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第二章
⑥※
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車に乗ってエンジンをかけると、ほっとした。
早く車を出そうとハンドルを握ろうとしたとき、右腕に痛みが走った。
「痛っ……」
「どうした」
「あーいや、さっき打ったの忘れてて」
相当激しく机がぶつかったようで、追いかけられているときは感じなかった痛みが今になって押し寄せてきている。
「運転変わるか」
「無理だろ。高速走るんだから」
「アクセルを踏めば走るのだから簡単だろう」
「……お前、絶対一人で車運転するなよ」
怪しげな車がついてくるようなこともなく、快の運転する車は無事に高速道路へたどり着いた。
等間隔で道路を照らすオレンジの照明が足早に通り過ぎていく。
「俺がずっと感じてた妙な気配って、もしかしてあいつだったりするのかな」
悠利は暗い窓にぽつぽつと浮かぶ町の明かりを見つめていた。
「そういえば俺を狙っている人間の気配だと思っていたと言っていたな」
レイナとミユウの送り迎えをするとき以外でも気配を感じることがあった。だから、悠利を狙っている人物がうろついていてその気配ではないかと思っていた。
「悠利が見かけた怪しい男ってのはあいつか?」
「さあ。はっきり見たわけではないからな。だがもしあの男だとするなら厄介だ」
ユキムラに、悠利の今の居場所を知られているということになる。
今までもなるべく彼と一緒に行動するようにしていたが、より一層気をつけるようにしたほうがよさそうだ。
口元を軽く手で隠して、悠利がめずらしく欠伸をした。
「眠いなら寝てろよ。まだ着くまでに時間あるし」
「いい」
「なんでだよ。疲れてんだろ。今のうちに寝とけって」
返事はなかった。
意地を張っているのかと助手席の様子を見ると、悠利は少し首を下へ傾けて目を閉じていた。
やっぱり疲れていたんだなと、快は彼らしからぬその無防備な寝顔にふと笑みをこぼした。
だけど思い出したのは、ユキムラが言っていた言葉。
力を使うと寿命が縮む。
その話を悠利は知っていたのに力を使っていた。それはいつだって快を守るためだったような気がして。
ぐっと、快はきつくハンドルを握りしめた。
右腕に走る痛みなんてもうどうでもよかった。
悠利の寿命が縮むなんて、たとえ噂でも冗談じゃない。
強くなるためにはと、そんなことばかりが頭の中を巡っていた。
彼に二度と力を使わせないために。
この先何があっても守り抜くために。
早く車を出そうとハンドルを握ろうとしたとき、右腕に痛みが走った。
「痛っ……」
「どうした」
「あーいや、さっき打ったの忘れてて」
相当激しく机がぶつかったようで、追いかけられているときは感じなかった痛みが今になって押し寄せてきている。
「運転変わるか」
「無理だろ。高速走るんだから」
「アクセルを踏めば走るのだから簡単だろう」
「……お前、絶対一人で車運転するなよ」
怪しげな車がついてくるようなこともなく、快の運転する車は無事に高速道路へたどり着いた。
等間隔で道路を照らすオレンジの照明が足早に通り過ぎていく。
「俺がずっと感じてた妙な気配って、もしかしてあいつだったりするのかな」
悠利は暗い窓にぽつぽつと浮かぶ町の明かりを見つめていた。
「そういえば俺を狙っている人間の気配だと思っていたと言っていたな」
レイナとミユウの送り迎えをするとき以外でも気配を感じることがあった。だから、悠利を狙っている人物がうろついていてその気配ではないかと思っていた。
「悠利が見かけた怪しい男ってのはあいつか?」
「さあ。はっきり見たわけではないからな。だがもしあの男だとするなら厄介だ」
ユキムラに、悠利の今の居場所を知られているということになる。
今までもなるべく彼と一緒に行動するようにしていたが、より一層気をつけるようにしたほうがよさそうだ。
口元を軽く手で隠して、悠利がめずらしく欠伸をした。
「眠いなら寝てろよ。まだ着くまでに時間あるし」
「いい」
「なんでだよ。疲れてんだろ。今のうちに寝とけって」
返事はなかった。
意地を張っているのかと助手席の様子を見ると、悠利は少し首を下へ傾けて目を閉じていた。
やっぱり疲れていたんだなと、快は彼らしからぬその無防備な寝顔にふと笑みをこぼした。
だけど思い出したのは、ユキムラが言っていた言葉。
力を使うと寿命が縮む。
その話を悠利は知っていたのに力を使っていた。それはいつだって快を守るためだったような気がして。
ぐっと、快はきつくハンドルを握りしめた。
右腕に走る痛みなんてもうどうでもよかった。
悠利の寿命が縮むなんて、たとえ噂でも冗談じゃない。
強くなるためにはと、そんなことばかりが頭の中を巡っていた。
彼に二度と力を使わせないために。
この先何があっても守り抜くために。
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