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「ごめん。お待たせ。」
祐一さんが走ってやってきた。バスを待っている周りの人がチラチラ見ている。背が高くてイケメンだもんな。
「いえ。」
「車、すぐそこに停めて来たんだ。家まで送るよ。」
病院の駐車場に停めてある祐一さんの車に乗った。
「由紀くん、具合でも悪いの?」
「違います。薬の副作用の検査です。もう大丈夫って言われました。」
「そっか。良かった。」
「僕はドリアンでした。」
「え?」
祐一さんが驚いている。僕はさっきのことを説明した。僕が
アルファに与えていた不快感はドリアンの臭いと同じだ。
「だからもうウジウジ考えるのはやめました。」
「それ、俺は喜んでいいのかな?」
「え?」
「俺のことも前向きに考えてくれる?」
「…はい。」
祐一さんはやったぁ!と言って喜んでいる。嬉しそうに運転する横顔を見て可愛いな、と思ってしまった。
「夕飯は?もうお母さんが用意しちゃってるよね?」
「あ!そうだ。何か買って帰らないと。今日、お母さんいないんです。福井のおばあちゃんがギックリ腰で。しばらくそっちにいるって。」
「じゃあ俺と食べよう。何かリクエストはある?」
二人で夕食を食べることになった。
この間祐一さんが言っていたスペイン料理だ。
「美味しかったです。」
「良かった。」
初めて食べるスペイン料理は日本人にも馴染みのある味で食べやすかった。美味しくてついつい食べ過ぎてしまった。
祐一さんが連れて行ってくれる所はどこも美味しい。一緒にいると太っちゃうな。
「由紀くん、これ。」
祐一さんは鞄の中から箱を取り出した。
そうだった。渡したいものがあるって言われてたんだ。
「何ですか?」
「開けてみて。」
可愛くラッピングされた箱を開けると中にはネックガードが入っていた。シャンパンゴールドの優しい色合いのそれはおしゃれなデザインで、着けていても目立たない。
「これ…。」
「ひとつも持っていないって言ってただろ?心配だから…。」
「ありがとうございます。着けてみてもいいですか?」
「うん。もちろん。」
カチリ。
箱から取り出しネックガードを着けた。鏡はないので窓に映った姿を見てみる。
鏡ほどはっきり写らないが優しいシャンパンゴールドなので目立たない。
「すごく似合ってる。」
祐一さんは顔を赤くして誉めてくれた。
僕は何度もお礼を言ってそのネックガードは着けたままでいた。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「どうしたのそれ。」
次の日学校にネックガードを着けて行ってみた。すぐに真紘に見つかった。
「祐一さんにもらったんだ。ちょうど買おうと思ってたから。」
「へぇー、良いじゃん。似合ってるよ。ていうか、上手くいってるんだね。」
「そういう訳じゃないけど…。でもうじうじ考えてたことが少し晴れたかも。」
昨日の病院での話をした。僕はドリアンだったと言うと真紘は爆笑していた。
「ドリアンは酷いね。僕、嗅いだことあるよ。」
真紘が笑いながら言った。
僕が嗅いだのは匂いの元だ。本物はもっと強烈かもしれない。
真紘はしばらく僕のことをドリアン由紀と呼んでいた。
「真紘は?トシくんと仲直りしたの?」
「うん。まぁね。道端で土下座されちゃったから。」
良かった。僕のせいで別れたらどうしようかと思ったよ。
「今日もトシくんと会うの?」
「うん。迎えに来るって。」
スマホを取り出して二人のやり取りのメッセージアプリの画面を見せてくれた。
トシくんはハート連発の甘々のメッセージだ。どれだけ真紘を好きかが分かる。本当に良かった。
「モヤモヤも晴れたならどんどんいろんなアルファに会ってみたら?」
「うん。」
祐一さんの顔が一瞬浮かんだ。付き合っているわけでもないし。でも何となく後ろめたい。それに口下手で内向的な僕は新しい人と会うのが苦手だ。
今週はお見合いを組んでいない。お母さんも帰ってくるみたいだし久しぶりに家でゆっくりしよう。
