平和国に勇者はいらない!と言われ勇者を失ってしまった国に突如勇者として召喚された俺は、平和国の隠蔽勇者になる。

文字の大きさ
6 / 7

魔力の抑え方

しおりを挟む
 俺は、腕に表示されるステータスを見た。

ステータス

 勇者 Lv.10
 名前 雨宮豊晴
 服装 青マント付きの鎧
 スキル 魔力感知 自動再生 身体防護

 やっと来た。念願のレベル10だ。これで魔法を覚えることができる。

「お兄ちゃんなんでそんなにニヤニヤしてるの?」

「ん?あぁ、なんでもない」

 俺はまだアリスに自分が勇者であると伝えていない。だから腕からステータスが見れることも魔法が使えるようになったことも知らない。
 そもそもアリスが記憶改竄されているとしたら、勇者の存在や魔法やスキルの存在も知らないということなのか?アリスにはまだ謎が多すぎる。実は少し前からいろいろ質問して情報を得ようとしているのだが、全て覚えていないという回答しか返ってこなかった。おそらくかなり強力な記憶改竄の魔法をかけられているのだろう。

 念の為、魔法の習得はアリスに見られない場所で行うことにした。

「アリス!飯だ!」

「ありがとう!お兄ちゃん!」

「俺は明日に備えて少し周りを安全か確認しに行ってくるから、絶対にここから離れるなよ?」

「わかった!」



よし、このくらい離れていればもしもの時何かがあっても大丈夫だろう。

 カバンの中から出した魔法書を開く。すると魔法書に書かれている文字が光だし、空中に映し出された。

 おぉ……。やっぱり魔法書にも魔法が使われているのか。まずは、発動する魔法にあるそれぞれの詠唱を覚えないといけないらしい。


 魔法とは…生き物の中にある魔力を消費し、それぞれの物質を作り出しそれらを操る。魔法の強さや難易度の高さによって消費する魔力は異なり、複数の魔法の組み合わせなどは自由自在である。


 ウォーター…水に換えた魔力を自由自在に操ることができる。

 ファイアー…炎に変えた魔力を自由自在に操ることができる。

 サンダー…雷に変えた魔力を自由自在に操ることができる。

 ヒール…回復薬に変えた魔力を自由自在に操ることができる。

 まずは、詠唱を唱えたいのだが……よ、読めん!!な、なんの文字だよこれ!詠唱だけ記号みたいな文字で埋め尽くされている!
 こうなったら、雰囲気だけで適当に詠唱してみるしかないな。

「なんちゃらの断りをなんちゃらしこの我に力を与えよ。ウォーター!!!」

 水の塊が前に出した手の先に生成されていた。中に浮いていて明らかに操れている状態だった。

 えぇ!できたのか?こんな詠唱で。だが、まだ完全に操るには少し時間がかかりそうだが、戦闘には十分使えそうだ。これから戦闘を繰り返していくうちに慣れていくだろう。

 魔法が使えるようになったことで、テンションが上がり全部の魔法を最低限ではあるが習得することに成功した。





「キャァァァ!だれ?!近づいてこないで!」

「静かにしろ!あの男が何者なのか教えてくれればすぐにこの場を離れてやる」

「本当に知らない!たまたま助けてもらっただけ!」

「くそ!なら吐き出すまでここから離れないぞ!」

「嫌だぁぁぁぁ」


 俺は悲鳴が聞こえた時、すぐにアリスだと気づいて来た道を戻ってきた。するとそこには長髪の女がアリスを脅していた。

「おい!何者だ!アリスから離れろ!」

 すると女は笑みを浮かべながら言った。

「おぉ、ご本人様登場ですか」

「どうゆうことだ!」

「お兄ちゃん!この女の人、お兄ちゃんの正体を教えろって私を脅してきたの!」

 俺の正体をだと?なぜだ。勇者であることはバレていないはず。勇者の疑いがあるとしても何処から情報が漏れた?他の国に入国したこともない。だとしたらアリスかウィルロードのどっちかってことか?

