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「弘海、具合はどうだ?」
「うん。何ともない。さっきも売店まで歩いてきた。」
「そうか。良かった。」
「明日退院しても良いって。」
治療も無事に終わって経過も良いらしい。
本当に良かった。
「明日、どうする?」
「母さんが迎えに来てくれるから大丈夫だよ。いろいろありがとう。」
「分かった。」
弘海は俺のことをどう思っているんだろうか。
前みたいに露骨に嫌がられている感じはしない。
聞いてみたいけど怖い。
コンコン
ドアをノックする音が聞こえた。誰か来たみたいだ。
「はい。」
「こんにちは。」
「葉山さん!」
誰だ?あっ!このアルファ、いつも弘海のバイト先に来るやつだ!何で?
「具合どう?あ、これお見舞い。」
「ありがとうございます。すごく調子良いです。わざわざすいません。」
「とんでもない。元気そうで安心したよ。急に入院するなんて言われて驚いたよ。」
楽しそうに話をすると二人を見つめる。
何だこの疎外感は。そいつは弘海の何なんだ?
「どうも、こんにちは。」
強引に二人の間に入っていった。
「あ、ああ。どうも。弘海くんのお友達?」
「はい。大学の同級生で。」
「へぇ…。」
明らかに俺を見る目に敵意を感じる
コイツも弘海を狙っているのか?
イラッとして威圧のフェロモンが出てしまう。
「あ、じゃ、じゃあまた。お大事ね。」
俺のフェロモンにびびったそいつはそそくさと帰って行った。
ヤバい、やってしまった。
チラリと弘海を見るが気付いていないようでほっとした。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
弘海は退院した次の日には大学に来ていた。
顔色も良く元気そうだ。
「具合は平気か?」
「うん、大丈夫。後で話があるんだけど良いかな?」
「あ、ああ。」
「じゃあ授業が終わったら。中庭で待ってる。」
話ってなんだ?深刻な顔だった。良い話じゃなさそうだ。
いろいろ考えてしまって全く授業に集中出来なかった。
授業が終わって中庭に行くとガゼボで弘海が座って待っていた。
「ごめん。待ったか?」
「ううん。僕も今来たところ。」
「で?話って?」
「うん、これ…。」
そう言って弘海は封筒を差し出してきた。
中には金が入っている。
「これは?」
「治療にかかったお金。分割で申し訳ないけど返すよ。就職したらもっと多めに返すようにするから。」
「いや、受け取れない。前にも言ったけど俺が弘海に頼んでしてもらったことだ。」
「でも…。ダメなんだよ。」
「何が?俺が受け取れないって言ってるだろ?」
「受け取って…。じゃないと僕、孝太郎と対等にならない。」
「どういうことだ?」
「好きだから対等でいたいんだ。孝太郎にしてもらってばっかりじゃあ…。お金を出してもらったから好きみたいになっちゃうだろ?」
え?え?今何て言った?
俺の聞き間違いか?
「ちょっ、ちょっと待て、今何て言ったんだ?」
「え?対等でいたい?」
「いや、そこじゃなくて。」
「してもらってばっかり?」
「違う!好きって。」
「あ…うん。あの、覚えてないと思うけど僕が孝太郎にコーヒーをかけちゃった事があっただろ?その時、孝太郎に触れて何か不思議な感じだったんだ。それからずっと気になって…。でも孝太郎、オメガ嫌いだし意地悪するし、それなのに優しいし、良い匂いで…。あれ?えっと、そう、好きって言われて気付いたんだ。うわっ!」
俺を好き?思わず抱きしめていた。
「弘海は俺が好きなのか?」
「…うん。だからお金受け取って。」
「受け取れない。そもそも対等じゃない。」
「え?」
「対等じゃない。俺の方がずっと弘海が好きだから。もうその時点で対等じゃない。」
「何それ。」
「好きで好きでストーカーみたいな気持ち悪い事してるし。俺が金を払ったところで優位に立てるわけない。それくらい弘海のことが好きなんだ。」
「うん。」
弘海が泣いていた。その涙をそっと拭う。
「弘海、本当にごめんな。おまえの友だちにも謝りに行くよ。そんなことで許されないと思うけど…。謝らせてくれ。」
「うん。みんなびっくりしちゃうよ。」
「弘海、好きだ。大好きだ。」
「うん。僕も…。」
「キスしていい?」
「やだ。」
「えぇ⁉︎」
「だって外だよ。ほら、あっちに人がいる。」
別に良いのに。弘海は恥ずかしがり屋だな。
キスが出来ないので弘海の髪を撫でた。
柔らかそうだなと思っていたけど俺の想像よりももっと柔らかくて滑らかだ。そのまま頬を撫でる。これも想像よりも柔らかくてすべすべだ。
あー、可愛い、キスしたい。
したら怒るかな?
