず質問に答えよっか。うん。ボクは神と呼ばれる存在に会ったことがあるよ。この前はその道具屋ってのが本当に神か分からなかったから否定したけど、同一人物だったみたいだね。それならあのシールの件も納得だよ。そして、その神からこの星の管理代行を任されてる」
「…………」
「この星の管理代行?」

 ステラが発した言葉に諦めた表情をするディア。それを他所にエイシェルが聞き慣れない言葉を拾う。それを聞いたステラは頷き説明を続けた。

「そう、神の仕事の代行だね。もともと神はこの星の寿命が尽きないように管理してるんだ」
「星の寿命……?そんなものがあるのか?」
「ある。……そしてあんまり余裕ない状況。だからもし可能なら手伝って欲しいんだよね。それがさっき話してた件」

 手伝って欲しいと言われ困惑するディアを除くエイシェル達4人。急に頼まれても何をして良いのかさっぱりイメージも出来ないため困惑している。
 そんな中ディアが険しい表情で訊ねる。

「どのくらい?」
「……どのくらいというと?」
「残りの寿命」
「うーん……ちょっと前に試算した時は……このままのペースで行くと50年ももたない状況だったけど……」
「「「「!?」」」」

 返事を聞いた全員に衝撃が走る。星の寿命と聞けば途方もなく先の話と思っていたからだ。それが50年。それよりも短いかもしれないと聞き信じられないのだ。

「どういうこと!?」
「なんとか出来ないのか!?」
「なにすればいいの!?」
「でも、そういうのって兆候あるんじゃないの?」
「寿命きたらどうなるの!?」
「待って待って!!いっぺんに聞かれてもわかんないから!!それに、前に試算した時って言ったでしょ?状況がだいぶ変わったからそんなにすぐには寿命尽きないって!!」

 急に捲し立てる5人に驚きながらもステラはなんとかなだめようとする。

「まず、寿命が尽きたらこの星から生命力の供給がなくなる。……つまり、植物は育たないし動物もそのうち食べるもの無くなって餓死する一方になる。これが星の死ね。それまでは通常通り生命力を提供し続けるから兆候なんて普通は分からないんだ。仮に星が死んだとしてもしばらくは気付かないだろうね」

 淡々と説明をするステラを前に5人は大人しく聞いている。ステラがみんなの質問をちゃんと聞けていたことに密かに驚いていた。

「そして、状況が変わったってところだけど……その前にどういう仕組みか教えないとね。まず、この星の生き物は全て生命力を星からもらっている。人も動物も魔物も、植物も含めて例外なしね。そして、それぞれ吸収した生命力は魂に蓄えられるんだ。……そのままだと当然星の生命力は減るだけになるから無くなってしまうよね。そうならないのは魂が星に還るからなんだ」

 ステラの話に必死についていくエイシェルたち4人。ディアはさも当然かのように話を聞いていた。

「その魂が星に還る時に、今まで消費した生命力が星に還元される。ようは使った分を星に返す事になる。そうやって星の生命力は循環する仕組みになっているんだ。ここからが本題。この生命力なんだけど、どういう時に消費されると思う?」

 ステラの当然の問いかけに困惑する4人。困惑するも代表してエイシェルが答えた。

「それは……やっぱり魔力に変換する時か?」
「それも正解。でも、それはちゃんと星に還るからそんなに問題にならないんだ。もっと大きな要因があって、それが……」
「魔物……」

 ステラがエイシェルの答えにさも予想していたかのように答える。その後にいざ正解を言おうとしたタイミングでアリスが呟いた。
 その呟きにステラは少し驚き、ついアリスに訊ねる。

「よく分かったね……。ちなみに根拠は?」
「えっと……なんとなくそう思っただけなんだけど、魔物って常に魔力を纏ってる感じがしてて、それは常に生命力を変換してるからなのかなって」

 アリスの回答にステラだけでなくディアも感心するような素振りを見せる。普通の人は魔物が魔力を纏っているなんて分からないはずだが、アリスはそれを言い当てた為だ。
 アリスの答えにステラは丁寧に答えるのだった。

「そう、魔物は魔力を纏っている。でも、それは魔物自身の生命力を変換してるわけじゃないんだ。普通、生き物が死ぬとその魂で消費された生命力が星に還るんだけど、魔物が近くにいると星に還るはずだった生命力を魔力として蓄えてしまう。魔物の強さは魔力量に比例するから強い魔物はそれだけ星の生命力を持ったまま生き続けてしまうってこと。それこそ何万年と生きる魔物でさえね。それが生命力消費の大きな要因になってる」
「それって……」

 フルームが思わず声を出した。危うく命を落としそうになった相手を忘れるはずもない。

「そう。クラーケンもかなりの生命力を蓄えていた。本来なら誰も討伐出来ないからクラーケンが持っている分の生命力は諦める他なかったんだけど、先日奇跡が起きたからね。おかげでかなり余裕ができたはずだよ」

 ステラの説明を受けてホッとする4人。そこでふとアリスが何かに気づく。

「ちょっと待って。魔物は襲った生き物の生命力を魔力として蓄えるんだよね?」
「そうなるね」
「例えばだけど……この世界から魔法がなくなったらどうなるの?」

 今まで答えを求めていた質問。アリス達にとってジェミニの魔法の解き方と同じくらいの重要な問題であった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―

望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」 【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。 そして、それに返したオリービアの一言は、 「あらあら、まぁ」 の六文字だった。  屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。 ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて…… ※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

処理中です...