異世界で大切なモノを見つけました【完結】

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目が覚めたら真っ白いドーム型の天井が見えた 


何かいい匂いもする


まるで海外の教会のようだ…って俺は何をしてたんだっけ?

学校の帰りに綺麗な黒猫が横切ったのは覚えてる

けどそれだけだ


自宅に帰った記憶もない

どうなってんだ??


「成功です!」

「賢者が現れたぞ!!」

「神話は本当だったんだな!」



………え?


起き上がり周りを見ると、中世ヨーロッパの人達が着ていたような服を着てケモミミと尻尾をつけた青年4人とおじさん4人、神父みたいな格好をした爺さんが1人俺を見ている


誰だこいつら?

コスプレ集団??

ケモミミに尻尾って…ちょっと……いや、大いにドン引きなんですけど!!


「賢者様、私の言葉はわかりますか?」


爺さんが話しかけてきた


賢者って…俺のこと?


一応頷いておく


え?どういう設定?


いや、何故に俺がコスプレ集団に巻き込まれてんの??


「それはようございました。今は、何が起こったのか理解できないでしょう。詳しく話す者を紹介致しますのでこちらへどうぞ」


優しげな笑みを見せた爺さんの言う通りに着いていくと、やはり俺がいた所は教会のようだ


十字架らしきものは見当たらないが…


さっき居たコスプレ集団を置いて足早に進む爺さんに小走りについて行く


連れてこられたのはでっかい洋館…いや、これって城だよな…?

日本にこんな立派な城あったっけ?

俺の住んでる街には絶対無い

マジでここ何処なんだよ…詳しく話す者って誰だよ?

爺さんが説明してくれてもいいんじゃねーの?


もう頭の中が?だらけだ…



城の中に入り、階段を登りどんどん奥へと入っていく


でっかい綺麗な装飾が施された大きな扉を爺さんが開けると中に入るよう言われた


中に入ると、まるでホテルのスイートルームだった


小さなシャンデリアにソファーにローテーブル、壁には天井まである本棚に、映画に出てきそうなお洒落な暖炉がある
その奥にグランドピアノが鎮座しその向こうは大きな窓があった

外が良く見えるんだが、俺の知っている日本の風景とは全く違っている

どういう事だ………


ソファーに座らされ、しばらくお待ち下さいと言って爺さんが出ていった


俺一人を残して………



暫く大人しくソファーに座っていたが、待てども誰も来ない


廊下に出てみようと扉を開けようとしたけど、鍵がかかっているのか開かなかった


……これって監禁された??


……怖い事考えないで、まずは部屋を探検しよう、うん、それがいい

俺は現実逃避した


部屋は豪華絢爛


ベッドルームにはキングサイズのベッドにウォークインクローゼット、ソファーが二脚と小さなテーブル、腰ほどの高さの本棚に本棚の上にはグラスを入れた食器棚があり、ドレッサーに小さなバーカウンターのような物に、ここにも暖炉があった


そしてベッドルームから直接バスルームへ行く事ができる造りになっていた


大きな湯船にシャワー

脱衣所には藤椅子のように何かで編まれたリクライニングチェアのようなものが二脚あり、洗面台も広く綺麗に整えられてある

脱衣場とバスルームの境目はすりガラスで仕切られなかなかお洒落である



「…旅行で泊まるならこんな感じのホテルに泊まりたいな。何十万もしそうだけど…」


ブツブツ言いながら他の部屋も見て回った


アイランドキッチンに6人掛けのダイニングテーブル

トイレにまたもやバスルームとクイーンサイズのベッドがある部屋

こっちはさっきのベッドルームと違ってベッドと本棚と暖炉、暖炉の前にフカフカなロッキングチェアと小さなテーブルのみだった


ちょい待て、コスプレ大会にしては何かおかしくないか?

テレビのドッキリか?

いや、一般人にドッキリ仕掛けても楽しくないだろ


それに、さっきからこのスイートルームらしき部屋に違和感を覚えていたんだよな


そう、どこを見ても電化製品がない


照明はこれまた豪華なキャンドルが鎮座してるし、テレビもないし電話もない

時計さえ何処にもない



目が覚めたら知らない場所で、知らないコスプレしてケモミミと尻尾をつけた男達に賢者とか呼ばれた

何の説明もなしに部屋に放り込まれた


………いや、まさかな?

