大嫌いな聖女候補があまりにも無能なせいで、闇属性の私が聖女と呼ばれるようになりました。

井藤 美樹

文字の大きさ
91 / 106
第七章 知らない所で死亡フラグと監禁フラグが立ってます

古代語と水鏡の魔法具


 入口で鶏さんたちと一緒に待っていたぼろぼろ状態のキルに、私はセイを紹介した。

「あ~……わかった、了解した」

 キルの意外な反応に、私は拍子抜けしちゃった。驚いたのは一瞬だったよ。てっきり、声を上げて腰を抜かすかもって思ったのに、キルは後頭部をポリポリ掻きながら答えたの。

「ケイ兄さんもだけど、反応薄くない? SSSランクの魔物だよ」

「まぁ、アキだからな……」

 それ、答えになってないからね。

「どういう意味? っていうか、何、皆納得してるのよ!!」

 ここは抗議すべきところだよね。

「それで、精霊石は? 学園長の安否を確認するんだろ?」

 キルにさらりと無視された。

 しょうがないか……聖域に足を踏み入れたのは、サルシナ先生の安否を調べてもらうためだからね。

「桶を持ってくるから待ってて」

 モアさんはそう告げると、一人室内に入り桶を持って来た。結構大きい。

 庭には、外で作業やご飯が食べれるちょっとしたテーブルが置いてある。モアさんはその上に桶を置いた。

「セイ様、水魔法で桶を満たしてくれるかな」

 モアさんがセイに頼んだ。セイは『任せて』と答えてから、無詠唱で小さな水球を作り、あっという間に桶を満たした。

 モアさんはセイのこと様を付けて呼ぶんだよね。でも口調は気さくなんだけど。

「アキ、セイ様に貰った精霊石をいれてくれる」

 私は言う通りにした。端でなく中央に。

「ありがとう。じゃあ、始めるよ」

 モアさんはそう告げると、聞いたことがない言語で詠唱を始める。

 もしかして、古代語? 

 この世界には、どうしても解読できない魔法具が存在するの。神器もその一つ。失われた文明の遺物だと言われてるわ。

 巨大な力が封じられていると言われてるけど、扱える者は存在しないの。神器の中には、一部だけ使えるものもあるけどね。使えない理由は、魔法具の側面に刻まれた文字が解読できないから。

 モアさんが詠唱を始めてすぐだった。

 精霊石が光だし、風も吹いていないのに水面が揺れた。詠唱が済んだと同時に、光も消え水面も静かになった。

「……モアさん?」

「これで、魔法具が完成。自由に繋げれられるよ。使い方は、対象者、今回はニノリスの姿を頭に浮かばせながら、水面に指先を付けると……ほら、ニノリスの姿が映る。相手の魔力を知っていることが発動条件だよ。当然、容姿もね。注意する点は、時間が限られていること。ただ、それは水面から指先を離した時にかぎる。長く話す時は、水面に魔力を流し続けないといけないから注意してね」

 凄い……こんなに鮮明に、ニノリスさんが映ってる。

「声は届くのか?」

 ケイ兄さんが尋ねた。

「勿論、ニノリス聞こえる?」

 モアさんの声に、ニノリスさんは反応する。当たりをキョロキョロしてから、窓ガラスの前に移動した。

「水鏡の魔法具か? モアの家にあったなんて、聞いてない」

 さすが、ニノリスさん。博識だね。水鏡の魔法具か……うん、まんまだね。

「ないよ、だから作った。材料の採取はアキに頼んだよ」

「はぁ!? 詳しく訊きたいけど、それは後でいいな。で、何のようだ? ユリアのことじゃないだろ?」

 そう訊いてきたニノリスさん。モアさんは私を見る。

「うん、違う。至急、ニノリスさんに調べてほしいことがあるの」

「調べてほしいこと?」

「サルシナ先生の安否」

「サルシナの?」

 ニノリスさんは怪訝な顔をしながら聞いている。

「聖教国の独立を認めた件で手紙を送ったんだけど、返事が来て、何かに追われて焦っているようだったの。具体的に、そんなことは書いてなかったんだけど、凄く気になるの? なんか……胸騒ぎがするの。だから、お願い、サルシナ先生のこと調べて」