「今なんで疑われているか考えてたな!」

「あぁ、何か問題でもあるか?」

「なら、私が何故疑われいるか教える代わりに引き換えとしてお前の正体を教えるってのはどうだ?」

 こいつが本当のことを言う保証は何処にもない。今はこいつを疑うのが正解か。それとも情報を得るのが正解か。自分の身を守るためなら情報を聞くことが重要になるが下手をするとこいつに情報を持ってかれる可能性もある。

「ならお前の秘密情報も教えろ。それなら考えてやる」

「ほう、それはお前の正体が広まってはいけない情報であると認めていることになるがいいのか?」

「あぁ。だからそれで条件を飲む」

「面白い。いいだろう。私はミサキ。ただの旅人で何処の国とも交流を持っていない。」

「それで、なんで俺の正体を知りたいんだ?」

「そのお前から出てる膨大な魔力の正体を知りたかったのさ」

「俺から出てる膨大な魔力だと?なんのことだ」

「お前自分の魔力がわからないのか?」

「自分の魔力だと?」

「つまりお前は今自分がここにいるって主張しているのと同じってことだ」

 俺の知らないところで自分の魔力が漏れていたと言うことか。しかし俺にそんな魔力量があるのか?魔法もさっき習得したばかりだし。

「なるほど。わかった。それでお前はそれを知ってどうするつもりだ?」

「……あ、あの!私を仲間に入れてくれ!」

 女は急に頭を深く下げ、何度も仲間にして欲しいと申し込んできた。

「い、いや ちょっと待て。突然すぎる」

「そこをなんとか!そんなに魔力があればかなり強い魔法が使えるんでしょ?」

 こいつもアリスのように仲間に入れるのが正解なのか?だがさっきのように仲間にしてみないとわからないこともあると言う理由で入れたとしても、もし何かがあった時の代償が大きくなりそうな気がする。そもそも二人同時に勇者とばれた時のリスクが大きい。自分から言うとしてもまだそんな勇気はない。

「わかった。じゃあ私を仲間に入れてくれたら自分の魔力を抑える方法を教えてやろう」

 確かに魔力を抑える方法は今の俺に一番必要なものであるが、さっきからと言いこいつは取引がうまい気がする。思い通りの波に乗ってしまってはいないだろうか。ただ魔力を抑える方法をなんとかして今すぐ身につけないと今の俺が想像しているよりも取り返しのつかないことになりそうだ。

「わかった。仲間に入ることを許可するが、それは俺が魔力を抑えることができてからだ。これでいいか?」

「ほんとか!わかった!」

 俺はミサキに魔力を抑える方法を教えてもらった。

 まずは、自分の魔力を目を閉じて感じる。魔力の気配を感じたらその魔力を自分のところに呼び寄せるように想像するんだ。体の外側から魔力の気配が消えたら成功だ。
 これをすればしばらくの間魔力が漏れる心配はないが、魔法を使ったりするとまた漏れてしまう可能性が高い。自分お魔力の気配は無意識でも感じられるように特訓しておくといいだろう。

「なんとなくわかった」

「お前覚えがいいな。さっきの魔力といいこんなにすごい人が私の仲間になってくれるなんて!」

「何ニヤニヤしてんだ?」

「な、なんでもない!」

 無事、魔力を抑えることができたしあまり悪いやつではなさそうだな。

「ところでお前、なんか忘れてないか?」

「え?私なんか忘れてたっけ?」

 ミサキは首を傾げる。

「俺の正体は聞かなくていいのか?」

「あぁ!そうだ!お、お前何者だ!」

 ミサキは急に大きな声を上げた。

「お前もしかしてドジか?」

「ち、違います~」

 こいつはドジな部分もあるが、おそらく実力は本物だろう。魔力の抑え方も覚えが早いと言われたけど、確実にミサキの教え方が上手だった。

「よっしゃ!アリス!ご飯にしよう!」

「ちょ!おい!逃げるな~!」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

二十年仕えた王女が私を敵に売った。それでも守ることにした

セッシー
ファンタジー
二十年間、王女殿下の護衛騎士として仕えた。その殿下が、私を敵に売った。 牢の中で事実を知り、一分考えて——逃げることにした。殿下の目的を、まだ果たしていないから。 裏切りの真相を確かめるため、一人王都へ戻る護衛騎士の話。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

義弟の婚約者が私の婚約者の番でした

五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」 金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。 自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。 視界の先には 私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。

処理中です...