34 / 51
誓い
しおりを挟む
すみません。
先にお詫びいたします。
しばらく性的な描写が続くことに、なってしまいました。
苦手な読者様は、読み飛ばして下さいませ。
◇◇◇
「うぉっほん!」
オーウェンの盛大な咳払いに、ノアとマリーは二人の世界から完全に引き戻された。慌てて唇を離し、赤面する二人に、ソフィアは観劇を堪能したような心地だ。心の中で惜しみないスタンディングオベーションを送っている。
「婚姻は認めるが、婚前交渉は断じて許さん!」
「ノア様、婚姻の約定を交わすまで、マリーの貞操を守って下さる?」
「誓って!マリー嬢は私がお守りいたします!」
「……、まあよい。頼んだぞ」
「ほっほっほっ。ノア様、信頼しておりますわ」
ガルシア伯爵夫妻は、ノアを牽制するつもりが、すっかり毒気を抜かれてしまった。
十六、七の健康な男子に、しかも四年越しの恋を成就させた誠実な若人に、愛しい人に触れるな、とは酷なことではある。が、八日程のことだ。許せ、ノア殿。堪えてくれ。ガルシア伯爵夫妻は、ノアがこの試練をどう乗り越えるのか楽しみに思った。
互いに高揚した気分のまま、就寝の挨拶を交わし、ノアとマリーは退室した。
ノアはまだ、僥倖にのぼせ夢見心地である。マリーの私室に着き、離れがたい気持ちで「おやすみマリー嬢」と挨拶を交わそうとした瞬間、「マリー嬢の貞操云々」の誓いを思い出してしまった。
ノアは焦った。
「マリー嬢!」
時は夜半だ。ノアの声は響き渡ったようにマリーは感じた。
慌てたマリーは、思わずノアを部屋の中に引き入れた。
ノアに、マリーの部屋に初めて入った感動に浸る心の余裕はなかった。守れそうもない約束をしてしまったことに、ノアは大いに焦っていた。
「件の誓いですが……」
「誓いですか?」
「先程、ガルシア伯爵夫妻にお誓いした、マリー嬢の貞操をお守りするという……」
「!!!」
「触れるのはお許し頂けるのでしょうか?」
初心なマリーにとって、今宵の出来事は完全に許容量を超えている。初めて触れた唇の柔らかな甘い感触をまざまざと思い出し、膝の力が抜けた。
崩れ落ちそうになったマリーをノアはしっかりと抱き留めた。
「マリー嬢。お許しください」
マリーは、ノアの胸に顔を埋め、消え入りそうなか細い声で「…御心のままに…」と答えた。
その言葉に、ノアは背筋がぞくりとするような痺れを感じた。ノアは、マリーの頤に手を添えて、顔を自分に向けさせると、先程唇で触れた、マリーの柔らかい唇を指先でそっと撫でた。
マリーは痺れるような感覚に「ぁ…」と震えるような熱い吐息か漏れるのを止められなかった。
ノアのなけなしの理性は、マリーの吐息に吹き飛ばされた。
ノアは、マリーの体を軽々と横抱きにし、寝台へと運んだ。マリーに覆い被さり、額にそっと口づける。そのまま、唇で瞼、鼻先、頬、耳に触れ、耳たぶをきゅっと食んだ。
マリーは「ん…」と声を漏らし、身体を強張らせた。
ノアは「愛しています」と耳元で囁き、そのまま唇で首筋を撫で下り、痕跡を残すように鎖骨を強く吸った。
ノアの唇が、微かに肌に触れながら額から徐々に唇の方へ移動してきた。でも、唇には触れてくれない。唇以外全てに口づけ、耳たぶを甘噛みされ、耳元で囁かれ、かかる息に身体が痺れた。首筋をゆっくりと舐めるように唇で撫で下ろされ、鎖骨を吸われ、益々頭がぼうっとした。
そして、ノアの唇は、マリーの喉を這い上がると、顎に口づけ、離れてしまった。
ノアとマリーは見つめ合い、ゆっくりと、そっと、唇を重ね合わせた。
二度目の口づけは、震えるような接吻だった。恐る恐るそっと触れるような口づけから、啄むような口づけになり、次第に深く濃厚になった。頭がくらくらして、もう、どうやって息をすればよいのかも分からない。