巷で流行ってる異世界へGo的なやつじゃないよな?

だってあれは、漫画だし…小説だし………フィクションなんだから

現実に起こるなんてありえねーよ…



部屋を全部見てしまった俺は大人しく元いたソファーへ体を沈めた


もうヤダ…誰でも良いから早く来て状況を説明してくれよ………





コンコンコンコンーーーーーーーーー



『失礼いたします』



少し高めの声がして、さっきは開かなかった扉が開いた


「……………………」


女…?………いや、男か………?

中性的な顔をした黒い耳を頭につけ、まるで猫のような尻尾をピンと立てた綺麗な人間が入ってきた


女でも男でも、綺麗な奴のコスプレは目の保養になるもんだな……



「始めまして、僕の名前はユーリ=カイン=メラトスと申します。18歳です。貴方のお名前をお伺いできますか?」


優しげな笑みを浮かべ、押してきたカートからコーヒーカップやらお菓子やらを取り出しテーブルへ並べ始める


「あ……えっと……望月爽です、俺も18歳です。」


「ソウ様ですね。同い年なんですね、敬語なんて使わずに楽にお話してください。
これから、ソウ様に何が起こったのかお話しさせて頂きます。良ければ一緒にお茶とお菓子を摘みながらお話させて頂こうかと思うんですが、よろしいですか?」



「えっと…はい、…うん。なぁ、あんたも普通に話してくんねぇ?」


改められて話されるのは得意じゃない


「……わかった。二人の時はそうするね?ただ口癖みたいなものだから慣れるまでは許して?」


ふふっと笑った顔はなかなか可愛らしかった



ってそうじゃなーい!!

お菓子を摘みながら聞いた話によれば、やはりココは異世界だった


200年に一度魔王みたいな奴が復活するから、勇者達とソイツを倒すのが俺が呼ばれた理由だそうだ


召喚された異世界の人は賢者と呼ばれ、この世界にない知識を駆使し、勇者達を勝利に導くのだとか


ちなみに、ケモミミと尻尾は本物でした………


カイン(そう呼べと言われた)は黒豹らしく、獣化する事もできるとか

何の動物で産まれるかは個人によるらしく、親とは全く違う種類なんて普通らしい

遺伝はどうなった?と思っていたら、この世界の結婚事情や出産の仕方を聞いて倒れそうになった


女の人そんなに少ないの!?
基本同性婚じゃん!!

運命の番!?
異世界+獣人設定小説で定番のあれですか!!

ん?ちょっと違う??
匂いは運命の番しか嗅ぎ取れないのか
他の人にとってはただの体臭程度なのね、なるほど


にしても、本当に異世界に来ちゃったんだなぁ……魔法まであるとか……



………あれ?確か小説とかだと、主人公って大体が元の世界に戻れないよな??


「カイン……もしかしてさ………俺って…………」


カインは俺が最後まで話す前に、悲しげな表情でコクンと頷いた


察す能力高すぎだよカイン!!

マジかよ!!

俺、帰れないの!?


「ソウ様、召喚の力は神から与えられましたが、召喚した者を元の世界に帰す力は与えられませんでした。
歴代の大魔術師達が研究を重ねましたが、未だ方法がわかりません。
突然召喚され、二度と元の世界に戻れない貴方に、この世界の人間は黒の王を倒す為に協力しろと言っているのです。
僕個人としては、ソウ様が協力したくなければしなくて良いと思います。」


「……え?」


「もし僕がソウ様の立場なら、召喚された後何の説明もなしに部屋に放り込まれ、召喚した者達は我関せずで未だに姿を見せない。そんな者達を信用などできません。
誠意の一つも見せない者達に何故協力しなければならないのか。僕には理解できませんから。」



えー…カインってこの世界の、この国の子だよな?
召喚したあの9人の事ディスってねーか?
良いのか、それって…


顔に出てたのか、カインに笑われた


「僕もね、ソウ様への説明と今後のお世話を任されたのがついさっきなんですよ。ソウ様が召喚されて部屋に放り込まれた後です。
自宅で片付けをしていたら、城から使いが来て城に連行されたんです。伝説の賢者を召喚したから世話しろって言われて、何の準備もなく今ここに居るんですよ。
けど僕はこの国の人間だから王命には従います。でも貴方は違う。
王命だろうが、神様からの命令だろうが従う理由はない。」




「まぁ、確かにな。城に急に呼ばれたってカインって何者なわけ?」



「僕は公爵家の次男で、現在この国の第二王子の婚約者という立場にいます」



王子の婚約者ー!!!


