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1章 入学式編
入学式に出た結果
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「「新入生入場!」」
闘技場に響き渡るアナウンスに従い、500人近い新入生がステージに上がっていく。
ステージを円形で取り囲む閲覧席には在校生と新入生の保護者と思われる大人達が座っていた。
ーあの先輩(仮)に見つからなければいいが、、、
一抹の不安を胸に抱き、顔を隠すようにうつむいたまま新入生の群衆に紛れ込んだ俺は、周囲にいる自分と同じ新入生達を観察していた。
ーさすがマナエルだ。全員が大量の魔力を持っているな。だが、そのほとんどを常に垂れ流してるのはもったいないことだ。その魔力をボンジーのために使えればいいのに。
「「続いて在校生代表の祝辞です。先ほど負傷した生徒会長に代わりまして、副会長のアレス・キール、お願いします。」」
ー先ほど負傷した?ドジな生徒会長もいるもんだな。
アナウンスを聞いて、生徒会長に何かあったのでは、と周囲がざわつき始めたが、
「静粛に」
聴衆の耳元に突き刺さるような冷たくか細い声が不思議と闘技場中に響き渡った。
その声の主は登壇した金髪長身の副会長だった。
「新入生の皆さん、ジンバ王立第三魔法学校高等部への入学おめでとうございます。諸事情により、登壇するはずであった生徒会長に代わりまして副会長のニュクス・キールが祝辞を述べさせて頂きます…」
その神妙な顔立ちとは裏腹に、キールの身体からは目に見えない不気味なオーラが漂っていた。
ーニュクス家か。さすがこの学校の生徒会メンバーならゴッズネームの子息が並ぶよな。
このシンバ王国には魔法使いの名家が存在し、その功績と特徴をなぞらえて神話にでてくる神の名前があてがわれる。それがゴッズネームの家系である。
「ちょっと待ったあああ!!私は十分元気よ!!」
ーげっ!その声は!
キールの言葉を遮って壇上に姿を表したのは、あちこち傷だらけになったあの先輩(仮)であった。
「メアリー会長、お身体はよろしいのですか?」
「当ったり前じゃないの!そんなことより、この私をこんな身体にしたアイツを見つけないと!」
「ほう。高等部新2年生にして校内1位のメアリー会長にケガをさせるような者がこの会場にいるということでしょうか?」
その言葉に闘技場中が再びざわつき始める。
生徒会長は半年に一回に行われる全校魔法競技大会(通称:会長戦)にて優勝した者がその座につくこととなっている。
全校生徒が強制参加で行われるため、学年に関係なく実力が試される場となっている。
メアリーが新2年生ということは、昨年度の会長選で先輩の元会長を押しのけて優勝したのだろう。
ーあの人会長だったのか。。。というより、この状況は非常にまずくないか?!どうしよう、帰りたい。。。
メアリーが会長ということは校内1位の実力があるということであり、そんな実力者を負傷させる人物などそうそういるはずがないのだ。
「私と同じ黒髪で背の高い新入生の男だったわ。」
「新入生なのですか??そんな者がこの中に…」
様々な髪色の新入生がいる中で黒髪はそう多くはなく、さらに長身の男子と言われたら、大分絞られてしまうわけで。。。
「見つけたわっ!!そこの男子!おとなしく前に来なさい!」
目を合わせないよう伏し目がちにキョロキョロしていたナータであったが、新入生の後方に位置していたにもかかわらず、メアリーに見つかってしまった。
ーげっ!魔力を抑えて目立たなくしてたのに!
「フンっ!魔力を抑えて存在を薄めようとしても無駄よ!あんたの魔力はしっかり覚えたんだから!」
ー見抜かれてた、、、、!!しかも、俺の魔力を覚えたってどういうことだ?!
メアリーに指をさされ、会場中の視線が集まり、居たたまれなくなった俺は観念して前の方へと歩き始めた。
「メガネ、あの生徒の名前は?」
「私はメガネじゃありません!書記のエルです!えーーっとですね、あの生徒は…」
メアリーの疑問に壇の下で待機している生徒会メンバーの書記担当プロメテウス・エルが答えようと慌てて光る文字が浮かぶ石板を操作した。
「彼はミソロ・ナータ。ボンジーです。」
「なに?!金髪、もう一度言ってみろ!」
「私の名は金髪ではありません。もう一度言うと、彼は史上初のボンジー出身の新入生です。」
キールの言葉をきっかけに、会場はいっそう騒がしくなった。
「彼、ボンジーらしいわよ?噂には聞いていたけど、本当にいたのね。」
「アイツ、ボンジーらしいぜ。魔法が使えるボンジーなんて聞いたことがねぇ。」
「なんでボンジーが魔法学校にいるんだ?!金でも積んだのか?!」
「けど、会長にケガさせるなんて、、、ありえるの?」
「ボンジーのくせに会長より魔法が使えるなんて気味が悪いわ。」
ー散々な言われようだな。あまり悪目立ちしたくはなかったが、運が悪かったとしか言いようがないな。
「へぇ、あんたボンジーだったのね。」
「先ほどぶりです。メアリー会長とは存じ上げず、無礼を働いたこと、まことに申し訳ございませんでした。」
「うわべだけの謝罪なんていらないわ。それより、私と決闘しましょ?」
「そんなことは決して…、え、決闘?!」
「うん。決闘♡」
