転生した精霊モドキは無自覚に愛される

suiko

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第一章

~33~

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♦ルーク





オレのご主人様は無駄話が好きな癖に無駄話を嫌う


言葉遊びをしているつもりはない
寧ろそういうのはミーシャの得意とするところだろう

わかりづらい、回りくどい言い回しをする癖に相手に理解を求める

実際、ローズなんたらって嬢ちゃんと仲が良いのか悪いのか妙な関係を築いてたが
「茶を出そう」
(訳:無駄話に付き合う気は無い、茶を飲んだらさっさと出ていけ)
とか、察して欲しいのか、察せられたくないのか
良くわからん
とにかくめんどくさい性格だと思う






「良かったのかよ」

「何がだね」

「別れの挨拶も無しかよ」

「いらないだろう」


家族ってのはこんなもんなのか?
比較対象が居ない為わからないが、こいつの身内に対する態度ってのは、どうにも冷たい印象をうける
その実、言葉には決して出さないが信頼しているからこその行動なのだと堂々としている
おそらく、多分だが、別れの挨拶をしないのも必ず帰ってくるから必要無いと考えてるのかもしれない
兄貴のてめぇに対する感情に気付いてるのか気付いてないのかもハッキリしないのがまた何とも言えない気分になる


あいつは妹を特別視している

恋愛事は良くわからねぇが、なんとなく、
ほんとうになんとなくこいつは妹を他とは違う、特別に思ってんだなってのがわかる
それが雄が雌を狙い定めるようなそれなのか、
親愛を更に深めたもんなのか、
良くわからないが

兄貴だけじゃない
ミーシャの周りには妙なのがわんさか付いていやがる
わかりやすいのは一番年上の金髪野郎か


人の感情だとか、誰が何を考えてるかだなんていちいち気にしてられないんだが
どうにもめんどくさいご主人様と行動していると嫌でも人の顔色伺ったりだの、言葉に含ませた意味を推測したりだのとせざるを得ない

わかりやすいのが良い
わかりづらいのは苦手だ
物事を全て白か黒、はっきりと分けることが出来たならもっとオレは息がしやすいと思うのに
いっそ山奥にでも逃げて獣として生きてやろうか、なんて、本気でなんて思ってもないのに時たまそんなくだらない事が頭に浮かぶ
そんな事を言ってやったら面白いものを手に入れたみたいに、楽しそうに嫌味を言ってくる
「死にたいなどと嘯きつつ本気で死ぬつもりのない人間の自己顕示欲まみれの戯言のようだぞ」だったか



ミーシャの家から近くはないが遠いとも言えない距離を歩けば宿屋に着くが、その前に人だかりがいる
濃い緑色のあの時と同じ服を着た集団

「ミーシャ様っ!!」
「ミーシャ様だ!」
「隊員!起立!!」

ザッ

その集団はそれは見事に並び立つ

「礼っ!」
『行ってらっしゃいませ!ミーシャ様!!』

何十という成人男性達が声を合わせ礼をする光景はなかなかに圧巻だ。

「わざわざその為だけに来たのかね?
近隣住民に迷惑だろう」

「はっ!これにて失礼します!ありがとうございました!」

『ありがとうございました!』


ザッザッザッ

足並み揃えての行進
統一のとれた彼らこそが元王宮兵士であり、現警察官だ
俺にはその違いなんてわからないがミーシャ曰く全く違うのだとか

しかし今のやり取りを見聞きした周りの野次馬は早速と憶測に塗れた噂をでっち上げていく


「今のって一体・・・」
「行ってらっしゃいませって何の事かしら?」
「あのお嬢様、あれよあれ!ほら!フロイライトの聖女様!」
「何の騒ぎだ?」


そんな町の奴らの声に耳を傾けながら
どこか少しばかり寂しく思ってるのかもしれない

特に仲の良い奴がいた訳でも、長居していた訳でもないが
これから先五年近くここから離れるのかと思うと、妙な気持ちになる。





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