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第一章
~9~
しおりを挟む♦ロズベルト
俺は十歳となり、
晴れて学院に入学となった。
と言っても、妹よりかなり遅れての入学に思う所は多いにある。
ミーシャに対する想いも、この歳になると割り切って・・・いる、と、思う
いや、未だに婚約者を持っていない時点で割り切れてはいないのかもしれないが
結局僕はミーシャの″兄″でしかなく、しかし″兄″だからこそ出来る事をするしかないのだ。
・・・・兄としての威厳とか、頼りにされたいという欲求ももう、とうに諦めている。情けないとは今更だ
それに、長く傍に居たからこそわかった事も多くある。
ミーシャの″悩み″、″やりたい事″、あと性格も
人の不幸で喜ぶ気質を持っている事に気付いたのは割りと早かったと思う、しかしそういう時に限って柔らかい慈愛に満ちたような笑みを見せる為か勘違いを起こしてしまう人が多い
実際俺も勘違いを起こしてた口の為苦い思いをしてしまう
王太子殿下も、今はわからないが会った当初の頃は実直そうだったな・・
学院に通うようになると、予想はしていたが妹が有名人の為、噂が嫌という程聞こえてくる。
『秀才の聖女』という二つ名を知らない人は学院内にはいないだろう
「入学おめでとう、兄上」
「ありがとうミーシャ」
『秀才の聖女』とその兄がいるとあってか、授業が始まる前にも関わらず視線が集まっているのがわかる
「ミーシャもこれから授業かい?」
「見ての通りな」
ミーシャは左腕に授業の資料を抱えている。
一見重そうに見えるそれも、ミーシャには対したものではないんだろう。こう見えてミーシャはかなり鍛えている、幻術魔法の類で見た目を誤魔化しているらしいがかなり筋肉質とのこと。
「兄上は貴族学科だからな、私の授業を受ける事は無いだろうが、興味があるなら見学にでも来るといい」
「うん、是非ミーシャの授業を見にいくよ」
学院にある学科は複数ある。
調理学、歴史学、経済学、司法学、魔法学、精霊学、これらは俺達爵位持ちが習う貴族学科の内で習うものだ。
それとは別に、建築学、製裁学、牧畜学がある。
そして最近になり新たに理化学科と言う学科が出来た。
ミーシャが専門教師を務める学科だ。
ちらり、とミーシャの胸元を見る。
灰色のシャツと淡い赤のロングスカート、平民の着る服とそう変わらない姿だが、良く見れば質の良い服とわかるそれ
そこには卒業の証のバッジが十もついている。
当初の予定では五つ程と言っていたのに、一度やると決めた事は徹底的に極めようとする気質は相変わらずのようだ。
「その制服も中々似合っているのではないかね。大切にすると良い、長く使うものだからな」
「はは、それもそうだ」
擦れ違い際に嫌味を言われた
ミーシャの分かりづらい嫌味も相変わらずだ。
学院には指定制服がある。着ているのは大抵が爵位持ちばかりで学院の中では良く目立つ
しかしミーシャは制服を持っていない
父さんと母さんが張り切って制服を買おうとしたのを事前に止めたのだ。
その時の台詞は中々に衝撃的だった
『数日程度しか袖を通す事の出来ない物など必要ないだろう』
だなんて
入学する前から即座に卒業する気だったとは思いもしなかった。
俺も一緒に入学したいと申し出た時ですら
『十歳になる前に卒業出来るのかね?』
とそれはもう綺麗な笑顔で言われてかなり落ち込んだ。
さっきの言葉も俺がそうすぐに卒業出来ない事を確信したように言ってきた
泣きたい・・
それにミーシャは国の外に旅に出る為の資金稼ぎとして教師業を勤めるようになったのだ。
勿論俺は着いていくと言ったのだが
『学業を勤め終えたなら好きにすればいい』
と、ホントに泣きたい・・・
長男で跡取りの俺が領地をそうそう長期間離れる訳にはいかない事をわかった上で、しかも俺が卒業出来る前には資金が貯まるとでもいうかのようだった
別に、旅に出るのは良い
それがミーシャのやりたい事ならば、否はない
ただ、俺の代わりにミーシャの身を守る事となる従者が少し、すこーし気に入らないだけだ。
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