「ぁん…」と自分のものとは思えない艶やかな吐息が漏れたことの衝撃に、マリーはピクリと震えた。
ようやくノアの唇が少し離れた。離れたとは言ってもまだ鼻先が触れる程の距離だ。マリーは涙ぐみながら「ノア様、もうこれ以上は…、ご容赦くださいませ」と囁いた。
マリーから離れがたいノアは駄目元と思いながら必死に懇願した。
「マリー嬢、今から約定を交わしましょう」
「ノア様……困らせないで」
いつも麗しいマリー嬢が、今日はもう、天に召されても良いと思えるほど神々しい可愛いさで眩暈がする。幸せだ。
ノアは思いが通じた幸せを噛み締めながら、マリー嬢の貞操を守ると誓った自分を恨めしく思った。これから婚姻までの長い長い八日間をはたして無事に過ごせるのだろうか。
「マリー嬢、愛しています。私の全てを受け入れて欲しい」
「ノア様、私も愛しております。私の全てを捧げます」
マリーの表情が、声が、一挙手一投足が愛おしくてたまらない。心臓も理性も寸寸である。
婚約一日目から、天国と地獄を味わうノアであった。
◇◇◇
先にお詫びいたします。
しばらく性的な描写が続くことに、なってしまいました。
苦手な読者様は、読み飛ばして下さいませ。
◇◇◇
「うぉっほん!」
オーウェンの盛大な咳払いに、ノアとマリーは二人の世界から完全に引き戻された。慌てて唇を離し、赤面する二人に、ソフィアは観劇を堪能したような心地だ。心の中で惜しみないスタンディングオベーションを送っている。
「婚姻は認めるが、婚前交渉は断じて許さん!」
「ノア様、婚姻の約定を交わすまで、マリーの貞操を守って下さる?」
「誓って!マリー嬢は私がお守りいたします!」
「……、まあよい。頼んだぞ」
「ほっほっほっ。ノア様、信頼しておりますわ」
ガルシア伯爵夫妻は、ノアを牽制するつもりが、すっかり毒気を抜かれてしまった。
十六、七の健康な男子に、しかも四年越しの恋を成就させた誠実な若人に、愛しい人に触れるな、とは酷なことではある。が、八日程のことだ。許せ、ノア殿。堪えてくれ。ガルシア伯爵夫妻は、ノアがこの試練をどう乗り越えるのか楽しみに思った。
互いに高揚した気分のまま、就寝の挨拶を交わし、ノアとマリーは退室した。
ノアはまだ、僥倖にのぼせ夢見心地である。マリーの私室に着き、離れがたい気持ちで「おやすみマリー嬢」と挨拶を交わそうとした瞬間、「マリー嬢の貞操云々」の誓いを思い出してしまった。
ノアは焦った。
「マリー嬢!」
時は夜半だ。ノアの声は響き渡ったようにマリーは感じた。
慌てたマリーは、思わずノアを部屋の中に引き入れた。
ノアに、マリーの部屋に初めて入った感動に浸る心の余裕はなかった。守れそうもない約束をしてしまったことに、ノアは大いに焦っていた。
「件の誓いですが……」
「誓いですか?」
「先程、ガルシア伯爵夫妻にお誓いした、マリー嬢の貞操をお守りするという……」
「!!!」
「触れるのはお許し頂けるのでしょうか?」
初心なマリーにとって、今宵の出来事は完全に許容量を超えている。初めて触れた唇の柔らかな甘い感触をまざまざと思い出し、膝の力が抜けた。
崩れ落ちそうになったマリーをノアはしっかりと抱き留めた。
「マリー嬢。お許しください」
マリーは、ノアの胸に顔を埋め、消え入りそうなか細い声で「…御心のままに…」と答えた。
その言葉に、ノアは背筋がぞくりとするような痺れを感じた。ノアは、マリーの頤に手を添えて、顔を自分に向けさせると、先程唇で触れた、マリーの柔らかい唇を指先でそっと撫でた。