「ダメだよ?」
「はい…。」
対等な訳ないだろ。俺の方がすげー好きなのに。
これから先、ずーっと弘海の言いなりだよ。
「うん。何ともない。さっきも売店まで歩いてきた。」
「そうか。良かった。」
「明日退院しても良いって。」
治療も無事に終わって経過も良いらしい。
本当に良かった。
「明日、どうする?」
「母さんが迎えに来てくれるから大丈夫だよ。いろいろありがとう。」
「分かった。」
弘海は俺のことをどう思っているんだろうか。
前みたいに露骨に嫌がられている感じはしない。
聞いてみたいけど怖い。
コンコン
ドアをノックする音が聞こえた。誰か来たみたいだ。
「はい。」
「こんにちは。」
「葉山さん!」
誰だ?あっ!このアルファ、いつも弘海のバイト先に来るやつだ!何で?
「具合どう?あ、これお見舞い。」
「ありがとうございます。すごく調子良いです。わざわざすいません。」
「とんでもない。元気そうで安心したよ。急に入院するなんて言われて驚いたよ。」
楽しそうに話をすると二人を見つめる。
何だこの疎外感は。そいつは弘海の何なんだ?
「どうも、こんにちは。」
強引に二人の間に入っていった。
「あ、ああ。どうも。弘海くんのお友達?」
「はい。大学の同級生で。」
「へぇ…。」
明らかに俺を見る目に敵意を感じる
コイツも弘海を狙っているのか?
イラッとして威圧のフェロモンが出てしまう。
「あ、じゃ、じゃあまた。お大事ね。」
俺のフェロモンにびびったそいつはそそくさと帰って行った。
ヤバい、やってしまった。
チラリと弘海を見るが気付いていないようでほっとした。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
弘海は退院した次の日には大学に来ていた。
顔色も良く元気そうだ。
「具合は平気か?」
「うん、大丈夫。後で話があるんだけど良いかな?」
「あ、ああ。」
「じゃあ授業が終わったら。中庭で待ってる。」
話ってなんだ?深刻な顔だった。良い話じゃなさそうだ。
いろいろ考えてしまって全く授業に集中出来なかった。
授業が終わって中庭に行くとガゼボで弘海が座って待っていた。
「ごめん。待ったか?」
「ううん。僕も今来たところ。」
「で?話って?」
「うん、これ…。」
そう言って弘海は封筒を差し出してきた。
中には金が入っている。
「これは?」
「治療にかかったお金。分割で申し訳ないけど返すよ。就職したらもっと多めに返すようにするから。」
「いや、受け取れない。前にも言ったけど俺が弘海に頼んでしてもらったことだ。」
「でも…。ダメなんだよ。」
「何が?俺が受け取れないって言ってるだろ?」
「受け取って…。じゃないと僕、孝太郎と対等にならない。」
「どういうことだ?」
「好きだから対等でいたいんだ。孝太郎にしてもらってばっかりじゃあ…。お金を出してもらったから好きみたいになっちゃうだろ?」
え?え?今何て言った?
俺の聞き間違いか?
「ちょっ、ちょっと待て、今何て言ったんだ?」
「え?対等でいたい?」
「いや、そこじゃなくて。」
「してもらってばっかり?」
「違う!好きって。」
「あ…うん。あの、覚えてないと思うけど僕が孝太郎にコーヒーをかけちゃった事があっただろ?その時、孝太郎に触れて何か不思議な感じだったんだ。それからずっと気になって…。でも孝太郎、オメガ嫌いだし意地悪するし、それなのに優しいし、良い匂いで…。あれ?えっと、そう、好きって言われて気付いたんだ。うわっ!」
俺を好き?思わず抱きしめていた。
「弘海は俺が好きなのか?」
「…うん。だからお金受け取って。」
「受け取れない。そもそも対等じゃない。」
「え?」
「対等じゃない。俺の方がずっと弘海が好きだから。もうその時点で対等じゃない。」
「何それ。」
「好きで好きでストーカーみたいな気持ち悪い事してるし。俺が金を払ったところで優位に立てるわけない。それくらい弘海のことが好きなんだ。」
「うん。」
弘海が泣いていた。その涙をそっと拭う。
「弘海、本当にごめんな。おまえの友だちにも謝りに行くよ。そんなことで許されないと思うけど…。謝らせてくれ。」
「うん。みんなびっくりしちゃうよ。」
「弘海、好きだ。大好きだ。」
「うん。僕も…。」
「キスしていい?」
「やだ。」
「えぇ⁉︎」
「だって外だよ。ほら、あっちに人がいる。」
別に良いのに。弘海は恥ずかしがり屋だな。
キスが出来ないので弘海の髪を撫でた。
柔らかそうだなと思っていたけど俺の想像よりももっと柔らかくて滑らかだ。そのまま頬を撫でる。これも想像よりも柔らかくてすべすべだ。
あー、可愛い、キスしたい。
したら怒るかな?
「ダメだよ?」
「はい…。」
対等な訳ないだろ。俺の方がすげー好きなのに。
これから先、ずーっと弘海の言いなりだよ。
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