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1話 ハナミズキ

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2年前から地球では、雨ではなく星が降るようになった。

星と言っても本当に小さい星。

金平糖みたいな星。

はじめて星が降ったときは、みんな動揺していたけど今となっては当たり前になっていった。

今日は、大きな星が降ってきて地球が滅亡してしまうらしい。

これは本当なんだ。

まあ、簡潔に言うと今日死ぬってことだよね。


「ねぇねぇ、雅人?」

私は隣にいる幼なじみに話しかける。

「ん?なんだ?」

「今日さ、誰と過ごすの?家族?」

「んー、まだ決めてないなー」

「そっかー。実は私も決まってないんだー!みんなは、家族と過ごすらしいよ」

「だよな。家族と過ごすって言ってる人がほとんどだよな」

「うん」

特に話すこともなく、黙りとしてしまう。

何か話さないと今日が終わってしまう。

告わないと、告わないといけないのに。

「美幸?どうした?」

愛しい人が私の名前を呼ぶ。

ああ、なんて幸せなんだろうか。

自分の名前を呼んでくれるだけで、こんなにも嬉しいだなんて。

「んーん、ちょっと考え事してたのー!」

「ふーん」

もっと何か言ったっていいじゃない!

もっと話したい。

雅人に触れたい。

雅人を前にすると私が私でなくなる。

「ねぇ?雅人」

「ん?なんだよ」

「好きな人いる?」

「はぁあ!いきなりなんだよ!」

雅人は顔を真っ赤にする。

好きな人いるんだ。

「あ、いるんだー!」

「べ、別にいるなんて言ってねーだろ!」

「ふーん。ちなみに私はいるよ?」

「あっそ、誰なんだよ?」

「雅人が教えてくれたら教えてあげるよ」

「俺が教えるわけねーだろ!」

「えー...じゃあ教えるわけにはいかないなぁ」

「べつにお前の好きな人なんて興味ねぇから!」

そう言い、またそっぽ向いてしまった。

私は、雅人の耳元でささやいた。

「君が好きだよ?」って。

「なっ!?」

って言って雅人は、さっきよりも顔を真っ赤にする。

すぐに顔を赤くして照れるとことか好きだよ?

「お、俺もす...すきだ」

下を向きながらぼそぼそと言った。

「ん?なぁに?聞こえなかったなー?」

本当は聞こえてるけど意地悪でもう1回きく。

だって、愛しい人からの「好き」は何回でも聞きたいじゃん?

「だーかーら!好きだっていってんだよ!」

「ふふっ!私も」

あーもー、本当に可愛いんだから。

可愛いって言ったら雅人は怒るだろうな。

どうして今日地球は滅んでしまうのだろうか。

神様って残酷だね。

残酷な神様。

だけど、神様ありがとう。

だって、雅人に好きって言えたから。

だから、ありがとうね。神様。

「ねぇ雅人?」

「なんだよ?」

「今日さ、死ぬ直前まで一緒にいたいな」

「ああ、一緒にいよう」

「うん」

大好き大好き大好き。

愛してるよ?永遠に。

だけど、この想いは決して実らないんだ。

だって、兄妹だから。

神様は時に残酷だね。

幼なじみで兄弟ってさ。

だけど雅人に出会えたことは感謝するよ。

だから、神様私はとても図々しいのかもしれませんが、最期は雅人と一緒にいられますように。

「ねぇ、雅人?」

「なんだよ?」

「大好き」

「俺もだよ」

さようなら。

私の愛しい人。

私の永遠に愛し続ける人。



fin



ハナミズキの花言葉
「永続性」
「返礼」
「私の想いを受けてください」
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