異世界で大切なモノを見つけました【完結】

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あー…びっくりした

まさか結界をこの2人が本当に壊すとは思わなかった


レイドに抱っこされ空中に逃げて初めて、全部がこの2人の計画だったと気づいた


先に教えといて欲しかった……


レイドに笑われてムカついたので耳を引っ張って抗議してやった


けどレイドはクスクス笑って全くダメージを負っていない

くそぉ……


「ごめんね?」


小首を傾げてからおでこにチューされた



なんとあざと可愛い……


この可愛さに結局許しちゃうんだよなぁ……





「さぁ、私達の結婚式に行きましょうか?」



見惚れるような笑顔に頷くと、レイドはモアに合図した


カインもモアに抱っこされていてすでに少し疲れた顔をしていた


カインも本当に知らされて無かったんだな…



大きな歓声と拍手に迎えられ地上に降りると神官長がかけてきた


「では神殿へ参りましょう」


「「はい」」



参列者の人達は、神官たちに誘導されて先に中に入っていく


カインとモアも俺達に手を振って先に入っていった



皆が中に入るのを見届けると神官長が振り返った


「さて、式は打ち合わせ通り進行します。よろしくお願いします」


「「よろしくお願いします」」


式は白の国と同じで、神官長が神に報告する感じだ

俺達はそのまま祈りを捧げて子供の種を貰って終了だ


この式が終わったら正式に夫夫になる


俺は一応王族で王子妃ではあるが、レイドは王になる事はないし既に騎士団の総監なので王子妃の仕事はない

その代り異世界人としていろいろな知識を世界各国に広めなくてはいけない

青の国だけに情報を流すと他国から不満が上がる

不満が貯まれば争いの種になってしまう

だから俺の知っている情報は開示していく


と言っても、異世界の知識はこの世界の人には難しいらしく、1から10まで噛み砕いて説明しなくてはいけなくて正直俺やカインの説明についてこれるのは、青の国の研究者と白の国の宰相アレンさんだけだった


アレンさんは宰相になる前は教鞭をふるっていたらしい

そんな人が宰相まで最年少で上り詰めたのはこの頭脳が故だろう


そこら辺の研究者より頭がいい



「では入場です」



神殿の扉が神官によって開かれる


神官長が居る祭壇までレイドのエスコートを受けむかう


マントが長いため足に絡まりこけそうで怖い




なんとかこける事無く神官長の所までたどり着いた



「フェラーリ神よ。本日この若い2人が将来を誓い合いました。どんな困難な時も、幸福な時も彼等が共に歩み、お互いを尊敬しあい魂が離れるその時までどうかこの2人をお守りください」



神官長が神へ祈りを捧げると、神殿の中が光に包まれた



「久しいな、皆の者」


現れたのはフェラーリ神だ


カイン達の結婚式に出席していた者も多く、この前ほどざわついてはいない

その代りに手を合わせフェラーリ神を見ている者が多い




「レイド=ラウ=フェイザー、ソウ=モチヅキ。お前達の望みを聞きにきた。」


フェラーリ神はそう言って俺達の目の前に降り立った


「さあ、望みはなんだ?」


フェラーリ神はジッと俺を見る


「……俺の望みは……この世界の人達の様に、子供を産める体にしてほしい。」



「ほう……」



俺の言葉に、「え?」「どう言う事だ??」と囁きが聞こえる



「異世界人に魔力があるのは、実際召喚される時に付属されるものなんだろう?エデン神が居なくても俺が魔法を使えるのはそのせいだ。」



「その通りだよ。異世界の者はこの世界に適応する為に魔法は絶対必要だから、召喚と同時に与えられる。」


フェラーリ神はそう言って頷く



「でも……体は俺の世界に居た時のままなんだと思う。
この前異世界人取扱い説明書を読んだけど、アメリカから召喚された人と比べても体力も身体能力も差がありすぎる。
元の世界のままの身体なら俺は子供を産む事が出来ない。」



「……ソウの言うとおりだ。ソウの身体は日本に居た時のままだ。
ソウをこの世界に適した体にする事は可能だ。
だが知っておいて欲しい事がある。
この世界の平均寿命は150歳で、ソウの世界より長い。
今なら元の世界に帰してやる事もできるが……」