「マジで!?じゃあその王子と運命の番ってこと!?」


「違います」


はい、バッサリ切られた


「違うの?じゃあ何で婚約??この世界って30歳以上じゃないと政略結婚ダメなんだろ?」


「王子の我儘です。僕に子供の頃一目惚れしたらしく、勝手に婚約者にされました。王は僕か王子に運命の番が見つかれば婚約は解消すると契約しましたが、運命の番を探しに行く事さえ阻まれているので、僕の運命の番は見つかる事はないでしょう」



悲しみとは違った、ただただ諦めたような微笑を浮かべるカインに胸が苦しくなった


「何だよそれ!!勝手すぎるじゃねーか!!運命の番ってそうそう出会えないから皆社交会に参加したり他国に旅に出たりするんだろ!?それを阻むなんて、そんな身勝手な事を神様は許してるのか!?」


俺が怒ると、カインは驚いた顔をする


「…天罰が下ってないので、神は許しているんじゃないでしょうか?今はもう少子化ではありませんし人口も多いので、その中の一人が愛のない結婚をしようが神にとってはどうでもいい事でしょう。」



何だそれ!国のトップ達がクソなら神もクソじゃないか!!


異世界人の扱いもクソだけど自国民にまで権力で縛りつけるなんて許せない!


「…なぁ、異世界人に神の加護がついてんだよな?それってどんなものなの?」


さっきカインから色々と説明を受けた

順をおって細かく、でもわかりやすく教えてくれた



「加護は、魔法が使える様になることです。記録では、魔法という言葉自体を知らなかった異世界人がいました。その方に魔法を教えてはみましたが、生活に必要な程度しか魔法が使えませんでした。
魔法ではなく、魔法に似た能力を持つ世界から来られた異世界人は、我々では使えない魔法が使えました。
これは僕の憶測になりますが、神から与えられた魔法は、個人の理解によって発揮され、使える力が違うのではないでしょうか。
例えば…」



カインが手を広げ『水』と言うと手の上に水球が現れた


球体がくるくる回ったと思ったら球体が形を変えて氷の豹になった



「すげー!!」



思わず拍手を贈るとカインははにかんだ


「この世界では呪文を唱えて魔法を発動させます。無唱詠唱ができる者はこの世界ではただ一人、この国の第1王子のみだと言われています。」


「でも今の、水を出す時は唱えたけど氷にする時は何も唱えなかったよな?カインは違うのか?」


「確かに僕も唱えずに魔法が使えますが、その事を知る者はおりません。無唱詠唱が出来るようになって初めて人前でしました。」



「え?カインのそれ、他の人に知られちゃ不味い感じ?」



「そうですね。異世界人以外で無唱詠唱ができるという事は、魔力が膨大である事が条件です。
もし僕の魔力量を知られてしまえば、国に良いように利用される可能性が大いにあるので内緒にしてます」



「なるほどな。って事は、ここの第1王子も魔力量が膨大なんだ?なのに何で魔王討伐メンバーにはいってないんだ?魔術師は第1王子がなるべきじゃないのか?」



カインを除いて世界一の魔力量がある第1王子を差し置いて他の奴が魔術師として同行する意味がわからん



「あぁ、教えてなかったですね。4国の始まりをお話しした時に言いましたよね?白の国は勇者、赤の国は魔術師、青の国は騎士、緑の国は治癒師が建国しました。
その為、200年に一度選ばれる勇者達は、勇者は白の国から魔術師は赤の国からといったように国によって選ばれる役職が決まっているのです。
その国の最も力のある者が選ばれるので、この白の国に世界一の魔術を持つ者がいても選ばれないんです。」