「その手紙を見せてみろ」

 そう言われて、私は持っていた手紙を広げようとしたら、モアさんに「そのまま、手を離してみて」と言われて、そうしたら、手紙は水面に付く前に消えた。

「凄っ!!」

 驚いている間に、ニノリスさんが手紙を読んでいる。

「物も送れるからね。大きいものは無理だけど、手紙くらいなら大丈夫」

「き、規格外すぎる~!!」

 思わず、声上げちゃった。

「アキ、うるさいよ。……確かに、らしくないな。わかった、調べておくよ」

 考え込むニノリスさんを見て、私はついポロリと口から出た。

「……ニノリスさん、もしかして、心当たりあるの?」

 言った瞬間、超怖い顔で睨まれた。

「アキ、前から言っているよな、考えてから話そうって。……とりあえず、こっちで調べてみる。分かり次第連絡するから、それまで大人しくそこで待っていろ」

 そう一方的に言われたよ。通信が遮断されたのか、そこには、私たちの姿しか映っていなかった。



感想 4

あなたにおすすめの小説

無能令嬢、『雑役係』として辺境送りされたけど、世界樹の加護を受けて規格外に成長する

タマ マコト
ファンタジー
名門エルフォルト家の長女クレアは、生まれつきの“虚弱体質”と誤解され、家族から無能扱いされ続けてきた。 社交界デビュー目前、突然「役立たず」と決めつけられ、王都で雑役係として働く名目で辺境へ追放される。 孤独と諦めを抱えたまま向かった辺境の村フィルナで、クレアは自分の体調がなぜか安定し、壊れた道具や荒れた土地が彼女の手に触れるだけで少しずつ息を吹き返す“奇妙な変化”に気づく。 そしてある夜、瘴気に満ちた森の奥から呼び寄せられるように、一人で足を踏み入れた彼女は、朽ちた“世界樹の分枝”と出会い、自分が世界樹の血を引く“末裔”であることを知る——。 追放されたはずの少女が、世界を動かす存在へ覚醒する始まりの物語。

本物の聖女じゃないと追放されたので、隣国で竜の巫女をします。私は聖女の上位存在、神巫だったようですがそちらは大丈夫ですか?

今川幸乃
ファンタジー
ネクスタ王国の聖女だったシンシアは突然、バルク王子に「お前は本物の聖女じゃない」と言われ追放されてしまう。 バルクはアリエラという聖女の加護を受けた女を聖女にしたが、シンシアの加護である神巫(かんなぎ)は聖女の上位存在であった。 追放されたシンシアはたまたま隣国エルドラン王国で竜の巫女を探していたハリス王子にその力を見抜かれ、巫女候補として招かれる。そこでシンシアは神巫の力は神や竜など人外の存在の意志をほぼ全て理解するという恐るべきものだということを知るのだった。 シンシアがいなくなったバルクはアリエラとやりたい放題するが、すぐに神の怒りに触れてしまう。

私は聖女(ヒロイン)のおまけ

音無砂月
ファンタジー
ある日突然、異世界に召喚された二人の少女 100年前、異世界に召喚された聖女の手によって魔王を封印し、アルガシュカル国の危機は救われたが100年経った今、再び魔王の封印が解かれかけている。その為に呼ばれた二人の少女 しかし、聖女は一人。聖女と同じ色彩を持つヒナコ・ハヤカワを聖女候補として考えるアルガシュカルだが念のため、ミズキ・カナエも聖女として扱う。内気で何も自分で決められないヒナコを支えながらミズキは何とか元の世界に帰れないか方法を探す。

私の妹は確かに聖女ですけど、私は女神本人ですわよ?

