転生した精霊モドキは無自覚に愛される

suiko

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第一章

~39~

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◆メッシュール





俺の初恋は多分、おそらく幼少期の頃
近所に住んでいたずっと年上のお姉さんだったと思う。

今となってはその人の顔も名前も思い出せないけれど
ただ、周りにいた同世代の女の子と違う、大人な女性というものに子供ながらに惹かれてしまったんだと思う

それだけの事しか思い出せないんだ。



いつだったか忘れたけれど、遊び半分で付き合ってみた女の子に泣きながら最低だと罵られた事だとか、
声を掛けていた女の子達が三人バッタリ鉢合わせて喧喧囂囂、とんでもない修羅場擬きとなったりだとか、
知らない男が彼女に手を出されただとか抜かして刃物を向けてきたりだとか、
忘れてしまいたい事ばかりがスグに頭に思い浮かぶ癖に、
大切な、綺麗で、嬉しかった事、心が洗われるような事に限って忘れてしまったかのように思い出せなくなってしまう


きっと、この恋もそうなってしまうのだろう
それが悲しい事なのか、喜ばしい事なのか、今の俺には判断が付きそうにない


ミーシャせんせいの居ない学院は、先週までの学院と何一つ変わらない
変わった教師が一人見当たらなくなっただけの事
なのに、俺は
俺はこんなにも、かなしい



恋だった
好きだった
こんなになるほどに好きだったんだ


これ程までに求めた恋なんて、初恋以来かもしれない
俺にとって女の子なんて、可愛くて、フワフワしていて、一緒にいて楽しめるならそれで良い
俺が楽しめて、女の子もそれなりに俺で楽しい思いが出来る。それが俺にとっての恋愛だった筈なのに


こんなに、
こんなにただ一人を思い焦がれるものが
これ程苦しくて、切なくて、辛いものが、

ああ、そうだ、これが『恋』というものだったんだ。

そう、俺に思い出させてくれた



ミーシャせんせい、
いや、ミーシャ
俺、アンタのこと本気で好きになってたみたいだよ。
ありがとう。
俺に『恋』を思い出させてくれて

そしてさようなら。
俺はアンタを忘れる事にするよ
忘れられる自信はあんまりないけど、
きっと大丈夫さ。
だってこんなにもキラキラしていて、眩しいくらいに清々しくて綺麗なアンタとの恋だったんだ。
きっと忘れられるさ









「ねぇねぇ、今日終わった後暇してる子フレム食べ行かなーい?」


「あれ、メッシュくんだ」

「なんか久しぶりな気がするねー」

やっぱり女の子はとても良い
可愛くて、見ているだけで浮き足立ってくる


「そだねー、最近になってようやく暇になってきたんだよね。
でさ、行く?」

「んー、どうする?」

「折角だし、行ってみよっかな」


「よっしじゃあ決まり!終わったらロビー集合ね!友達も良かったら呼んでイーヨ」



俺の元の日常へと戻っていく
多少ぎこちない、空元気な調子の良さに嫌気がさすが、暫くすれば収まる所に収まるだろう
たった一人に捧げる愛とは、劇場の演目ではそれなりに人気だが俺には向いてないにも程がある。
軽くて広くて浅い、手軽でそれなりに楽しめるくらいがちょうど良い





この日、メッシュール・ガルパンは恋を自覚すると同時に失恋をした。


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