この日、入学初日にして新入生ミソロ・ナータは生徒会長アレス・メアリーとの決闘が行われた。
闘技場に響き渡るアナウンスに従い、500人近い新入生がステージに上がっていく。
ステージを円形で取り囲む閲覧席には在校生と新入生の保護者と思われる大人達が座っていた。
ーあの先輩(仮)に見つからなければいいが、、、
一抹の不安を胸に抱き、顔を隠すようにうつむいたまま新入生の群衆に紛れ込んだ俺は、周囲にいる自分と同じ新入生達を観察していた。
ーさすがマナエルだ。全員が大量の魔力を持っているな。だが、そのほとんどを常に垂れ流してるのはもったいないことだ。その魔力をボンジーのために使えればいいのに。
「「続いて在校生代表の祝辞です。先ほど負傷した生徒会長に代わりまして、副会長のアレス・キール、お願いします。」」
ー先ほど負傷した?ドジな生徒会長もいるもんだな。
アナウンスを聞いて、生徒会長に何かあったのでは、と周囲がざわつき始めたが、
「静粛に」
聴衆の耳元に突き刺さるような冷たくか細い声が不思議と闘技場中に響き渡った。
その声の主は登壇した金髪長身の副会長だった。
「新入生の皆さん、ジンバ王立第三魔法学校高等部への入学おめでとうございます。諸事情により、登壇するはずであった生徒会長に代わりまして副会長のニュクス・キールが祝辞を述べさせて頂きます…」
その神妙な顔立ちとは裏腹に、キールの身体からは目に見えない不気味なオーラが漂っていた。
ーニュクス家か。さすがこの学校の生徒会メンバーならゴッズネームの子息が並ぶよな。
このシンバ王国には魔法使いの名家が存在し、その功績と特徴をなぞらえて神話にでてくる神の名前があてがわれる。それがゴッズネームの家系である。
「ちょっと待ったあああ!!私は十分元気よ!!」
ーげっ!その声は!
キールの言葉を遮って壇上に姿を表したのは、あちこち傷だらけになったあの先輩(仮)であった。
「メアリー会長、お身体はよろしいのですか?」
「当ったり前じゃないの!そんなことより、この私をこんな身体にしたアイツを見つけないと!」
「ほう。高等部新2年生にして校内1位のメアリー会長にケガをさせるような者がこの会場にいるということでしょうか?」
その言葉に闘技場中が再びざわつき始める。
生徒会長は半年に一回に行われる全校魔法競技大会(通称:会長戦)にて優勝した者がその座につくこととなっている。
全校生徒が強制参加で行われるため、学年に関係なく実力が試される場となっている。
メアリーが新2年生ということは、昨年度の会長選で先輩の元会長を押しのけて優勝したのだろう。
ーあの人会長だったのか。。。というより、この状況は非常にまずくないか?!どうしよう、帰りたい。。。
メアリーが会長ということは校内1位の実力があるということであり、そんな実力者を負傷させる人物などそうそういるはずがないのだ。
「私と同じ黒髪で背の高い新入生の男だったわ。」
「新入生なのですか??そんな者がこの中に…」
様々な髪色の新入生がいる中で黒髪はそう多くはなく、さらに長身の男子と言われたら、大分絞られてしまうわけで。。。
「見つけたわっ!!そこの男子!おとなしく前に来なさい!」
目を合わせないよう伏し目がちにキョロキョロしていたナータであったが、新入生の後方に位置していたにもかかわらず、メアリーに見つかってしまった。
ーげっ!魔力を抑えて目立たなくしてたのに!
「フンっ!魔力を抑えて存在を薄めようとしても無駄よ!あんたの魔力はしっかり覚えたんだから!」
ー見抜かれてた、、、、!!しかも、俺の魔力を覚えたってどういうことだ?!
メアリーに指をさされ、会場中の視線が集まり、居たたまれなくなった俺は観念して前の方へと歩き始めた。
「メガネ、あの生徒の名前は?」
「私はメガネじゃありません!書記のエルです!えーーっとですね、あの生徒は…」
メアリーの疑問に壇の下で待機している生徒会メンバーの書記担当プロメテウス・エルが答えようと慌てて光る文字が浮かぶ石板を操作した。
「彼はミソロ・ナータ。ボンジーです。」
「なに?!金髪、もう一度言ってみろ!」
「私の名は金髪ではありません。もう一度言うと、彼は史上初のボンジー出身の新入生です。」
キールの言葉をきっかけに、会場はいっそう騒がしくなった。
「彼、ボンジーらしいわよ?噂には聞いていたけど、本当にいたのね。」
「アイツ、ボンジーらしいぜ。魔法が使えるボンジーなんて聞いたことがねぇ。」
「なんでボンジーが魔法学校にいるんだ?!金でも積んだのか?!」
「けど、会長にケガさせるなんて、、、ありえるの?」
「ボンジーのくせに会長より魔法が使えるなんて気味が悪いわ。」
ー散々な言われようだな。あまり悪目立ちしたくはなかったが、運が悪かったとしか言いようがないな。
「へぇ、あんたボンジーだったのね。」
「先ほどぶりです。メアリー会長とは存じ上げず、無礼を働いたこと、まことに申し訳ございませんでした。」
「うわべだけの謝罪なんていらないわ。それより、私と決闘しましょ?」
「そんなことは決して…、え、決闘?!」
「うん。決闘♡」
この日、入学初日にして新入生ミソロ・ナータは生徒会長アレス・メアリーとの決闘が行われた。
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