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侯爵夫妻
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◇◇◇
アルバートは居ても立っても居られず、矢継ぎ早に、シルヴィアへ尋ねた。
「ヴィーは、もう魔法が使えるの?精霊を見たの?あの森へ入ったの?真神様に御名付けしたの?」
「はい。お兄様。左様にございますわ」
シルヴィアの落ち着きと余りに簡潔な返答に、アルバートは、自分だけが子どもである様に感じ、黙り込んだ。
一方、フローラは、気がかりを晴らすため、ルフへ直接尋ねることにした。
「ルフ様にお聞きしたいことがございます。よろしゅうございますか?」
『構わぬ』
「アルとヴィーは、ゆっくり召し上がれ」
「「はい、お母様」」
フローラは、防音魔法を発動した。
「ルフ様、ヴィーへの加護、誠に有り難う存じます。率直に申し上げます。ヴィーを伴侶としてお望みでしょうか」
『いずれ』
「畏まりました。此方へお成り頂けたということは、我々からヴィーを奪い去る意思はないと解しております」
『シルヴィアの悲しむことは望まぬ』
「安堵致しました。ところで、お食事や寝所はいかが致しましょう」
『糧は、シルヴィアの魔力。我は、常にシルヴィアと共にあることを望む』
「承知致しました。他に、ご要望はございますか」
『唯、シルヴィアが、健やかにあることのみ』
「御意」
他にも、聞きたいことはあるが、追々でよい。フローラにとって、我が子こそが、大事である。
◇
子ども達が退出し、静かになった部屋で、フローラは独り言の様に呟いた。
「まるで台風一過ね」
「・・・・・・」
実際に、部屋が乱れている訳ではない。同意しては不敬である。押し黙ったまま、皆、内心で大いに頷いた。
◇◇◇
フローラは、侍女のハンナと共に、執務室へ向かった。
執務室には、ウィリアムと側近達、家令のヨハンと執事のフィルがいた。ウィリアムは、フローラを抱き寄せ、額に口づけた。
「フローラ。ヴィーが神の加護を授かったぞ」
「ウィル、マリーは何と」
ウィリアムは、先程のマリーからの報告と、礼拝堂前での出来事を、フローラに語った。
「ルフ様のお言葉を、お伝え致しますわ。今は、ヴィーが健やかにあることのみを御所望とのことです」
「今は?」
「いずれは、伴侶にと思し召しですわ」
「!!!!!」
周りの者達は「むべなるかな」と冷静に受け止めているが、ウィリアムには決定打となるとどめの衝撃発言だった。
「これはめでたい。お祝い申し上げます」
「婿殿が神とは、恐れ入る。なんとも名状しがたいですな」
「今宵は宴といたしましょうぞ」
「それは、よろしいですわね。見習いの者も含め、全員に参加を促して頂戴」
「直ちに、手配致します」
立ち直れず茫然自失のウィリアムを残し、祝いムード一色である。
「ウィル、ルフ様はヴィーの幸せだけを願っておいでよ」
「うむ。そうか。だが、・・・寂しい」
「あら。ここにずっと居させれば、良いのではなくて?」
「それは良い!アルと共に、この地を任せよう」
「ほほほ!気の早いこと」
フローラの言葉に、一喜一憂するウィリアムの姿を眺める側近達は、口には出さぬが「相変わらず、面白いように、踊らされているな」と、笑いをこらえるのに必死だった。
「後、『糧は、シルヴィアの魔力。常にシルヴィアと共にあることを望む』と仰せですわ」
「ああああああ」
もう無理!とばかりに一同は、大笑いした。
◇◇◇
アルバートは居ても立っても居られず、矢継ぎ早に、シルヴィアへ尋ねた。
「ヴィーは、もう魔法が使えるの?精霊を見たの?あの森へ入ったの?真神様に御名付けしたの?」
「はい。お兄様。左様にございますわ」
シルヴィアの落ち着きと余りに簡潔な返答に、アルバートは、自分だけが子どもである様に感じ、黙り込んだ。
一方、フローラは、気がかりを晴らすため、ルフへ直接尋ねることにした。
「ルフ様にお聞きしたいことがございます。よろしゅうございますか?」
『構わぬ』
「アルとヴィーは、ゆっくり召し上がれ」
「「はい、お母様」」
フローラは、防音魔法を発動した。
「ルフ様、ヴィーへの加護、誠に有り難う存じます。率直に申し上げます。ヴィーを伴侶としてお望みでしょうか」
『いずれ』
「畏まりました。此方へお成り頂けたということは、我々からヴィーを奪い去る意思はないと解しております」
『シルヴィアの悲しむことは望まぬ』
「安堵致しました。ところで、お食事や寝所はいかが致しましょう」
『糧は、シルヴィアの魔力。我は、常にシルヴィアと共にあることを望む』
「承知致しました。他に、ご要望はございますか」
『唯、シルヴィアが、健やかにあることのみ』
「御意」
他にも、聞きたいことはあるが、追々でよい。フローラにとって、我が子こそが、大事である。
◇
子ども達が退出し、静かになった部屋で、フローラは独り言の様に呟いた。
「まるで台風一過ね」
「・・・・・・」
実際に、部屋が乱れている訳ではない。同意しては不敬である。押し黙ったまま、皆、内心で大いに頷いた。
◇◇◇
フローラは、侍女のハンナと共に、執務室へ向かった。
執務室には、ウィリアムと側近達、家令のヨハンと執事のフィルがいた。ウィリアムは、フローラを抱き寄せ、額に口づけた。
「フローラ。ヴィーが神の加護を授かったぞ」
「ウィル、マリーは何と」
ウィリアムは、先程のマリーからの報告と、礼拝堂前での出来事を、フローラに語った。
「ルフ様のお言葉を、お伝え致しますわ。今は、ヴィーが健やかにあることのみを御所望とのことです」
「今は?」
「いずれは、伴侶にと思し召しですわ」
「!!!!!」
周りの者達は「むべなるかな」と冷静に受け止めているが、ウィリアムには決定打となるとどめの衝撃発言だった。
「これはめでたい。お祝い申し上げます」
「婿殿が神とは、恐れ入る。なんとも名状しがたいですな」
「今宵は宴といたしましょうぞ」
「それは、よろしいですわね。見習いの者も含め、全員に参加を促して頂戴」
「直ちに、手配致します」
立ち直れず茫然自失のウィリアムを残し、祝いムード一色である。
「ウィル、ルフ様はヴィーの幸せだけを願っておいでよ」
「うむ。そうか。だが、・・・寂しい」
「あら。ここにずっと居させれば、良いのではなくて?」
「それは良い!アルと共に、この地を任せよう」
「ほほほ!気の早いこと」
フローラの言葉に、一喜一憂するウィリアムの姿を眺める側近達は、口には出さぬが「相変わらず、面白いように、踊らされているな」と、笑いをこらえるのに必死だった。
「後、『糧は、シルヴィアの魔力。常にシルヴィアと共にあることを望む』と仰せですわ」
「ああああああ」
もう無理!とばかりに一同は、大笑いした。
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