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第一章
~67~
しおりを挟む■ルーク
は・・ は・・
白い雪
白い岩肌
白い息
赤い血
クソッタレ
俺は死なねぇ
死ぬ訳にはいかねぇ
理由なんざしらねぇし、俺自身わかっちゃいねぇ
でも、
流石に死ぬか・・・・?
相対するは炎と氷の混ざった訳のわからない生き物
鳥の見た目をしたソレ
人狼共が神と崇めるものなのだろう
───キュイイィィィィィィィィ───
甲高い耳鳴りのような音が響き、キラリとソレの背後に光を見る
来る
避ける動作をして、反対へ走る
まるで分かっていたかのように俺へと向かってくるのは馬鹿デカい氷の塊
炎が、雷が飛んでくる
足場が盛り上がる
俺が使うは幻術魔法、
囮となる俺を映しだし動かす
隙を見て背後から水魔法を、火魔法を、槍を打つ
どうあっても決定打にはならない
──キュゥゥゥゥウウウウゥゥ──
轟々と煩い程の強風が吹きつける。
雪が降ってきた
雷が足元に落ちる、避けた先では炎が待ち構え、距離を詰めようとすれば氷の礫が落ちてくる
避ける事だけで精一杯で
ああ、クソ
どーしろってんだよ!
目の前まで迫った炎を水魔法で壁を作り消す
雷の光が迫る前に土魔法で作った金属片を飛ばす
氷の塊は身体全体で避けていく
足元が柔く感じたらはね飛び場所を変え
近づく事すら難しくなってきた
節約してはいるが魔法の連発によって魔力が足りなくなっていく
せめて、せめて一発ドデカい魔法を打ち込みてぇが
相打ちなんざ考えてねぇ
死ぬつもりも毛頭ない
だが、逃げる気も負ける気も無い
勝つ
勝たなきゃなんねぇ
どうしても・・・!!
「っ・・・・クッソが・・・!」
避けきれない
槍を回転させるように氷の塊を跳ね返す
足元の土が急に盛り上がり身体が崩れる
・・・っしまった・・・っ・・
左腕が、肩が、背中まで熱い
熱くて、痛ぇ
追い討ちのように身体中が跳ねるような、
脚先から脳天まで何かが突き抜けるような衝撃
「・・・がぁっ・・・・・ぁあ″・・・っ」
身体が動かねぇ
隙だらけの俺を嘲笑うように『奴』は翼を広げ悠々とこちらを見下している
もしくは、トドメでも刺すつもりか
炎と氷
黒焦げになって、バラバラに砕け散る俺を幻視した
パキン
目を開くと同時に駆け出す
水魔法で霧を作り出し穂先を凍らせた槍を一閃
奴の頭から背まで切り裂く
──キイイィィィィイイイイィイ──
砕けてしまった左の耳飾り
また、助けられた。
どういう仕組みかは知らんが、あいつから余りもんだとか何とかで貰ったアクセサリーが壊れ、変わりのように俺は命拾いしている
大量に貰った手作りとは思えない出来栄えのソレらが俺の命を食い止めてくれている
あいつの力に頼りきっているようで癪だが、貰った以上はこれは俺のもんだと思い、有効活用させてもらう
それに、
水魔法と火魔法を同時に使い奴に向ける
効く訳が無いとばかりに避ける事すらしない奴だが
──ギィイイ──ギュイイイイィィイ──
身体を仰け反らせ、フラリ、と巨体が地面へと降りていく
効いている。
死んだと思って目が覚める度に自分の魔法の威力がデカくなっているのに気づいた
技の精度も上がっているように感じる
身体が軽い
カッ
目がチカチカとする
ガツン、だとかゴッ、だとか
鼓膜に悪いだろう轟音
自分に防御魔法を重ね掛けして回り込むように駆ける
槍に炎と水を纏わせて、風向きを追い風に
狙うは中心
一気に駆け、跳ねる。
槍先を奴の身体目掛けて振りかぶり
睨まれた気がした
パキン
走る
走る
避けては攻撃をする
パキン
より強い魔法を
より強い攻撃を
段々と奴への距離が縮まっていく
パキン
奴の魔法もより強くなる
風が、雪が、雷が、炎が、氷が、飛び交う
雨だったり、雷だったり、雪だったり、天候が変わりゆく
パキン
羽根を切り落とす
再生する
炎と氷で出来た身体の癖に血は俺と同じ赤なのかと感心する
パキン
傷つける
傷つけられる
パキン
パキン
パキン
パキン
奴からしたら悪夢だろうよ
殺しても殺しても死なない上に、回数を重ねる毎に強くなる化け物を相手にするなんざ
まぁ、俺は初回で抵抗すら出来ずに黒焦げにされたんだ。
それで相子にしようじゃねーか
段々とこちらが優勢になっていく
蹂躙される側から、対等に戦えるように
対等な力関係が、崩れていく
狩られる者が狩る者へ変わるまで、何度も繰り返した。
傷だらけの身体
倒れ伏す巨体
その中央を槍で切り裂き心臓を抉り出し
喰らう
グチャ、グチャ
グチャッグチャッグチャッ
不味い
でも、これで
俺はこの化け物の力を手に入れられる
あいつに、追いつける筈だ。
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