幼馴染と義妹、合わされば魔王レベルだと思いませんか? なので、討伐することに決めました

井藤 美樹

文字の大きさ
111 / 132
第八章 パーティー全員で魔王を蹴散らします

私が寝てる間に密談を

しおりを挟む

 微かに、聞こえてくるのは怒った声と呆れた声でした。

「ほんとにこの娘は、いつも無茶をするわね……目の下に濃い隈を作っちゃって。それで、あの屑、そんなことを企んでいたのね」

 はっきりとは聞き取れないけど、この声は、アンの声ね。見舞いに駆け付けてくれたのですね。

 寝姿を見られのは恥ずかしいですわ。起きないと……あれ、身体が動きませんわ。

 どうにか動くのは、指先くらいです。

「シア、まだ起きるのは早いよ。せめて、あと一日はゆっくり休んで」

 わずかな反応に気付いた殿下が、私の頬を撫でながら言います。

 その手の心地よさに、そのまままた眠りに落ちそうになりましたが、なんとか踏み止まります。だって、今更ですが、寝顔を見られ続けるのは恥ずかしいですよ。それが親友でも、婚約者でも。

「ゆっくり休んで」

 一文字区切るように、ゆっくりと殿下は言います。なんとしても、寝かそうとしてますね。

「…………お……」

 こうなったら、意地でも起きます。

 ほとんど声は出てませんが、それでも、意識ははっきりと覚醒していきます。ただ……マジで身体が動かない。痺れたような、石化したかのような感覚です。どうにか、首だけは動かせますね。

「目を覚ましても、身体は動かないよ。魔力がまだ枯渇こかつ状態だからね。シアがマジックポーションを規定量以上飲むからだよ。ほんと、無茶して。いつも君は、他人に対して無茶をする。でも、そんなシアだから、俺は君を選んだんだよ」

 殿下が甘過ぎます。何かを、たれ流していませんか? アンが真っ赤なんですけど……反対に、シンク様は黒いオーラが出てますよ。

 自分以外がアンの赤い顔を見たのが嫌なんでしょうね……シンク様も、中々愛が重い方ですから。まぁでも、さすがに、監禁を考えたりはしないですよね。

 「シア、よかったわね。コーウィン殿下の愛は本物よ!!」

 自分事のように嬉しがるアン。私はほんとに、良い親友を持ちましたね。

 疑ってはいない意味を込めて、私は軽く首を上下に動かします。

 アンは私の返答に対して満面な笑みを浮かべると、殿下から渡された魔法石をギュッと握り締め言いました。

「シアが倒れれまで作った魔法石、肌身離さず持つから安心して」

 私は再度首を上下に動かします。

「それから、あの魔王兄妹、ちゃんと追い込んであげるから、ゆっくり休んで」

 もしかして、話したのですか?

 殿下に視線を向けます。

「アイリーン嬢には話しておいた。色々協力してほしいことがあるから」

 協力? コンラッド公爵家ではなく?

「コンラッド公爵家が動いたら、奴らは警戒して潜ってしまうからな。その代わりに、アイリーン嬢に手伝ってもらう」

 大丈夫ですか!?

 殿下からアンに視線を移します。それだけで、アンは私が何を心配しているか瞬時に理解してくれます。殿下といい、本気で心が読めるのではと疑ってしまいますよ。

「心は読めないわよ。シアって、顔に出やすいのよ。まぁ、それを解読できるのって、私と殿下ぐらいでしょうけど」

 矛盾してるように聞こえるのは私だけ?

「矛盾はしてないよ、シア」

 いやいや、顔に出やすいって……もし、それが本当でも、ここまで的確な返答はしませんよね。

「疑う気持ちはわかるけど、それはあと。今はそれよりも、あの魔王兄妹をどうするかよ。それでね、コーウィン殿下と相談したのだけど、社会的に追い込むことにしたわ。そして、地面をいづかせてやる。見てて、とことん追い込んでやるわ。あの毒親のように、司法にゆだねるような甘い結着はさせないから。誰を敵に回したか、じっくりとじっくりと教え込んであげるわ。だから、安心してゆっくり休んでね」

 安心する要素がありません。

 どうやら、私抜きにして、アンは殿下と密談したようです。笑みが黒いこと、黒いこと。完全にキレてますわ。殿下もアンも。

 この二人を完全に敵に回したのですから、魔王兄妹は逃げ切ることはできないでしょう。というか、許さないでしょうね。

 それにしても、司法の手を借りないってことは、その線では不十分だと判断したからでしょう。事実、弱いですからね。奴隷の件もそうですが、私に呪いを掛け人形にしようとしても、私がこの魔法石を作った時点で、呪いは回避出来ますし、無味無臭だから、誰に手を伸ばしたか判断もしにくい。それに、呪いそのものが曖昧あいまいですからね、現実問題、立証するのが難しいでしょう。

