放置令嬢 選択スキルでスローライフ満喫します 聖女をお探しのようですが私は関係ありません

しろこねこ

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19 教えてほしい元令嬢

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バンガローは2LDKになって、風呂もトイレも独立した空間になっている。
お客様が泊まっても問題なしなのだ。
絶句から立ち直ったコーザは子どものようにはしゃぎながら、すげーすげーとあちこちのドアを開けてはすげーと叫んでいる。
肉をカットするのをジルにまかせ、私は風呂を入れることにした。
もちろん私の風呂に石鹸はマストだ。

順番に良い香りになってテーブルをかこむ。
アグーのステーキ以外は亜空間ポケットから出した温野菜とポタージュとパンだ。
ジルはちゃっかりワインを出している。

「すげー、家で食うよりすげー。」

もはやすげーしか言わないコーザにどや顔をしたジルがワインをついだ。
なぜかさっきからジルが自慢げだ。

「よし、食うか。」

オリジナルのハーブソルトをかけて焼いたアグーは臭みも消えて柔らかい。

食事しながらまた貴族の病気の話になった。

「うつる病気なんですか?」

「いや、うつらないらしい。
病気になった貴族たちは何年もかけて徐々に悪くなっていくようだ。
毒じゃないかと言われてる。」

「全員が同じような症状なら同じ毒ってことですよね。」

「ああ、そう言われているが、共通点がないし毒の種類が分かってない。」

「今回の貴族はいずれも黒い噂の多いやつばかりのようで、誰かが恨んで毒を盛ったんじゃないかと噂されてるらしい。」

「ジルさん詳しいですね。」

「こいつはB級だからね。いろんな訳アリのクエストもくるんだよ。
今回みたいにね。」

「そうなんですね。」

「そうだな、今回は特に肝臓を傷つけないようにと言われている。
15年以上前くらいに毒ガスで街が一つ消えたんだが、その毒ガスに唯一効き目があったとされるのがエキゾチッククロコダイルの肝臓だ。」

「そんな事故があったんですか?」

「ああ、秘匿とされてるけどな。
街が一つなくなりゃ隠し通せるわけがない。」

「じゃあ、その病気の原因はその毒ガスじゃないかってことなんですね。」

「ああ、だがその毒ガスのもととなるものはその時に根絶されたと言われてるんだ。
だからなかなか毒の種類が特定されない。」

「なるほどー。それは貴族の愛憎渦巻く世界ってことですね。」

ふむふむとうなずく私。貴族ってこわい。
貴族じゃなくなってホントに良かった。
ホッとしてるとジルが「そうだな。」と頭を撫でてくれた。
そんなことされたら、40年の人生経験を活かして普通を装ってるけど耳は熱いし心臓バクバクだよ。
最近距離が近いんだよね。
やたらとスキンシップ多いし。
もしかしてこれが庶民の距離感なの?
貴族って男女の触れ合いってすごくうるさいけど、庶民はどうなの?分からないよ。誰か教えてー。







**

バンガローの2部屋のうちの1つ。
この部屋は自分の部屋にしようと決めたジル。
コーザはリビングのソファで寝ている。
最近は驚きの連続過ぎて驚かなくなってきた。
ルチアが貴族でなくなったのなら、もはや自重の必要を感じない。
今日だって会ったのは偶然じゃない。
ルチアが貴族をやめる手伝いをした時から守るって決めてるけど、それでもあの見た目だし危険が多い。
最近笑顔が増えたし、顔も隠れている部分が少なくなってきた。
守るものは多いほどいい。
あの時にゴースに声をかけたのも、今日こうしてコーザに秘密をばらしているのもルチアを守る信用できる人間が1人でも多くほしかったからだ。

それでも「光」のことは言わない方がいいだろう。
さっき話していた15年前の事故の起きた街の近くにジルは住んでいた。
これは本当に秘匿されていることだが、あの時聖女や王宮に使える魔術師が何人も死んだ。
それ以降、もとから数人しかいない聖女がほとんどいなくなった。
聖女は傷しか治せないと言われているが本当にそうだろうか?
おそらくルチアはほかの聖女と違う。
オグロのかかっていた病気は自然に石が出てきて治ることもあるらしいから怪しまれなかったが、あの時ルチアは病気の治療をしたんじゃないだろうか。
オグロの石を投げつけるルチアを思い出してジルは口元をゆるめた。

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