「はぁー?本当に討伐する気あるわけ??パフォーマンスじゃないんだから実力ある奴を選ぶもんでしょう、普通は。」



「ええ、僕もそう思います。実際魔法が不得意だった賢者の代で、緑の国一番の治療者が討伐に参加しました。しかし、黒の王との戦いは接戦、賢者は自身では身を守れず大怪我を負いました。
本来なら治療者が治さなければいけなかったのですが、力が足りず勇者が治癒を施したと記録に残っています」



「最悪じゃんそれ……今回の討伐メンバーは世界レベルで言うとどんくらいかわかる……?実際のベストメンバーとの差を知りたい……」



すっげぇ不安になってきた


最高のメンバーで挑むわけじゃないとか……魔王ってメチャクチャ強いんだろ?
1対5で接戦になるとか、下手したらこっちが負けるじゃねーかよ………



「お調べする事はできますよ。少々お待ち下さいね。」



カインが再び手を前にかざすとゲームのステータス画面のような物が4つ現れた

こちらからは水色の長方形の物が並んでるようにしか見えないのだが、多分何かしらの情報が書かれているのだろう


まるでスマホの画面を使ってるような手の動きに違和感が無さすぎて逆に違和感がうまれる


「調べ終わりました。私のように隠してる人が居ないという前提ですが、実際のベストメンバーは勇者と魔術師は白の国の第1王子騎士は青の国の第2王子、治癒師は緑の国の一般人のデュアという少年ですね。今回集まってるメンバーは、勇者が白の国の第2王子でレベルは中の上、魔術師は赤の国の魔術師がレベル上の下、騎士は青の国の第二王子でベストメンバーの方なので上の上、治癒師は緑の国の国王専属治癒師で中の上です。」



「…因みにベストメンバーのレベルは?」


「全員上の上、各分野の世界一のレベルです。」



「………今のメンバーで討伐とか本当に大丈夫なわけ??俺死んだりしない…?」


ベストメンバーと違いすぎて怖いんですけど!
騎士だけじゃん!ベストメンバー入りしてるのって!!


「残念ながら、お伽噺ではないので怪我をしたり死ぬこともあるかと思います。」


申し訳なさ気な顔で言われても…………


「俺…賢者辞退出来る?」


「辞退されるのでしたら……元黒の国へ渡り魔法を使わずに生活するしかないですね。その前に追手から逃げるだけの力を手に入れないと逃げる事すらできないですね。」




元黒の国か

神の天罰によって魔法を奪われて普通の人間になったんだよな


「その元黒の国って今はどうなってんの?」


「6国に分かれ、それぞれ特徴のある国々になっています。我々4国とも関係は良好ですね。
見た目はソウ様の様に耳も尻尾もありません。紛れるには十分な所です。
国の立地によって特産品が違い、その特産品を主に他国へ輸出しています。
海に面していていて漁に出れる国は2国で、捕れる魚類が異なるので、どちらかが損をすることもありません。
鉱山地帯には2国あり、1国は宝石や金が取れ、もう1国は銀や銅などが採れる為、加工する職人が多く居ます。残りの2国は染め物の技術や細かい装飾を作る技術に特化していて各国がオーダーメイドをしたりしています。」



「へぇ…ちゃんと国によって役割が別れてるんだ。」



「はい。我々4国は6国からそういった物を輸入します。こちら側からは、物に魔法を付与し特定のキーワードを入力すると動かせる生活用品を輸出したり、医者を派遣したり、土木関係はこちらでさせてもらってます。
あとは魔獣討伐もこちらの人間を派遣してますね。彼らには魔法が無いので魔獣を討伐できないんですよ」



「持ちつ持たれつか。んー…俺に何ができるかわかんないけど、一応その6国のどれかに逃げる事を前提としてここで過ごしてみようかな…」



「わかりました。では僕はソウ様が逃げるのに役立つ事をお教えしていきますね。」



カインはニコッと笑い手を出してきた


俺はその手をギュッと握り握手する



「よろしくな」


「こちらこそ。僕は今日から隣の部屋で生活しますので気になる事や悩みが出た時などいつでも来てくださいね」


「わかった。あー…そういえばさ、俺ってこの部屋からは出ちゃいけない感じ?」



カインはポカンとした顔で首を傾げた


「いや、カインが来る前に扉を開けようとしたけど開かなかったから…」



「ああ!魔法の国なので、皆常に体内に魔力を巡らせてるんです。その魔力がないと扉も開けれないし、トイレやお風呂の水も出せないんでした。
すみません、こちらでは当たり前のことだったのですっかり忘れてました…」



なーるほど

あれか、Iパッドとか使う時に鉛筆とかじゃタッチしても無反応だけど手でやると反応する原理と一緒か


「じゃあ俺何もできない…?」


それは困る!