祐一さんが走ってやってきた。バスを待っている周りの人がチラチラ見ている。背が高くてイケメンだもんな。
「いえ。」
「車、すぐそこに停めて来たんだ。家まで送るよ。」
病院の駐車場に停めてある祐一さんの車に乗った。
「由紀くん、具合でも悪いの?」
「違います。薬の副作用の検査です。もう大丈夫って言われました。」
「そっか。良かった。」
「僕はドリアンでした。」
「え?」
祐一さんが驚いている。僕はさっきのことを説明した。僕が
アルファに与えていた不快感はドリアンの臭いと同じだ。
「だからもうウジウジ考えるのはやめました。」
「それ、俺は喜んでいいのかな?」
「え?」
「俺のことも前向きに考えてくれる?」
「…はい。」
祐一さんはやったぁ!と言って喜んでいる。嬉しそうに運転する横顔を見て可愛いな、と思ってしまった。
「夕飯は?もうお母さんが用意しちゃってるよね?」
「あ!そうだ。何か買って帰らないと。今日、お母さんいないんです。福井のおばあちゃんがギックリ腰で。しばらくそっちにいるって。」
「じゃあ俺と食べよう。何かリクエストはある?」
二人で夕食を食べることになった。
この間祐一さんが言っていたスペイン料理だ。
「美味しかったです。」
「良かった。」
初めて食べるスペイン料理は日本人にも馴染みのある味で食べやすかった。美味しくてついつい食べ過ぎてしまった。
祐一さんが連れて行ってくれる所はどこも美味しい。一緒にいると太っちゃうな。
「由紀くん、これ。」
祐一さんは鞄の中から箱を取り出した。
そうだった。渡したいものがあるって言われてたんだ。
「何ですか?」
「開けてみて。」
可愛くラッピングされた箱を開けると中にはネックガードが入っていた。シャンパンゴールドの優しい色合いのそれはおしゃれなデザインで、着けていても目立たない。
「これ…。」
「ひとつも持っていないって言ってただろ?心配だから…。」
「ありがとうございます。着けてみてもいいですか?」
「うん。もちろん。」
カチリ。
箱から取り出しネックガードを着けた。鏡はないので窓に映った姿を見てみる。
鏡ほどはっきり写らないが優しいシャンパンゴールドなので目立たない。
「すごく似合ってる。」
祐一さんは顔を赤くして誉めてくれた。
僕は何度もお礼を言ってそのネックガードは着けたままでいた。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「どうしたのそれ。」
次の日学校にネックガードを着けて行ってみた。すぐに真紘に見つかった。
「祐一さんにもらったんだ。ちょうど買おうと思ってたから。」
「へぇー、良いじゃん。似合ってるよ。ていうか、上手くいってるんだね。」
「そういう訳じゃないけど…。でもうじうじ考えてたことが少し晴れたかも。」
昨日の病院での話をした。僕はドリアンだったと言うと真紘は爆笑していた。
「ドリアンは酷いね。僕、嗅いだことあるよ。」
真紘が笑いながら言った。
僕が嗅いだのは匂いの元だ。本物はもっと強烈かもしれない。
真紘はしばらく僕のことをドリアン由紀と呼んでいた。
「真紘は?トシくんと仲直りしたの?」
「うん。まぁね。道端で土下座されちゃったから。」
良かった。僕のせいで別れたらどうしようかと思ったよ。
「今日もトシくんと会うの?」
「うん。迎えに来るって。」
スマホを取り出して二人のやり取りのメッセージアプリの画面を見せてくれた。
トシくんはハート連発の甘々のメッセージだ。どれだけ真紘を好きかが分かる。本当に良かった。
「モヤモヤも晴れたならどんどんいろんなアルファに会ってみたら?」
「うん。」
祐一さんの顔が一瞬浮かんだ。付き合っているわけでもないし。でも何となく後ろめたい。それに口下手で内向的な僕は新しい人と会うのが苦手だ。
今週はお見合いを組んでいない。お母さんも帰ってくるみたいだし久しぶりに家でゆっくりしよう。
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