放置令嬢 選択スキルでスローライフ満喫します 聖女をお探しのようですが私は関係ありません

しろこねこ

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13 たたきつける令嬢

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「ひえーっ!」

どさどさどさっと死体を片付けていた袋の上に何十匹、もしかしたら何百匹ものしろねずみがほこりとともに落ちてきた。

「死んでる。」

「ああ、死んでるな。よく見てみろ、腹が妙にへこんでる。腹の魔石がなくなって死んだのかもしれん。」

山と積みあがったしろねずみはどうやら息絶えているようで、「スイープ」すると生き物は死んでしまうのかと驚いている私にジルが言った。
ジルは小さな魔石を私に見せる。
これがしろねずみの魔石か。
それは1センチくらいの白く濁った石で、この世界の魔獣には魔石があるらしい。
魔石に魔法を付与して人の生活に役立ててもいる。
もちろん、付与はレベルの高い人でないとできないし、魔石も大きなものは大きな強い魔獣からしか取れないからとんでもなく高価な物なんだけどね。
「スイープ」で魔石は汚くないものとしてそのままの場所に残ったから、腹から魔石がなくなった状態のしろねずみが死んだらしい。
食堂を見渡すと汚れもほこりもなくなってぴかぴかになっているのはもちろん、あちこちに魔石が落ちているし、どこからかコロコロと魔石の転がり落ちる音がする。
うん。1発で食堂ピカピカ、しろねずみ退治終了。
便利ってことにしよう。

「…便利だな。」

ジルもそう言ってるし。

「あら?」

しろねずみの山の中から他とは違う石が転がってきた。
この魔石だけスイープされちゃったのかな?
しろねずみの魔石と同じくらいの大きさだけどごつごつしてるし、しろねずみの白濁の魔石と違って黄色っぽい。
しろねずみ以外の魔獣の魔石かなと手に取ってみていると食堂の店主が騒ぎ始めた。
両手で股間をおさえながら。

「お?お?痛くない。痛くないぞ。
ずっとこのへんになんかが詰まってるみたいで痛くって、小便するときなんかのたうち回るほど痛かったのに、痛くない!詰まりが取れたみたいだ!」

それって、尿管結石では?
え?じゃあこの石って?

ばんっ!

…私は手にしていた石を全力で地面にたたきつけた。


ぴかぴかになった食堂で、すかっり元気になった店主に泣くほど感謝されながら食堂を後にしようとしてふと思う。

「ジルさん、どうしてこのクエスト受けたんですか?」

言ってはなんだが、しろねずみ退治なんてH級の私が受けられるくらいなんだから、B級のジルほどの人が受けるようなクエストではない。
疑問に思って聞くとなるほどの答えが返ってきた。

「あの店はうまい。」

…なるほど。うまいは正義だよね。
聞くと、ジルは食堂近くの一軒家を借りて住んでいるらしい。
ギルドに戻る途中にあったのでここだよと教えてくれた。

「ここがジルさんのおうちですか。ちょうどよい広さのお庭がありますね。」

「そうか?まあ、剣の鍛錬に程よい広さだな。それに街の中心に近いからな、快適だぞ。」

ええ、ええ。素敵なおうちですね。素敵なお庭付きの。
…ちょうどテントが張れそうな。





「ルチアちゃん、残念。これは小さすぎて値がつかないんだよね。」

ギルドに戻ってクエストの精算と、拾ってきたしろねずみの魔石の買取をしてもらおうと受付に行くとウィルにそう言われた。

「そんな。がんばって拾ってきたのに。
…っていうか、ジルさん教えてくださいよ。」

「いや、ルチアが嬉しそうに拾ってるから。」

すごいいい笑顔で言うジルにがっかりだよ。
幼子のどんぐり拾いじゃないんだから、お金にならないもん拾うかーっ。




**

その夜、再開した食堂ではジルがすっかり元気になった店主のつまみを肴にひとり飲んでいた。

…スイープと言っていたな。
その詠唱も聞いた事はないがそこはまあいい。
「風」のスキルで掃除する事は出来る。
そう、指定したものを集めたり遠ざけたりする事は出来るのだが、今日ルチアがした事はそれだけではない。
ルチアがしていたのは掃除だけでなく「転移」もさせていた。
そんな事できるやつなんてほとんどいない。
本人はおそらく無自覚なんだろう。
かなり気軽に「スイープ」を使っていた。
カジノのこともある。
本人は隠してるようだが。

「はあ、これだから目が離せない。」


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