 となると、司法よりも、経済的に追い込む方がよしと判断したようですね。だとしたら……間違いなく、アリシアお姉様とジルお兄ちゃん、リストお兄様を喜んで巻き込みそうですね。彼らにも殿下は魔法石を渡したはずですから。

 魔王兄妹、完全に終わりましたね。

 自業自得、因果応報。

 最後、どんな悲惨な状態になっても同情などしませんわ。

「シア、もうお休み。大丈夫、君のことは私たちが完璧に護るから」

 殿下の優しい声が、私を眠りにいざないます。

 そうですね……しっかり護ってください。でも、次起きたら私も参戦しますから、場は残しておいてくださいね。

「わかった」

「当然」

 やっぱり、二人とも心を読んでますよね?

 納得がいくよう、後でじっくりと話しましょうね、コウ、アン。


しおりを挟む
感想 76

あなたにおすすめの小説

婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~

ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。 そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。 シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。 ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。 それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。 それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。 なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた―― ☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆ ☆全文字はだいたい14万文字になっています☆ ☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆

そちらから縁を切ったのですから、今更頼らないでください。

木山楽斗
恋愛
伯爵家の令嬢であるアルシエラは、高慢な妹とそんな妹ばかり溺愛する両親に嫌気が差していた。 ある時、彼女は父親から縁を切ることを言い渡される。アルシエラのとある行動が気に食わなかった妹が、父親にそう進言したのだ。 不安はあったが、アルシエラはそれを受け入れた。 ある程度の年齢に達した時から、彼女は実家に見切りをつけるべきだと思っていた。丁度いい機会だったので、それを実行することにしたのだ。 伯爵家を追い出された彼女は、商人としての生活を送っていた。 偶然にも人脈に恵まれた彼女は、着々と力を付けていき、見事成功を収めたのである。 そんな彼女の元に、実家から申し出があった。 事情があって窮地に立たされた伯爵家が、支援を求めてきたのだ。 しかしながら、そんな義理がある訳がなかった。 アルシエラは、両親や妹からの申し出をきっぱりと断ったのである。 ※8話からの登場人物の名前を変更しました。1話の登場人物とは別人です。(バーキントン→ラナキンス)

冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

シリアス
恋愛
冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

私を家から追い出した妹達は、これから後悔するようです

天宮有
恋愛
 伯爵令嬢の私サフィラよりも、妹エイダの方が優秀だった。  それは全て私の力によるものだけど、そのことを知っているのにエイダは姉に迷惑していると言い広めていく。  婚約者のヴァン王子はエイダの発言を信じて、私は婚約破棄を言い渡されてしまう。  その後、エイダは私の力が必要ないと思い込んでいるようで、私を家から追い出す。  これから元家族やヴァンは後悔するけど、私には関係ありません。

【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください

ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。 義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。 外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。 彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。 「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」 ――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。 ⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎

その支払い、どこから出ていると思ってまして?

ばぅ
恋愛
「真実の愛を見つけた!婚約破棄だ!」と騒ぐ王太子。 でもその真実の愛の相手に贈ったドレスも宝石も、出所は全部うちの金なんですけど!? 国の財政の半分を支える公爵家の娘であるセレスティアに見限られた途端、 王家に課せられた融資は 即時全額返済へと切り替わる。 「愛で国は救えませんわ。 救えるのは――責任と実務能力です。」 金の力で国を支える公爵令嬢の、 爽快ザマァ逆転ストーリー! ⚫︎カクヨム、なろうにも投稿中

婚約者にざまぁしない話(ざまぁ有り)

しぎ
恋愛
「ガブリエーレ・グラオ!前に出てこい!」 卒業パーティーでの王子の突然の暴挙。 集められる三人の令嬢と婚約破棄。 「えぇ、喜んで婚約破棄いたしますわ。」 「ずっとこの日を待っていました。」 そして、最後に一人の令嬢は・・・ 基本隔日更新予定です。

兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!

ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。 自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。 しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。 「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」 「は?」 母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。 「もう縁を切ろう」 「マリー」 家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。 義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。 対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。 「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」 都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。 「お兄様にお任せします」 実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。

処理中です...