戻るなんて選択肢はないので、絶対魔法使いの弟子になってみせます。

井藤 美樹

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第一章 これって異世界転移だよね

第四話 まさかの展開でした

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 どうにか体が動かせるようになったのは、それから一週間後でした。

 動かせるっていっても、少し体を起こせる程度かな。すぐに息が切れちゃう。ほんと、情けないよね。それに、まだ微熱が続いてるし。トイレまでの往復が限度かな。でも、ちゃんと回復してるよ。ゆっくりだけどね。これでも、大分回復した方だよ。保護された時は、瀕死な状態だったって聞いたから。

 ずっと寝て起きての生活だけど、頭はしっかりしてるから、色んなことを知ることが出来た。

 まず、私を助けてくれたあの美青年は本屋さんの店主で、名前は伊織いおりっていうんだって。普段から忙しく動き回ってるから、家にはいないことが多いって教えてくれた。だからかな、目が覚めた時から伊織さんの姿を見ていない。

 伊織さんの代わりに、私の看病をしてくれているのが、彼の親友、じんさんの妹さんだ。

 名前は小町。陣さんもそうだけど、日本っぽい名前だよね。違和感ないや。

 初めて小町さんを見た時はほんと驚いたよ。だって、小町さんの頭に二本角が生えてたんだから。

 そう、小さい角が二本。屈んだ時にチラリと見える。その他は人間とあまり変わらない。ほんわかとした雰囲気をまとってる。鬼なのに。でね、超可愛い(でも美人)鬼の娘さんだよ。

 因みに、お兄さんの陣さんは〈北の王〉と呼ばれる、すっごい偉い人に仕えているんだって。かなりのエリートらしいよ。王様に仕えてるんだもん。エリートに決まってるよね。感覚的には公務員のようなものかな? ちょっと違うかな? 日本には王様なんていなかったから、よく分かんない。元気になったら、色々聞いてみたいな。

 小町さんや陣さんのような鬼を、この世界では〈鬼人〉と呼んでいる。王様も鬼人なんだって。

 因みに、【あの世】は死者が棲む世界。

 反対に、【常世】はあやかしが棲む世界。 

 どちらの世界も、私のような普通の生きた人間は誰一人住んでいない。伊織さんも、あやかしの国で暮らしてるんだから普通の人間じゃないよね、絶対。

 そもそもだよ。

 この世界に堕ちて来るまで、私は【常世】と接点がなかった筈。なのに、小町さんは私の名前を知っていた。伊織さんもだ。不思議だよね。

 その理由は、至って簡単で意外なものだった。

「二年程前かな。睦月ちゃん、一度ここに堕ちて来たことがあったから、知ってるのよ」

 小町さんは微笑みながら、さらりととんでもない台詞を口にした。

 いや~~馬鹿みたいに口が開いたまま固まっちゃったよ。だって、あまりにも斜め上の回答だったから。まさかの二度目だったよ、おい!! 

 そう、二度目の異世界訪問。

 普通驚くよね~~。でも、そんな記憶全然ないんだけど。小町さんや伊織さんの勘違いじゃなさそうだし、そもそも同姓同名の人が同じ所に堕ちて来る確率なんて、天文的数字分の一だよね。でもさ……

 ……ん? あれ? 二年前?

 思わず首を傾げたよ。

 二年前って、普通に小学校通ってたよ、私。

 訳が分からない私に、小町さんは【常世】の世界について詳しく教えてくれた。

 まず、【常世】と【地球】の違いから。

 この二つの世界は、主に時間の流れ方が違うらしい。ラノベや昔話にありがちな設定だよね。

【常世】の一年は【地球】では五年。

 ということは、私が今こうしてる間にも、向こうでは、五倍の速さで時間が流れてることになるらしい。

 って言われても、実感なんてなんにもない。ただ……何とも言えない消化不良な感じが残った。まぁ、それは今一先ひとまず横に置いといて。

 小町さんが言う二年程前って……十年前だよね。

 だとしたら、身に覚えがあった。

 だって……その時に起きたことが、後の私の人生に、大きな影を作ることになった原因なんだから……身に覚えがあって当たり前だよ。





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