「いらない。俺はこの世界でレイドと生きていくって決めたんだ。」


キッパリとそう言うと、レイドが隣で嬉しそうに微笑む


「……そうか…向こうの世界に未練はないか?」


フェラーリ神は心配げな顔で尋ねる


「…未練って言うより、気にはなるよ。俺が居なくなった日の後、あの人達がどうなったのか。」


そりゃそうだろう

あの人達の幸せなんて祈ってないし、なんなら不幸になれとか思っちゃってるけど


未練なんてあるはずがない



「そうか。ではソウの望みを叶えよう。この世界に適した身体と寿命を。」


フェラーリ神が俺の頭上に手を掲げると、全身が暖かい光に包まれた


光に包まれたのは数十秒程度だった



「さぁ、これで他の者の様に子供を産む事が可能だ。」


子供が産める……

レイドの子供を……


「ありがとうございます」


愛する人の子供が産めるってこんなに幸せな事なのか…


元の世界に居てたらこんな幸せ知る事ができなかったんだな


つい子宮になるであろう下っ腹を撫でてしまう



「さぁ、次はレイド、そなたの望みを聞こう」



レイドは真剣な目でフェラーリ神を見やる


フェラーリ神もそのレイドの目に何か感じ取ったのか顔が少しこわばった



「フェラーリ神1度私とソウを、ソウの故郷に行かせてください。」



「え…??」


俺の故郷って……日本にってことか?


フェラーリ神は難しい顔をする


「…何のためにソウの故郷へ行きたいと申す?先ほど、ソウは未練はないと言っていたが?」


「ソウがこれから先、故郷を思い返すことの無い様に。未練があろうとなかろうと、ソウの心に私以外の者を住まわしておきたくなのです」



いやいや…別にあの人達は俺の心に住んでるわけじゃないぞ?



「フム……獣人の番特有の独占欲か………少し待ちなさい」



フェラーリ神はそう言って天をあおぐ


この前も同じことをしていたけど、きっと他の神様と交信でもしているんだろうな


「レイド、ソウ。2人をソウの故郷へ1日だけ戻そう。
しかし、あちらでは時間の進み方が違い、すでにソウが失踪して1年が経過している。
突然ソウがレイドと現れては問題が生じる故、向こうの者達からは見えないようにさせてもらう。
それでもよいか?」


レイドは俺を見て返事を待っている


「…俺は構わない。あの人達と話したいとは思ってないし」


「そうか。ではこれから故郷へ戻そう。身体はこの世界に残し、中だけ故郷へ向かってもらう。」



……幽体離脱的なやつ?



「青の王、神官長よ。この2人の魂が戻るまで決して2人の身体を神殿から出してはならぬ。もし出してしまったら、魂は二度と身体に戻ることなく2人は目覚めない。」



フェラーリ神からそんな事を言われた2人は顔を青くする



「それなら中と外に強力な結界を私とユーリが張りましょう。」


カインを伴ってモアがこちらに来た


「助かる。お前達なら安心だ。」


「気を付けて行って来い」


オルガが軽くレイドの方を叩いた


「ありがとう」


レイドはニッコリ笑う



「ソウ、無理はしない事。お前の帰る場所はここだからな。」


真剣な目で俺を見るカインに頷く



「俺、カインの父さん達も見てきたいんだ。見れるかはわかんないけど…」


「ソウ……」


俺と違って、音矢の家族はとても仲が良かった


父親と母親は何とか命を取り留めたらしいから、カインだって会いたいはずなんだ


前世の記憶が…幸せな時の記憶があるんだから


「さぁ、2人共ここに横になり、身体をできるだけ引っ付けて目を瞑りなさい」


結婚式の参列者に見守られながら、俺達は寝る時のようにレイドに腕枕をしてもらって、足を絡めお互いギュッと抱きしめた


「では行くぞ、向こうでは基本的に魔法は使えないと思っておきなさい」



グンっと何かに引っ張られる感覚


あ…この感覚は召喚された時と同じ感じだ



どんどん引っ張られ、まるで大きな落とし穴に背中からダイブしているみたいだ



真っ暗の中を落ちていく


怖いはずなのに平気なのはレインが強めに抱きしめてくれてるからだろうか

番の匂いも俺を安心させてくれる要因なのだろう



落下速度が遅くなってきた



真っ暗だった空間も少しずつ明るくなってきて、レイドの顔も見えてきた


目が合うとフッと微笑まれる


あぁ…かっこいなぁ……男同士でも見惚れる笑顔ってずるくないか?




そんな事を考えていると視界が開けた



俺達が降りたったのは俺が住んでいた部屋だった






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