60 / 84
第一章
~59~
しおりを挟む◆ユキノ
私の名前は梓山雪乃、16歳
この間二年生になったばかりだというのに、何の因果か私は乙女ゲームの世界にトリップしてしまったのだった
驚いた。
むしろ驚かない方が無理だ。
見知らぬ場所での生活に始めは勿論不安はあった
それでもそれなりの時を過ごせば慣れてくるもので
後、やっぱりお城だからか凄く快適だっていうのもある。
お風呂には毎日入れるし、トイレだって綺麗だ。
お洋服もすっごく可愛い
ゲームの世界観は背景が中世っぽい雰囲気だったし、実際歩いて見た感じはヨーロッパっぽい感じがした。(私は海外なんて行った事ないけれど)
それでもゲームには詳しく描写されていなかっただけで、人の営みっていうのがちゃんと確立されているって事に少し感動したものだ。
時々、ホームシックになる事もある。
お母さんやお父さん、友達に彼氏
会いたくってももう会えない。
帰る方法は一つだけあるけれど、私は帰ろうとは思わなかった。
向こうの私はあの時に車に轢かれて死んだのだと、潔くこっちで生きると決意した。
そうすると、私はとても忙しい
なにせ第二のヒロインのストーリーは大災害を防ぐ為の冒険有り、戦闘有りの
乙女ゲームとは?って感じの迷走してた感たっぷりのストーリーになっている。
ゲームの舞台であるサズワイト王国が滅亡の危機に陥ったりなんかもするのだ。
それだけは絶対に何がなんでも防がなければいけない
冒険パーティーは一人でも多い方が良い、そう思って攻略キャラ達を探し回って、違和感に気付いた。
居るはずの場所に居ない
例えば画家志望のビリークくんのバイト先、角の靴屋さんとあったはずなのにその靴屋が見つからない
唯一靴の売っているお店は服飾が売られていて靴専門には見えなかったし、ビリークくんは居なかった。
他にもマルクスくんとか、ミザリーくんとか、ギラジュくんとか、
探すのにとても苦労したのだ。
未来視を持つ私、メイン火力のレオ様、回復要員のミルウェッチ様、近接戦闘向けのギラジュくん、罠の設置や弓等オールマイティなビリークくんとマルクスくん
バランスの良いパーティーが出来たと思う
恋愛関係にならない程度に好感度を上げて、この国を皆で守ろう!っと一致団結出来たと
そう、思ったのに
何でか上手くいかない
地下洞窟は確かにあった。
魔石がキラキラと光っていて、画面越しに見るよりも迫力ある綺麗な洞窟
その景色を見た時の皆の反応もゲームと全く同じで、舟に乗った私達を襲ってきた魔物もゲームに出てきた物と同じで
このまま地下洞窟ラスボスを倒して、この国を救えるって、そう思っていたのに
居なかった。
地下水に毒素を撒き散らすラスボスは何処にも居なくて、そんな筈ないって慌てる私に
大丈夫だって、きっと逃げたんだろうって、皆慰めてくれたけれど
それでも私は腑に落ちなくって
不安になった。
本当にゲームなんだよね?
ゲーム通りになっているよね?
だって確かにゲーム通りになっている所だってあるんだし
私がなんとかしないと
私だけが知っているんだ。
この国に起こる災害を知ってるのは私だけなんだ
自分の抱える責任の重さに辛くなる
ローズに相談したくても最近の彼女は付き合いが悪い
学院で偶然を装ってもリオンくんに邪魔されるし
結局、レオ様の婚約者はちゃんと存在していたし、何故か黒髪黒瞳だし、ちゃっかり聖女だなんて持て囃されてるし
私はこんなにこの国の為に頑張って苦労しているのに
国から離れていて今更帰って来ておいて、聖女を騙るなんて、なんて図々しい
私は違う
この国を守る為に、この国の人達を守る為に、必死になってる
沢山頭を下げた。
沢山駆けずり回った。
なのに何で、何であの女が本物で、私が偽物だなんて言われなきゃならないの?
国を放って旅に出ていた女と、国の未来の為に頑張ってる私と、どっちが聖女に相応しいかなんて、比べる必要だってないじゃない
未来視の能力も、本当に開花した。
数秒程度先だったり、二、三日先の出来事がチカチカと脳裏に浮かぶようになった。
そして私はぞっとした。
本当にこのままだと、この国が滅んでしまう
私が、私が何とかしないと
その為には私を偽物だとか言ってる人達の認識を改めないといけない
私一人じゃこの国を守りきるなんて出来やしない、そんな力私には無い
私が何とかしないといけないんだ。
0
あなたにおすすめの小説
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです
青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる
それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう
そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく
公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる
この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった
足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で……
エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた
修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た
ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている
エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない
ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく……
4/20ようやく誤字チェックが完了しました
もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m
いったん終了します
思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑)
平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと
気が向いたら書きますね
魔法使いとして頑張りますわ!
まるねこ
恋愛
母が亡くなってすぐに伯爵家へと来た愛人とその娘。
そこからは家族ごっこの毎日。
私が継ぐはずだった伯爵家。
花畑の住人の義妹が私の婚約者と仲良くなってしまったし、もういいよね?
これからは母方の方で養女となり、魔法使いとなるよう頑張っていきますわ。
2025年に改編しました。
いつも通り、ふんわり設定です。
ブックマークに入れて頂けると私のテンションが成層圏を超えて月まで行ける気がします。m(._.)m
Copyright©︎2020-まるねこ
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
【完結済】悪役令嬢の妹様
紫
ファンタジー
星守 真珠深(ほしもり ますみ)は社畜お局様街道をひた走る日本人女性。
そんな彼女が現在嵌っているのが『マジカルナイト・ミラクルドリーム』というベタな乙女ゲームに悪役令嬢として登場するアイシア・フォン・ラステリノーア公爵令嬢。
ぶっちゃけて言うと、ヒロイン、攻略対象共にどちらかと言えば嫌悪感しかない。しかし、何とかアイシアの断罪回避ルートはないものかと、探しに探してとうとう全ルート開き終えたのだが、全ては無駄な努力に終わってしまった。
やり場のない気持ちを抱え、気分転換にコンビニに行こうとしたら、気づけば悪楽令嬢アイシアの妹として転生していた。
―――アイシアお姉様は私が守る!
最推し悪役令嬢、アイシアお姉様の断罪回避転生ライフを今ここに開始する!
※長編版をご希望下さり、本当にありがとうございます<(_ _)>
既に書き終えた物な為、激しく拙いですが特に手直し他はしていません。
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※小説家になろう様にも掲載させていただいています。
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる