空っぽの私は嘘恋で満たされる

井藤 美樹

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第二の人生のために頑張ります!!

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「それで、どうして、貴女がここにいるのですか!?」

 眉間にしわを寄せたラキさんに、めっちゃ凄まれてます。

 まぁそうなるよね……

 だって、感動的な別れのシーンから一か月後、ラキさんの前に再登場したんだから、何って話になるよね。感動返せや、コラって、私ならなるよ。

「そんなに怒らないでよ。ちゃんと、あの世にったんだから。裁判も受けたよ」

 日本昔話に出てくるものそのものだったよ。罪を犯してなくても、あの容貌ようぼうにらまれれば挙動不審になるよね。マジ、ビビったわ。だけどこれからは、社長にになるんだから慣れないとね。

「それで?」

 ラキさんの視線がグサグサと突き刺さる。

「スカウトされました」

「スカウト?」

「人手不足だから働かないかって。働いてくれたら特典をつけてあげるって、閻魔えんま大王様に言われて……つられちゃいました」

 ははって笑うと、冷たい目でにらまれた。

「特典?」

「今度生まれ変わる時に、蓮君や立木さんたちと関わりが持てるポジションにしてあげるって。あとは、優先的に彼らのお迎えは私がするってことで、手を打ちました」

 現実の話、私の人生経験からじゃあ、次の転生まで時間が掛かるうえに、また苦難が待ってそうなんだよね。それって、普通に回避したいでしょ。

 なら、死んでる今のうちに、人生経験のスキルを上げればいいんじゃかいかな。できるのなら、迷わず上げるわ。

「あ~全く、貴女って人は!!」

 やっぱり怒られちゃったね。でも、呆れも含んでいる。  

 ラキさんはこの仕事を、罪の償いのため、刑罰だって思っている節があるから、その反応になるのかも。罪を犯していない私がする仕事じゃないって思ってる。

 でもそれは違うよ、ラキさん。これもまた、魂の救済なんだよ、私にとってはね。

 ラキさんも心では、この仕事が魂の救済だって思っているはず。素直に認められないだけだって、上司の鬼さんがそう言ってた。見た目と違って優しそうだったよ。

 本当は、いつでも転生ができるまで回復して、魂も浄化されているのに、いつまでもこの仕事を続けてるんだって。無理矢理辞めさせるわけにもいかなくて、鬼さんたちほとほと困ってたよ。

「怒ってもどうにもなりませんよ、ラキさん。これからはラキ先輩って呼んだ方がいいですか?」

 今まで、私はお客様だった。でもこの時点からは、ラキさんは会社の先輩になるの。線引は必要だよね。

「今まで通りでいいですよ」

 めっちゃ渋々だけど認めてくれた。完全な縦社会だね。トップが認めたら、下の者は認めるしかない。日本人の悲しい習性だね。

「なら、いつも通りラキさんって呼びますね」

「先に言っておくが、生半可なまはんかな気持ちでは務まらないからな」

 あれ? 話し方、少し変わった? 

 これが素なら、かなり嬉しいかな。

「は~い。これからも、よろしくお願いいたします、ラキさん」

 私はラキさんに深々と頭を下げた。

 ラキさんとは長い付き合いになりそう。

 実はね、ラキさんには内緒だけど、特典はもう一つあったの。

 それは、今度生まれ変わった時、ラキさんは私の本当の家族になるってこと。これは確約済み。

 親子か兄妹かはわかんないけどね。

 最高だと思わない?

 次の人生で、ラキさんと家族になって、また蓮君と出会って恋をして、亮君や立花ちゃんとまた友だちになるの。弟妹でもいいかな。それで、立木さんがお父さんになってくれたら、最高すぎるよね!!

 夢と希望に溢れた第二の人生――

 その夢を叶えるために、死後ライフ、お仕事頑張ります!! 

 当然、楽しみながら。それが、一番大事だよね。

 取り敢えず、新盆は特別休暇が出るそうだから、その時は皆に会いに行こうかな。勿論、ラキさんも誘って。


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