みおな
ファンタジー
 私の妹は、聖女と呼ばれている。  妖精たちから魔法を授けられた者たちと違い、女神から魔法を授けられた者、それが聖女だ。  聖女は一世代にひとりしか現れない。  だから、私の婚約者である第二王子は声高らかに宣言する。 「ここに、ユースティティアとの婚約を破棄し、聖女フロラリアとの婚約を宣言する!」  あらあら。私はかまいませんけど、私が何者かご存知なのかしら? それに妹フロラリアはシスコンですわよ?  この国、滅びないとよろしいわね?  

神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>

ラララキヲ
ファンタジー
 フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。  それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。  彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。  そしてフライアルド聖国の歴史は動く。  『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……  神「プンスコ(`3´)」 !!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!! ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇ちょっと【恋愛】もあるよ! ◇なろうにも上げてます。

追放エンドだと思ったら世界が私を選んだ、元聖女のざまぁ再生記

タマ マコト
ファンタジー
聖女として祈り続け、使い潰された少女セレフィアは、 奇跡が起きなくなった夜に「役立たず」と断じられ、雪の中へ追放され命を落とす。 だがその死を世界が拒否し、彼女は同じ世界の十数年前へと転生する。 エリシア・ノクス=セレスティアとして目覚めた彼女は、 祈らずとも世界に守られる力を得て、 二度と奪われない生を選ぶため、静かに歩き始める。

金喰い虫ですって!? 婚約破棄&追放された用済み聖女は、実は妖精の愛し子でした ~田舎に帰って妖精さんたちと幸せに暮らします~

アトハ
ファンタジー
「貴様はもう用済みだ。『聖女』などという迷信に踊らされて大損だった。どこへでも行くが良い」  突然の宣告で、国外追放。国のため、必死で毎日祈りを捧げたのに、その仕打ちはあんまりでではありませんか!  魔法技術が進んだ今、妖精への祈りという不確かな力を行使する聖女は国にとっての『金喰い虫』とのことですが。 「これから大災厄が来るのにね~」 「ばかな国だね~。自ら聖女様を手放そうなんて~」  妖精の声が聞こえる私は、知っています。  この国には、間もなく前代未聞の災厄が訪れるということを。  もう国のことなんて知りません。  追放したのはそっちです!  故郷に戻ってゆっくりさせてもらいますからね! ※ 他の小説サイト様にも投稿しています

聖女の紋章 転生?少女は女神の加護と前世の知識で無双する わたしは聖女ではありません。公爵令嬢です!

幸之丞
ファンタジー
2023/11/22~11/23  女性向けホットランキング1位 2023/11/24 10:00 ファンタジーランキング1位  ありがとうございます。 「うわ~ 私を捨てないでー!」 声を出して私を捨てようとする父さんに叫ぼうとしました・・・ でも私は意識がはっきりしているけれど、体はまだ、生れて1週間くらいしか経っていないので 「ばぶ ばぶうう ばぶ だああ」 くらいにしか聞こえていないのね? と思っていたけど ササッと 捨てられてしまいました~ 誰か拾って~ 私は、陽菜。数ヶ月前まで、日本で女子高生をしていました。 将来の為に良い大学に入学しようと塾にいっています。 塾の帰り道、車の事故に巻き込まれて、気づいてみたら何故か新しいお母さんのお腹の中。隣には姉妹もいる。そう双子なの。 私達が生まれたその後、私は魔力が少ないから、伯爵の娘として恥ずかしいとかで、捨てられた・・・  ↑ここ冒頭 けれども、公爵家に拾われた。ああ 良かった・・・ そしてこれから私は捨てられないように、前世の記憶を使って知識チートで家族のため、公爵領にする人のために領地を豊かにします。 「この子ちょっとおかしいこと言ってるぞ」 と言われても、必殺 「女神様のお告げです。昨夜夢にでてきました」で大丈夫。 だって私には、愛と豊穣の女神様に愛されている証、聖女の紋章があるのです。 この物語は、魔法と剣の世界で主人公のエルーシアは魔法チートと知識チートで領地を豊かにするためにスライムや古竜と仲良くなって、お力をちょっと借りたりもします。 果たして、エルーシアは捨てられた本当の理由を知ることが出来るのか? さあ! 物語が始まります。