マリーは痺れるような感覚に「ぁ…」と震えるような熱い吐息か漏れるのを止められなかった。
ノアのなけなしの理性は、マリーの吐息に吹き飛ばされた。
ノアは、マリーの体を軽々と横抱きにし、寝台へと運んだ。マリーに覆い被さり、額にそっと口づける。そのまま、唇で瞼、鼻先、頬、耳に触れ、耳たぶをきゅっと食んだ。
マリーは「ん…」と声を漏らし、身体を強張らせた。
ノアは「愛しています」と耳元で囁き、そのまま唇で首筋を撫で下り、痕跡を残すように鎖骨を強く吸った。
ノアの唇が、微かに肌に触れながら額から徐々に唇の方へ移動してきた。でも、唇には触れてくれない。唇以外全てに口づけ、耳たぶを甘噛みされ、耳元で囁かれ、かかる息に身体が痺れた。首筋をゆっくりと舐めるように唇で撫で下ろされ、鎖骨を吸われ、益々頭がぼうっとした。
そして、ノアの唇は、マリーの喉を這い上がると、顎に口づけ、離れてしまった。
ノアとマリーは見つめ合い、ゆっくりと、そっと、唇を重ね合わせた。
二度目の口づけは、震えるような接吻だった。恐る恐るそっと触れるような口づけから、啄むような口づけになり、次第に深く濃厚になった。頭がくらくらして、もう、どうやって息をすればよいのかも分からない。
「ぁん…」と自分のものとは思えない艶やかな吐息が漏れたことの衝撃に、マリーはピクリと震えた。
ようやくノアの唇が少し離れた。離れたとは言ってもまだ鼻先が触れる程の距離だ。マリーは涙ぐみながら「ノア様、もうこれ以上は…、ご容赦くださいませ」と囁いた。
マリーから離れがたいノアは駄目元と思いながら必死に懇願した。
「マリー嬢、今から約定を交わしましょう」
「ノア様……困らせないで」
いつも麗しいマリー嬢が、今日はもう、天に召されても良いと思えるほど神々しい可愛いさで眩暈がする。幸せだ。
ノアは思いが通じた幸せを噛み締めながら、マリー嬢の貞操を守ると誓った自分を恨めしく思った。これから婚姻までの長い長い八日間をはたして無事に過ごせるのだろうか。
「マリー嬢、愛しています。私の全てを受け入れて欲しい」
「ノア様、私も愛しております。私の全てを捧げます」
マリーの表情が、声が、一挙手一投足が愛おしくてたまらない。心臓も理性も寸寸である。
婚約一日目から、天国と地獄を味わうノアであった。
◇◇◇
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
(完)聖女様は頑張らない
青空一夏
ファンタジー
私は大聖女様だった。歴史上最強の聖女だった私はそのあまりに強すぎる力から、悪魔? 魔女?と疑われ追放された。
それも命を救ってやったカール王太子の命令により追放されたのだ。あの恩知らずめ! 侯爵令嬢の色香に負けやがって。本物の聖女より偽物美女の侯爵令嬢を選びやがった。
私は逃亡中に足をすべらせ死んだ? と思ったら聖女認定の最初の日に巻き戻っていた!!
もう全力でこの国の為になんか働くもんか!
異世界ゆるふわ設定ご都合主義ファンタジー。よくあるパターンの聖女もの。ラブコメ要素ありです。楽しく笑えるお話です。(多分😅)
女神様、もっと早く祝福が欲しかった。
しゃーりん
ファンタジー
アルーサル王国には、女神様からの祝福を授かる者がいる。…ごくたまに。
今回、授かったのは6歳の王女であり、血縁の判定ができる魔力だった。
女神様は国に役立つ魔力を授けてくれる。ということは、血縁が乱れてるってことか?
一人の倫理観が異常な男によって、国中の貴族が混乱するお話です。ご注意下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる