殲滅された小国の姫

とうたら

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シルヴィアの報告

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◇◇◇

 ウィリアム達が、マリーの報告を受けている間、シルヴィアは、早速、ルフをみなに紹介して回ることにした。

(先ずは、お母様とお兄様に、ご紹介しとうございますわ)

 シルヴィアは駆け出したい気持ちを必死に押さえながら、フローラの部屋を目指した。



 フローラは、私室で報告を待っていた。

 膨大な魔力の発動と、鳴り響く警鐘。そして、あの咆哮と圧。ただ事ではない。外出しているヴィーは無事なのか。敵襲ならば、望みはない。

 圧から解放され、しばらく経ったが、実に静かだ。敵襲ではなかったことに安堵した。

 何も手に着かない。
 何が起きたのか。
 早く、知りたい。

「お母様!ただいま戻りましたわ」

 満面の笑顔で部屋に入ってきたヴィーを、ほっとして、強く抱きしめた。

「ヴィー!お帰り。あら!可愛らしい犬?だこと」
「ルフと名付けましたの。今日から、ルフも我が家の一員ですわ」

 ルフの御陰で、ヴィーの憂いが晴れたようだわ。

「よろしくね。ルフ、ヴィーを護って頂戴」
『無論』
「まあ!驚いたわ。ルフは、聖獣なの?」
「お母様。ルフは、真神様ですわ」

 フローラとその場に居合わせた家人は一斉に、深々と臣下の礼を執った。

『構わぬ。楽にせよ』
「ご光臨賜わりしこと、誠に恐縮至極に存じます」
『シルヴィアは、我が魂の片割れ。我が加護する』
「!!!!!光栄至極にございます!」

 フローラは再び、美しき守護神に、深々と淑女の礼を執った。

 冷静に、先ずは落ち着いて話を聞かなければ。散歩に出かけて、犬ではなく、神を拾ってくるなんて。魂の片割れ?加護する!
 ヴィーに何が起きたというの。

 シルヴィアは、アルバートの姿を探している。

「直ぐにアルも来ることでしょう。ヴィー、話を聞かせて頂戴」
「はい。お母様」

 ソファーに腰掛けると、アルバートが血相を変えて、部屋へ飛び込んできた。

「お母様!ヴィー!」
「お兄様。ただいま戻りましたわ」

 ちょこんと淑女の礼カテーシーを執るシルヴィアを、アルバートは抱きしめた。

「アルも一緒に、こちらでヴィーの話を聞きましょう」
「はい。お母様」

 アルも、ヴィーが心配で仕方なかったようね。今にも泣き出しそうな顔をしているわ。

 ハンナは、ハーブティーとメレンゲクッキーを、テーブルへセットした。

「お兄様、この子はルフ。ルフは真神様ですわ」
「えっ・・・・・・。ヴィーは、神様と知り合いなのかい?」
「ルフは今日から私達の新しい家族ですわ」

 混乱から回復したアルバートは、慌てて、ルフに臣下の礼を執った。

『畏まらずとも良い。発言を許す。ルフと気安く呼ぶが良いぞ』
「ありがとう存じます。ルフ・・・様」

 フローラは、アルバートに着席を促し、シルヴィアの話を最後まで口を挟まず聞いた。

 牧草地へ行き、魔法を使ったら、精霊が姿を現し、神々の住まう森へと導かれ、真神に名付け、館へ招き、空を飛んで帰ってきた。

 突っ込みどころが多すぎて、言葉を失うフローラであった。

◇◇◇
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