トイレ行って流すのにカイン呼ぶとか無いわ!無さすぎるわ!



「そんな顔しないでください、大丈夫ですよ」


どんな顔をしていたかはわからないが、カインは面白そうに笑う



「ソウ様にはちゃんと魔力があるので、循環の仕方をお教えしますね。ところで、ソウ様は魔法についてどのように理解されてますか?」



「理解…俺の世界では物語とかに出てくる架空のものだったんだ。誰も実際は使えない。だから想像の物なんだよなぁ…」



「なるほど……ではまず魔力を感じてみましょう。ちょっと後ろから抱きしめていいですか?」


「えぇ!?」



「心臓に私の魔力を少し流します。血液の流れに乗るはずなので、もし魔力の位置がわかれば、その魔力に意識を集中して追いかけてみてください」


「あぁ……そういう意味ね」


カインが雄々しい感じなら変な意味に取らないけど、綺麗で笑うと可愛い顔だから変にドギマギしてしまった…


俺達は立ち上がり隣に立つ


「………あんまり身長変わらないんですね」


「…それは思ってたより小さいって言いたいのかな?それだとカインもチビって事になるけど?」


「…背の話は辞めときましょう」


「うん、傷のえぐり合いは良くないな」


お互いに170cm無いことは気にしてたようだ


「では始めますね」



後ろから抱き締められる形で胸に手を置かれると、ポワっと温かい物が身体の中に入ってくるのがわかった


その温かいのはゆっくりと移動する


…これが魔力?


言われた通りに温かいものに集中して追いかけると徐々にスピードが上がっていく


なんか、めっちゃ寒い日に外で熱い缶コーヒーを飲んだ時に似てるかも


コーヒーが食道を通って胃に行くのがわかるあれ


「ソウ様、魔力がわかりますか?」


「多分。暖かな塊が移動してる」


「ではその塊が手に集まる様にイメージしてください」


手に集まる………右手を見ながら集中すると、右手に塊が留まっていく


「あそこにあるキャンドルをその右手で灯すイメージをしてください」


言われた通り、右手の掌をキャンドルへ向けキャンドルが灯るイメージをした



ボッ



「……ついた」



掌にはまだ塊が残ってはいるが、キャンドルに火が灯った


「今のはソウ様が魔法で灯したんですよ。まだ掌に魔力が残ってますね?雲散するイメージを右手に。」


霧が晴れるようなイメージを右手にすると、魔力の塊が消えた



「とてもお上手でした。魔力も多いようですし、練習すれば使いこなせると思います。」



「でも、今の魔力はカインのものだろ?」


「いいえ、僕は自分の魔力を心臓へ送り、通り道を示した後直ぐに回収しました。体を巡ったのはソウ様自身の魔力ですよ」


「マジか………騙された…」


脱力してその場に座り込む俺を除き込みカインはしてやったり顔で笑った


「僕の魔力に引っ張られてソウ様の魔力が発現したんです。一種のショック療法です。ほら、感覚を忘れない内にもう一度やりましょう」




カインは意外とスパルタだった


でもそのおかげで、火を灯したり水を出したり、水を温めたりなど、生活に必要な魔法は使える様になった


流石に疲れた俺は、カインが夕食を持ってくるまで休むことにした






あー………数時間の内に色々あり過ぎた……………マジで異世界に召喚されるとか…二度と自分の世界に帰れないとか………でもこんな状況なのに落ち着いてるのはカインのおかげだな
もしカインがこの世界を擁護して、召喚されたから賢者にならないといけないとか言われてたらこんなに落ち着いていられなかった



カインも好きでもない奴と婚約させられて、どうにかできねーのかな…


俺がこの国を出る時、一緒に逃げようと言ったら彼はどうするだろうか…



そんなことを考えながら俺はいつの間にか眠っていた







    
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