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第一章
~5~
しおりを挟む「本日はお招き頂き、誠に有難うございます」
母と父に続き、国王陛下達へ挨拶をする。
本来の登城であれば玉座のある謁見の間に通されるのが通例であるが、今回は互いの婚約祝いとして堅苦しくならないようにとの配慮らしく中庭へと案内された。
王城の中庭とあって広く、丁寧に剪定されているのがわかる。
既に茶会の用意がされており、挨拶が終われば早速と母と王妃が女子会であるかのように盛り上がっていた。
「ミーシャちゃんは大きくなったわね。もう立派なレディね」
「レオクリス殿下も凛々しくなられたわね」
対して父と国王陛下は物静かに食事をとりながら世の情勢について話あっているようだ。
「ひ、久しぶり、ですね。ミーシャ嬢」
「お久しぶりです。レオクリス殿下、ライネル殿下」
「あ、その・・・・良い、天気ですね」
「ええ、今日という良き日が天候に恵まれ何よりですわ」
「・・・その・・ドレス、とても、良く・・似合っていると・・・・」
「お褒め頂き光栄です」
なんだコイツは
全くもって成長が見られないぞ
自分の体調管理すらまともに出来ないのか、貴様もう七歳だろう
しかもなんだそのテンプレートじみた話題は、天気の話から始まってから賛辞の言葉に移行するなどと何の捻りもない
私の兄の方がまだマシだ。社交辞令で歯の浮くような気障ったらしい台詞を語る技術が年々上がってきている。
少しは我が兄から教えを乞うたらどうかね
「兄様、落ち着いて下さい。
すみませんミーシャ嬢、兄様は普段はそうでもないのですがここぞという時に限って緊張しいなんです」
それは致命的ではないのかね
これが王位継承権一位とは、弟君の方がよっぽどしっかりしているようだ
「どうぞこちらへ」
「失礼します」
すすめられたテーブル席にレオクリス殿下とライネル殿下、私と兄の四人でつくと
「さて、ミーシャ嬢。貴女は兄様との婚約をどうお考えですか?」
「どう、とは?」
「いえ、兄様は生まれこそ僕より先ですが。″これ″なものですから」
本人がいる前で良くそのような発言が出来るものだ。中々度胸があると見る、もしくはただの考えなしか
侯爵家の者に対して王家の生まれの者を侮蔑とも取れかねない発言に同意を求めるのは、いくら兄弟といえ問題があるように思えるが
「王家からの快いお誘いです。忠義を示すのはフロイライト家として当然の事ですわ」
「つまり王家からの頼みだから断るに断れなかったから仕方なくって事なのかな?」
お前は何を言っている
少しは言葉を飾らんか
「男女の仲に恋愛感情がなくとも結婚は出来ますし世継ぎも産まれますわ」
ライネル殿下の意図は読みづらいものがあるが、ここはとにかくフロイライト家として、私個人としても王家に反逆の意思はないことをアピールする必要がある
否定的な発言は控え、かつ言質を取られないよう言葉を選ばなければいけない
「へえ、じゃあ僕にもまだチャンスはあるって事かな」
「え、ちょ、ラ、ライネル・・・?」
「僕はさ、ミーシャ嬢の事が好きだよ。勿論、恋愛感情として」
「そうですか」
「婚約はもうどうしようもないけど、ミーシャ嬢が出した結婚の条件。
あれでミーシャ嬢から認めて貰えたら兄様じゃなくて僕との婚約を考えてくれる?」
「っおい!ライネルお前何言ってるかわかってるのか!?」
「煩いよ兄様、皆見てるじゃないか」
婚約者のいる女性を、しかもその婚約者のいる目の前で鞍替えを提案するとは何を考えているのやら
本来ならそのような行為は周囲から罵られかねないが、私としては王家との繋がりとしての婚約な為どちらと婚約しようがたいして変わりない
それよりも殿下の声に女子会をしていた母と王妃、父の方もこちらを見ている。
人の目に晒されるのはどうにも苦手だ
「レオクリス殿下、落ち着いて下さい。未来の国王となられる方がそのように感情を表に出すものではありませんよ。
それと、ライネル殿下。私とレオクリス殿下との婚約は国王陛下と女王陛下の決められた事
私ではなく御二方に許可を取られて下さい」
私からは断る事も了承する事もない
ただ我が家の継続と私自身の心の安泰さえ守られるのならば誰が相手だろうが構わないのだから
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